地政学的緊張が株価を圧迫する中、FRBのシグナルを受けて金価格が下落
先週、イスラエルとイランのミサイル攻撃と空爆の応酬を受け、両国間の緊張が高まったため、金価格は3.5%上昇しました。今週の経済カレンダーは、水曜日に予定されている連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ決定をめぐる期待が中心でした。市場は引き続き、イスラエルとイランの紛争への米国の介入の可能性を織り込み、投資家心理は週を通して慎重な姿勢を維持しました。
金曜日の急落後、米国株は月曜日に反発し、ナスダックは1.4%、S&P 500は0.9%、ダウは0.8%上昇しました。これは、イランが交渉の姿勢を示し、地政学的緊張がいくらか緩和されたことが要因です。金価格は週初に8週間ぶりの高値である3,422ドル付近で始まりましたが、月曜日はリスク選好度が高まり、1%下落しました。
一方、銀は1オンス36.37ドルで横ばいとなった。
火曜日、市場は再び中東情勢の動向に反応した。トランプ大統領がソーシャルメディアでイランに対し「無条件降伏」を要求したことで、米国の介入の可能性が高まった。
ウォール街にリスクオフのセンチメントが戻ると、ナスダック総合指数が下落を主導し、0.9%下落した。金は、米ドルの0.8%上昇による下押し圧力とFRBの政策をめぐる不透明感に翻弄され、横ばいで推移した。一方、地政学的な懸念が下落を抑制した。金は3,390ドル付近で推移し、銀は2%上昇して37ドルを超え、投資家はより安価な安全資産である銀に流れ込んだ。
水曜日、米連邦準備制度理事会(FRB)は、予想通り政策金利を4.25~4.50%に据え置くことを決定した。同時開催の記者会見で、FRB(連邦準備制度理事会)のジェローム・パウエル議長は、インフレがピークアウトしたかどうかの不確実性を認め、FRBは年内に0.5%の利下げを行う方針を維持していると示唆した。株式市場の反応はまちまちだったが、FRBのタカ派的な姿勢が金価格を圧迫し、0.5%下落して3,369ドルとなった。
米国市場は木曜日、独立記念日(ジューンティーンス)のため休場となった。株式市場は低迷していたが、イランの核施設へのイスラエル空爆への報復として、イランがイスラエルの病院をミサイル攻撃したとの報道を受け、金価格は当初やや上昇に転じた。しかし、FRBのタカ派的姿勢への懸念は、金価格の重しとなった。金価格は3,353ドル付近で推移し、銀は再び売り圧力を受け、2.6%下落して1オンス35.79ドルとなった。
トランプ大統領が2週間以内にイランへの攻撃を決定すると述べたことを受け、米国株は本日の取引を通じて概ね下落した。一方、米国が中国で米国製技術を使用している世界の半導体メーカーに対する輸出免除措置を撤回する可能性があるとの報道を受け、ハイテク株は下落に転じた。
本稿執筆時点では、地政学、貿易、金融政策の各分野での情勢変化を受け、株式市場は週足でまちまちの展開となっている。ナスダック総合指数は週間で0.25%上昇している一方、ダウ平均株価とS&P 500はそれぞれ週間で0.61%と0.26%の下落を見込んでいる。
金は本日、投資家が引き続き米国のイラン介入の可能性を注視する中、堅調に推移した。金は現在、週間で1.6%下落し、1オンスあたり3,367ドルで推移している。銀は週間で1.2%下落し、1オンスあたり35.92ドルとなっている。