電気通信ムラのゆく年くる年

母屋(一般会計)でおかゆをすすっているのに、離れ(特別会計)ですき焼きを食べている(塩川正十郎財務大臣(当時))

ドコモ完全子会社化の出鱈目で生じた総務省管制の間隙を縫って、総務省管轄のNTT(特殊会社)の私物化(民営化)が進む。NTT法廃止を視野に入れた、政府のNTT株式売却が自民党で検討されている。現行通りで良しとした、NTTの第三者委員会報告書と総務省の第三者委員会報告書の成果だ。悪目立ちが過ぎた結果であるが、今後、巻き戻しもあるだろう。腐臭を嗅ぎつけた異国の悪霊が国内の富を強奪していく。これ以上、繰り返されることが無いよう、どっちもどっちの「喜劇」の構図を肝に銘じよう。

岩盤規制で守護された政官財トライアングルに安住してきた特殊法人。「市場の失敗」を補完すべく中立・公正な特殊法人が誕生し、必要十分で厳選された有資格者にマネーが還流してきた。学者、マスコミは有資格者だ。資格を得られない二流経済人が規制緩和を絶叫し、中立・公正の歪みを市場に委ねるべく特殊法人を民営化していく。中立・公正の歪みが悪辣であるほど腐臭は大きくなり、二流経済人の客引きは乱暴になる。

外資が傍流を担いで尖兵とするのは常套手段だ。離れの仲良しクラブに入れない恨み晴らさでおくべきか。政官財トライアングルをこじ開けた隙間に、二流経済人のスポンサーが滑り込む。特殊法人を民営化、事業を効率化して評価を市場に委ねる。結果、株式配当は増加し、内部留保が積み上がる。国外へ売り払うことで私物化が完了し、「市場の失敗」は顕在化するだろう。利用者目線のメリットは乏しく、国内で循環していた還流マネーが国外に流出していく。

内部告発者の考える、NTTのあるべき姿は変わってない。NTT法から「電気通信技術に関する研究」を削除し、「電気通信役務の提供」を残す一案だ。中立・公正な公金が入り込む余地が、NTT法で規定される御題目(研究開発とユニバーサルサービス)。ユニバーサルサービスは制度設計がオープンであることと比べて、研究開発は制度設計が不透明だ。信用ならない組織に大切な資産・事業を少しでも預けたくない。歪んでいるかもしれない中立・公正な「電気通信技術に関する研究」を除きたい。持株会社の研究所を全廃して、NICT(基礎研究)および事業会社(応用研究)へ研究を移管するのが分かり易い。但し、NTT法から「電気通信技術に関する研究」を削除さえできれば、研究所は現行通りでも良いと考える。中立・公正を隠れ蓑に公金が流入する余地さえ無くなれば、NTTの「電気通信技術に関する研究」の要否は事業判断に任せよう。

良くも悪くも、官僚は<法律と判例>の僕だ。立法府と司法府の有り様が官僚を律している。保身第一、慎重でありながら冷徹にご主人を見定める。NTT法の細部に、NTT特別会計(造語)の真髄が埋め込まれていても驚かない。悪名高い民主党 鳩山政権の高級官僚(外務省、防衛省)は、直の上司を含む国内ヒエラルキーを上り詰め、国外へ飛び出した(余談)。<法律と判例>に基づいて、官僚は合理的に保身を図り続ける。

内部告発者の妄想する件の推移だ。自民党 防衛関係費の財源検討に関する特命委員会(委員長・萩生田光一政務調査会長) ー NTT法の見直しを議論する自民党プロジェクトチーム(座長・甘利明前幹事長)(以下、PTとする)が道先案内人。ウクライナ?!イスラエル?!台湾?!自民党 情報通信戦略調査会(会長・野田聖子元総務相)がNTT・総務省を代弁している。鈴木淳司前総務大臣が言及する情報通信審議会(御用学者のピエロ集団)に利用者・消費者の代弁を期待するが、一連のドタバタ騒ぎ同様、何の役にも立たないだろう。PTがリードしているが、一寸先は闇だ。ユニバーサルサービスは維持されると考えるが、見通しは甘すぎるかもしれない。

有事を先取りして、NTTは第二東京電力(配電インフラを所有)を志向して還流が太く大きくなっていくと考えていた。ドコモ完全子会社化の先に、政府の株式売却が視野に入っていたのだろうか?PTの動きは既定路線への横槍と見るのが妥当だろう。引き続き、焼け太りは要注意だ。電気通信インフラは必須なので事業は残る。畏怖堂々、飼い主を代え手を替え品を替え、不貞腐れた仏頂面で大手町の一等地に居座り続けるだろう。

上記、見立ての根拠は外形的判断に過ぎない。職務上、知り得た機密情報は無関係だ。当時、総務省からNTTグループへの天下りが5人(内、1人は渡り)、経産省から1人(首相秘書官、経済産業審議官を経て、現 NTT副社長執行役員)。財務省(株主)からは指定席の1人(未確認)。IOWN(光トランジスタ)の産業化、配電インフラの所有など、エリート経産省OBが活躍される未来を推察した次第だ。当初、NTT澤田社長の国会答弁を強く批判した経産省OB(ニューソク通信)の掌返しも不自然。電気通信ムラと電力ムラの異例のハイブリッド還流を下支えする資金源に、NTT特別会計(造語)の温存を邪推する次第。

雇われ家主による火の不始末で大炎上するお屋敷の断末魔に立ちすくむ。雇われ家主の視線の先に、利用者・消費者はいない。コンプライアンス(空文句)が大好きで言葉を弄ぶ組織が無責任を体現している。改めて、2023年末、中興の祖、澤田会長の御声明を頂戴したい。「一方、ネガティブという意味で言うと、過去を含めて幹部がやってきたので、反省してもし切れない。会社全体が、非常にメンタル的に厳しい状態になったのではと思っています。でも結果的には、ポジティブの方が多かったと思います」(2022年5月23日)(NewsPicksより抜粋)

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵におなじ。(平家物語)

正否判断を保留中のリンクは、タイトルに△を接頭した。

*深田萌絵さんと緊急対談。NTT株売却問題

*衆議院議員原口一博君提出政府が保有する日本電信電話株式会社の株式の処分に関する質問に対する答弁書

*岸田政権は、防衛費を捻出するため、政府保有のNTT株を売却します

*NTT法廃止時期巡り自民曲折 消えた株売却論「総務省の守護神たちが…」

*NTT法廃止「自民党提言を最大限尊重して議論を」--NTT、島田社長の発言を補足説明

*「変化捉え利用者目線で」NTT法見直し議論巡り

*NTT柳瀬副社長 「トヨタ一本足打法、抜け出すカギは通信」

*2022年度スタート、電力の安定供給を支える「配電事業制度」とは

*NTT法とは何か――NTTが語る現状とは

*ユニバーサルサービス制度

*電話加入権「国民に返す議論あって当然」--NTT完全民営化でソフトバンク宮川社長

*NTT グループ企業使い 自民側に献金1.5億

*郵政民営化は国民固有の資産の収奪

*米ゴールドマン:日本で投資銀行業務の体制を強化ー復興需要にらむ

*日本が売られる」って、どういうこと? ジャーナリスト・堤未果さんが指摘する、民営化と規制緩和のワナ

*【提言】協同の価値観こそ前面に ジャーナリスト・堤未果氏

*米ゴールドマン・サックスに30億ドル超の制裁金 マレーシアでの不正疑惑で

*経営理念と業務運営方針

*どんぶり勘定で防衛費6兆突破!~こんな予算を許すのか【半田滋の眼 NO.63】

*増税が大勢!密室で決まる 防衛費10兆の財源【山田厚史の闇と死角】

*防衛費43兆、掴み金!ガラクタを買っている日本【半田滋の眼 NO70】

*防衛体制の強化 自衛隊優先~南西諸島の民間港湾・空港整備の狙い【半田滋の眼No.89】

△鳩山元首相を偽公文書で騙した世紀のクーデター

*砂川事件最高裁判決における我が国の司法権の独立に関する質問主意書

*最高裁物語〈上〉秘密主義と謀略の時代

*最高裁物語〈下〉激動と変革の時代

*官僚国家の崩壊

△金融グレート・リセットとは何なのか?

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