合同会社型DAOとは?

「会社とステークホルダーをゼロ距離に」

どうも、みなさん初めまして!BorderlessのTakashiと言います。

我々は、2016年よりDAO(Decentralized Autonomous Organization)の社会実装を掲げて、ツール開発を中心に様々な活動を国内外問わずして参りました。今回は、日本で本日2024/04/22より設立できるようになった合同会社型DAOについて我々の視点から解説をして参ります!


目次
・合同会社型DAOとは?
・この記事の目的
・この記事の要約
・合同会社型DAOの概要
・既存法人格とのモデル比較
・実際の設立フロー
・合同会社型DAOを活用する上での注意事項と懸念点
・最後に
・Borderless.companyについて

🏃 5分あればサラッと流し読みできる文量にしています。🏃


合同会社型DAOとは?

合同会社型DAOは、2024年4月22日より日本国内で設立できるようになった新しい会社のモデルです。

日本国内で新しい法人モデルが設立できるようになったのは、2006年の新会社法により設立できるようになった合同会社以来実に18年ぶりです。

この記事の目的

【こんな方に向けて書いています】
この記事は、合同会社型DAOに興味のある、会社経営者や、会社/事業の立ち上げ経験のある方、及び知識を有する方に向けての記事になります。

こんなことを書いています
合同会社型DAOを既存の法人格である株式会社や合同会社と比較しながら、優位性、設立〜運用にあたっての基本知識、設立フロー、注意点や懸念点について共有していきます。

🚨 本記事は、法律、税務、投資その他のいかなるアドバイスを行う目的では書いておりません。そのため文中の法律に関する個別具体の記述内容は、改めて身近な弁護士にご確認することを推奨いたします。

この記事の要約

  • 合同会社型DAOは、日本国内実に18年ぶりの新法人格

  • ブロックチェーンと呼ばれる技術を、会社運用の土台に組み込むことで、合同会社のメリットを引き継いだ上で、法人格としての信頼性の向上資金調達の幅を広げる可能性を秘めている。

  • 実運用にあたっての前提知識が、技術面、法規制面などからかなりの量必要となるが、莫大なインパクトを秘めた法人格である。

  • まだ前例がないため、効果的な運用方法の模索はこれから。

  • Borderlessは、2016年より国内外問わずDAO領域で活動してきた日本一のパイオニア集団なので、お困りごとはBorderlessにお任せください。


合同会社型DAOの概要

2024年2月1日に金融庁から「金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(案)等の公表について」が発表されました。

詳細は省きますが、こちらの内閣府令により、合同会社が社員権をデジタル化し、このデジタル社員権を使ったインターネット上での社員募集ができるようになりました。

合同会社では、出資者=社員になるので、この仕組みを活用すれば実質的に、インターネット上で資金調達が行えるようになります。


既存法人格とのモデル比較

合同会社型DAOは、株式会社と合同会社の良いところどりをしているような会社形態です。以下の比較図をご覧ください。

既存法人格とのモデル比較 by Borderless
既存法人格とのモデル比較 by Borderless

上の図を整理すると、

  • 合同会社では、会社の経営権所有権を出資者が同時に持つことができる。

  • 定款作成の自由度が高く、設立にかかる費用も安く抑えられるため、小規模な事業を立ち上げる際に選択しやすい会社形態。

  • 株式会社と比較したときに、第三者による監視が行われない等の理由で、信頼性に劣ったり、資金調達の幅が狭く上場も目指せなかったり、速度を持って大規模な事業を起こすは難しいところがある。

  • 合同会社型DAOでは、ブロックチェーンと呼ばれる技術を、会社運用の土台に組み込むことで、合同会社のメリットを引き継いだ上で、法人格としての信頼性の向上資金調達の幅を広げる可能性を秘めている。


では、上記の内容に基づいて具体的に合同会社型DAOが、従来の合同会社と比べてどのようなメリットがあるのかを説明していきます。

合同会社型DAOが切り開く可能性 by Borderless
合同会社型DAOが切り開く可能性 by Borderless

それは、合同会社を株式会社と比較したときに、デメリットとされていた社会的な信頼性の問題資金調達の制約の2点が、ブロックチェーンを活用することで大幅に是正されるということです。

上記のメリットを実現しているロジックの簡単な説明としては、

  • 意思決定プロセスが、ブロックチェーン上に記録されることで、第三者による検閲が可能になる。
    ➡️ 組織内部の不正に対する抑制が可能。
    ➡️ 社会的信頼性の向上。

  • 社員権がトークン化されることで、インターネット上で出資が出来る場が創出される。➡️ 24時間365日、継続的な資金調達が可能になる。
    ➡️ IPOなしでも大規模な事業展開が可能になり、資金調達の幅も広がる。

となります。次に実際の設立フローについて見ていきます。


実際の設立フロー

合同会社型DAOの運用を考えるにあたって、どのような流れになるのかを説明していきます。

ちなみに、プロジェクトによっては既にコミュニティーや、ホワイトペーパーができている場合もありますので必ずしも以下の流れにはなりませんということをご了承ください。

以下は、一般的に事業アイデアの想起段階である0→1フェーズのプロジェクトの一般的な流れとなります。

合同会社型DAOができるまで by Borderless
合同会社型DAOができるまで by Borderless

かなりのボリュームがありますが今回は特記すべきポイントを一つだけ紹介します、

それは、合同会社型DAO運用の全ての根幹となる、会社運用ルールの策定が最も重要かつ、難易度の高いプロセスになるということです。

なぜかというと、ここで策定される運用ルールが、組織運用の在り方そのものを定義し、この定義をもとに、ブロックチェーンやスマートコントラクトと呼ばれる組織をオンラインで運用するための技術と接続されるためです。

今回は運用ルールを定義するための項目が、どのようなものなのかを簡単に紹介します。

・定款
・総会規約
・トークン規約
・運営規約

定款

組織の事業目的や、各ステークホルダーの権限、決め事のルール、利益配当など、組織を俯瞰した全体像を記載します。

こちらに関しては、合同会社型DAOの健全な発展を推進する自主規制団体である 日本DAO協会様 より、定款のテンプレートが公開されてますのでそちらをご参照ください。

弊社メンバーも、日本DAO協会の活動に参加していますので別途お気軽にご質問ください。

総会規約

社員総会を通じて、組織がどのようなルールに則り、決め事を取り交わすのかを決めます。


・どのような議題が組織として立案されるか?
・誰が提案権と議決権を有するか?
・決議に至る定足数と表決数?

トークン規約

合同会社DAOで実際に発行される社員権トークンや、その他のトークンに関する詳細な内容を決めます。


・トークンの名称や定義は何か?
・トークンホルダーの権利は何か?
・譲渡に際するルールは何か?

運営規約

合同会社型DAOの運営の仕方についての詳細を決めます。


・組織に所属するステークホルダーの種類はどのようなものか?
・業務執行社員の選任方法は何か?
・財務にまつわる管理方法は何か?

これらの、定款、総会規約、トークン規約、運用規約、細部に渡るルールが、会社とブロックチェーンを接続し、運用されていくための土台となります。

Borderlessでは、この複雑なプロセスも順序立てて、策定していけるようサポートもしております。


合同会社型DAOを活用する上での注意事項と懸念点

🚨 注意事項

合同会社型DAOを活用した、事業を行うにあたって気をつけるべき観点を共有していきます。

勧誘行為に関して
社員権トークンを使った出資の勧誘行為は、行っても良い人が制限されている。

開示規制に関して
社員権トークンを使った調達行為において、基本的に出資総額および出資人数に制限はないものの、特定の場合においては、開示規制に準じて、有価証券届出書、目論見書、有価証券報告書、有価証券通知書のいづれかを届出しなければならない。

会社法に関して
業務執行社員トークンに出資をする、出資者の住所、氏名を登記簿に載せる必要があり、出資したトークンの移転を行えないよう、技術的な制約措置をとる必要がある。

社員権トークンに出資をする、出資者の住所、氏名、ウォレットアドレスを社員名簿に記載する必要がある。

配当に関して
業務執行社員トークンの出資者への配当制限はないが、非業務執行社員トークンの出資者は、出資した金額以上の配当を受け取れないように制約措置をとる必要がある。また、社員優待以外の配当の場合は、法人としての利益剰余金の範囲内でしか配当ができない。

トークンに関して社員権トークン以外のトークンを発行する場合に、そのトークンが暗号資産に該当してしまう可能性があり、別途、業規制要件が課されるため要注意です。

🔰 懸念事項

実運用にあたっての前提知識が、技術面、法規制面などからかなりの量必要となりますが、莫大なインパクトを秘めた法人格であることは間違いありません。

しかし、世界的に見ても活用前例がないため、効果的な運用方法の模索はこれからとなっています。

ファーストムーバーとして、とりあえず手を動かすか、しばらく様子を見て、活用を検討するのかはみなさんの判断次第ではありますが、まずは身の回りの知見を持った人に相談をしてみましょう。我々、Borderlessもその一人です。


最後に

今回の合同会社型DAOは、名称に“DAO”という言葉が使われていることもあり、DAOに詳しい人が見ると、納得のいかない表現になってしまっている場合もあるかと思います。

我々Borderlessは、

DAOが法人化できるようになった”のではなく、

あくまでも“合同会社の枠組みの中で、DAOに近しい組織運営が可能になる府令改正が行われた’’

がミスリードを生まない解釈だと捉えており、トークン式会社という表現をあえてチーム内では使っています。

とは言え、DAOに関する知識も参考程度にあったほうが、より合同会社型DAOに対する解像度が上がるのは間違いありませんので、良ければDAOに関する解説スライドもこちらよりご覧ください!

親愛なる Fracton Ventures さんの言葉を借りて、

”We Can DAO It!!”

Borderlessチーム一同、引き続き合同会社型DAOのエコシステム拡大に向けていきます!!

⏩ 次回は、実際のユースケースを踏まえて合同会社型DAOの具体的な始め方、どのような事業がこの法人格に向いているのかについて共有していければと思います。


🧩 Borderless.companyについて

Borderlessが目指す未来
Borderlessが目指す未来

「会社とステークホルダーをゼロ距離に」

Borderless.company は、スイス法人のOverlay AGによって開発提供される、会社のシェアやエクイティをトークン化し流通させる為の基盤サービスです。法律と技術、リアルとオンラインが複雑に絡み合う、シェアのトークン化プロセスを世界中で標準化し、次世代の会社モデルを活用する事業者のサポートを世界各国で行って参ります。

東インド会社以来の、組織イノベーションを、我々Borderlessと共に社会実装していきましょう。

【会社リンク】
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