先週、米中貿易協議をめぐる楽観論から安全資産としての魅力が低下し、金は5%以上下落した。今週は経済イベントが目白押しで、水曜日には米国のGDPとインフレデータが発表され、木曜日と金曜日には雇用統計が発表される予定となっている。
金は週初めに1オンスあたり3,254ドル近辺で始まり、月曜日には押し目買いの流入に支えられ0.5%上昇した。一方、投資家らが大手テクノロジー企業の決算発表や主要なマクロ経済指標の発表に備えたため、米国株は不安定な取引の中でかろうじて上昇した。
米国株は火曜日、ハワード・ラトニック商務長官がトランプ政権が貿易相手国名を明かさずに暫定的な貿易合意に達したと発表したことで下落して始まった。一方、貿易に対する楽観論が再燃し、政権が国内メーカーに対する自動車関税を緩和するという報道が広がる中、ドル指数は上昇し、金は下落した。火曜日の終値までに、金は1%下落して3,308ドルとなったが、銀は1オンスあたり32.90ドル付近で横ばいとなった。
米国経済が第1四半期に年率0.3%縮小し、3年ぶりの縮小となったとのニュースを受けて、水曜日の市場は不安定な状態で始まった。株価は当初GDP発表を受けて下落したが、投資家がインフレデータを消化するにつれすぐに反発した。インフレデータでは前年比PCEが2月の2.7%から2.3%に低下したことが示された。株価が回復するなか、経済データにより2025年の利下げ期待が高まったため、金は小幅な上昇となり、1オンス当たり3,228ドルで取引を終えた。
木曜日には、マイクロソフトやメタなどの企業の好業績が株価を押し上げ、ハイテク株中心のナスダック総合指数が1.5%上昇して上昇を牽引し、7日連続の上昇となった。一方、米中緊張の緩和とドル高により金価格は変動した。一日の終わりには、金は3,240ドル付近で推移し、銀は32.09ドルでほとんど変わらなかった。
金は今朝、予想を上回る非農業部門雇用統計を受けて下落を拡大し、金価格をさらに圧迫した。週末までに金は0.7%下落し、3,229ドルで取引を終えた。銀は午後の取引でわずかに反発したものの、週末は2%以上下落し、32.02ドルで終了した。
今日の明るい雇用報告は株式市場をさらに押し上げ、S&P 500とダウはともに9日連続の上昇を達成した。ハイテク株の好調によりナスダックは週間で3.5%上昇し、それぞれ週間で3%近く上昇したS&P500とダウを上回った。