ReFiとは?パート1 ー気候変動に関するクリプトの未知の世界を巡る旅
Fracton Research
0xF5CA
March 24th, 2022

環境問題や貧困など世界的な課題として広く認識され、このような社会課題は資本主義経済の負の副産物として表出したものとされています。このような状況下で、脱成長という思想が台頭し、世界各国で広く採用されている資本主義に対して否定的な考えを持つ人々が見られるようになりました。

一方で、クリプトスペースに目を向けると、Web3プロダクトに対して様々な形で貢献をした人々に対して経済的なインセンティブ設計がなされており、ステークホルダーが直接的に利益を得ることができるという側面があります。しかし、Web3プロダクトユーザーやクリプト投資家は短期的に大きな利益を得ることが度々あるため、近視眼的になってしまったり、投機的な行動もしばしばとってしまったりする傾向にあります。このような動きは、資本主義を強化しているように捉えられ、脱成長というイデオロギーを支持する方々にとっては批判の的となり得ることでしょう。また、ブロックチェーンのマイニングについても環境保護論者の批判の対象となることもしばしばあります。

このように、行き過ぎた資本主義がもたらした世界規模の課題とクリプトがもたらした影響とは一見相容れないように見えますが、そのようなことはありません。今回は、ブロックチェーン技術を用いて、長期的に世界規模の環境問題や社会問題を解決しようとするソリューションとしても活用できるポテンシャルを秘めている「ReFi(Regenerative Finance)」について包括的に解説をしているこの記事を翻訳することにしました。

クリプトに対して否定的な考えを持っている脱成長支持者や投機的な見方をする傾向にあり長期的な視座を持つことができずにいるクリプトのヘビーユーザーの両者が互いの誤解を解いたり、新しい価値観に触れる機会となれば嬉しいと思います。

この記事は、John氏による投稿を許可を得た上で日本語に翻訳したものです。John氏に感謝申し上げます。

This article is an official Japanese translation of a post by John. Thank you so much, John.

元記事(2022年2月23日):

以下、翻訳記事です。

======

こんにちは👋

私の名前はJohn Ellisonです。私は最近Toucanで成長を牽引している拠点を見つけた社会起業家です。

この4ヶ月間、私は気候変動対策とクリプトの交差点にある「未知の世界」に身を置きました。ここでは、「分散型金融」または「DeFi」と呼ばれるムーブメントの端で、地球を癒すためにお金を再設計しようとする何百ものプロジェクトが存在するのです。

私は、リスクと予期せぬ結果を最小限に抑えつつ、インパクトの可能性を高めるために、再生金融のムーブメントを形成し、定義付ける手助けとなるために、この文章を執筆しています。

免責事項:この文章中の意見は、あくまでも私個人のものであり、私が所属するいかなる組織も反映するものではありません。しかし、それらは、Klima DAOの貢献者としての私の最初の仕事とToucanReFi DAOの中心メンバーとしての後ほどの仕事によって大きな影響を受けたものです。

概要

以下は、拾い読みしたい方のための記事の概要です。

I. はじめに

  1. 再生金融論
  2. 現在の経済パラダイム
  3. 連鎖する地球規模の危機
  4. 地球を癒すお金の再設計

II. ReFiの3本柱

  1. 第1の柱:気候の安定化
  2. 第2の柱:生態系の回復
  3. 第3の柱:正義の確立

III. 結論と行動の呼びかけ

Ⅰ. はじめに

1. 再生金融論

ブロックチェーン技術によって強化されたミッション駆動型コミュニティは、気候変動、生物多様性の損失、そしてそもそも私たちが身を置いている根本的な社会構造に対処できる可能性を秘めています。

以下の記事では、この理論を解き明かし、なぜReFiムーブメントがブロックチェーンとしても知られる分散型台帳技術の最も有望な応用であるのかについて説明します。

私たちはそれを「ReFi」と呼んでいます。

「ReFi」は、インターネットの第3の進化(Web3)の端緒となる再生金融のムーブメントです。この略称は、その起源がDeFi(分散型金融)であることを示すものです。

ToucanコミュニティRegen Network、そしてReFi DAOでは、こうしたアイデアを議論する人々が多くいます。ReFi DAOは再生金融のムーブメントの拠点となっており、Web3を使って気候変動対策を拡大するためにお互いをサポートするために40人以上のReFi創設者が定期的に集まっています。

2. 現在の経済パラダイム

ReFiは再生経済学の理論に根ざしており、人間の幸福に不可欠な物理的資源を回復、維持するシステムをいかに作るかを探求しています。

これらの重要な資源は、現在の経済パラダイムによって急速に破壊されつつあります。現在の通貨制度は、人間社会の発展と維持においてこれらの資産が果たす役割を評価せず、温室効果ガスの排出、生息地の破壊、社会的不平等など、多くの負の外部性をもたらしています。

漫画出典:Tom Toro(http://tomtoro.com/cartoons/)
漫画出典:Tom Toro(http://tomtoro.com/cartoons/)

正義と公正

さらに悪いことに、これらの副産物の悪影響は社会全体に偏在しており、発展途上国や社会経済的に低い階層では、その影響を不当に受けています。これは、制度的不公正と富の不平等を悪化させる負のフィードバックループを生み出します。

気候変動や人獣共通感染症の蔓延するデジタル時代において、私たちは生き残るために社会の中核となるメンタルモデルを再認識する必要性に今現在迫られています。アルバート・アインシュタインは以下のように言っています。

「問題を作った時と同じような考え方では、問題を解決することはできません。」

ReFiは、テクノロジー、組織モデル、そして人間の意識の有望な進化を象徴しています。ReFiは、人々と地球のニーズを満たす新しい金融システムを定義することによって、政治的分裂を解消し、人類の繁栄の新しい時代に作用する可能性を秘めています。一方で、ReFiはピラミッド型の旧来の通貨システムを時代遅れにします。

本記事の目的は、ReFiのムーブメントが、このような将来像を実現し得る希望の光をどのように示しているかの概要を提示することです。次章では、なぜ、このことが今まで以上に重要なのかを探ります。

3. 連鎖する地球規模の危機

私たちと地球との持続不可能な関係は、現在、相互に関連し、深刻化する2つの危機によって定義されています。その2つの危機とは気候変動と生物多様性の損失のことです。

漫画の出典:Graeme Mackay(mackaycartoons.net)
漫画の出典:Graeme Mackay(mackaycartoons.net)

3.1 気候変動

気候変動は、化石燃料(石炭、石油、天然ガス)の採掘と燃焼、土地利用の変化、世界的な消費の増加によって、現代の主要な課題として表出しています。

平均気温の上昇は、熱波、海面上昇、海洋酸性化、森林火災など、すでに地球全体にさまざまな悪影響を及ぼしています。これらの影響はそれぞれが複雑で理解が不十分であり、壊滅的な結果をもたらす可能性のあるフィードバックループを伴っており、持続的な破滅的な結果をもたらす可能性があるのです。

COP26 は、世界の気温上昇を 1.5℃未満に抑え、気候緊急事態の最悪の影響を回避する可能性を持つ最新の国連気候会議に相当します。これを達成するためには、2050年のネットゼロエミッションに向け、2030年までに排出量を2010年比で45%削減する必要があります。

画像出典:マッキンゼー(mckinsey.com)
画像出典:マッキンゼー(mckinsey.com)

指標によると、進捗はしているものの、2030年の目標を達成するためには、脱炭素化率を2倍にする必要があることが示されています。

このためには、二酸化炭素排出量の削減だけでなく、二酸化炭素の除去、生態系の回復、社会正義を中核とした低炭素経済への円滑な移行が必要です。

私たちには、この変革を起こすのに9年足らずの時間が残されており、現在の経済システムの価値配分を根本的に見直す必要があります。

3.2 生物多様性の損失

気候変動と並んで、地球と私たちとのアンバランスな関係がもたらす、相互に関連した恐ろしい結果があります。その結果とは、生物多様性の損失と生態系の崩壊のことです。

これは、動植物の世界的な均質化、人間のニーズの拡大のための土地の再利用、農業のための種の家畜化、漁業や農業の技術的進歩に関する人間活動によって引き起こされます。

鳥類、哺乳類、両生類は、人類が地球を支配する前の数百万年に比べ、100倍から1000倍の速さで今もなお絶滅しています。過去500年間だけでも869種が絶滅に追い込まれ、現在37480種が絶滅の危機に瀕していると記録されています。

IPBES:生物多様性保全指標
IPBES:生物多様性保全指標

国連は、一連の測定可能な目標を策定することで、世界の生物多様性保護のための「パリ協定」のようなモーメントを作り出そうとしています。これらは、2022年4月に中国で開催される国連生物多様性会議COP15のイベントで議論され、最終決定される予定です。

最初の目標は、2050年までに絶滅を10分の1に減らし、2030年までに現在の絶滅率の上昇を停止または減少させることを目指すものです。もうひとつの目標は「30 by 30」と名付けられ、2030年までに陸地と海域の少なくとも30%を保全下に置くことを目指すものです。

GDPと有利子負債によって動かされている世界経済のパラダイムを原動力としているため、複雑な生物システムが破壊されつつあります。

したがって、生態系を回復し、十分に保護するには、価値を理解し、創造するまったく新しい方法が必要です。もしこれが達成できなければ、私たちは将来の世代に壊滅的な結末となる6回目の大量絶滅を迎えることになります。

4. 地球を癒すお金の再設計

この2つの危機に対して効果的に対処するには、経済システム全体を再設計する必要があります。私たちは、負の外部性を内部化し、すべての生命が依存する共通資源を保護する必要があります。私たちは互いに、地球から切り離された存在ではないことを認識する必要があります。

これらの連鎖する存亡の危機の深刻さと緊急性にもかかわらず、有望な解決策が生まれつつあり、これら2つの危機の核心となる人間の構造を再発明することです。

それはお金です。

お金は人間が発明したものです。お金によって、約5000年もの間、人々が互いに信頼し合い、協力し合うことを可能にしてきました。お金は交換手段、価値尺度、価値保存として機能し、元来は同じ価値の物理的資源に裏打ちされています。

現代の銀行券の価値を他の紙と区別する唯一のものは信頼です。

気候変動や生物多様性の損失を支えている原動力を調べてみると、その中核にあるのはお金であることがわかります。しかしお金は本質的に悪であると多くの人が考えていますが、お金に罪はなく、その設計者に罪があります。

現在の経済システムは、気候や自然システム、社会全体への影響を考慮することなく、集権的なエリートに富と権力を蓄積するように設計されています。お金は、利益のための搾取、つまり人や天然資源の搾取を物語ります。

お金は、人間の健康や地球の幸福にとって本当に重要なものから切り離された人間の物語を語っています。

**お金は、再接続、再生、そして地球の健康という別の物語を語るように設計し直すことができます。**この再構築において、お金の物語は、大規模に気候危機への対処に向けた人間の努力に焦点を当て、人間の幸福、社会正義、地球との調和という新しい時代の到来へと成熟するよう再設計されます。

これが再生金融の仮説であり、ReFiの3本柱の背景にある原動力となる物語です。

II. ReFiの3本柱

すべての問題を解決する特効薬は存在しません。

しかし、インターネットの第3の進化の端にいる小さな革新的な技術者集団は、地球を癒すためにお金を再設計することを追求し、真の進歩を遂げました。

インターネットのこれまでのステージについてよく分からない方に向けて説明をすると、Web3とはブロックチェーンの出現によって引き起こされたムーブメントのことで、インターネットネイティブな貨幣(一般に暗号通貨と呼ばれるもの)を生み出すことに成功したのです。

⛓スマートコントラクトは、ブロックチェーン技術を活用し、無限の可能性を解き放つ、比較的最近の進化です。スマートコントラクトは、オープンソースでプログラマブルな貨幣を可能にし、そのイノベーションの可能性は、ウェブページの発明に匹敵すると言われています。

World Wide Webのこれまでの進展が、私たちが知っている社会の多くを再定義したように、この第3の進化は、新聞、ホテルチェーン、タクシー会社よりもはるかに多くを破壊する可能性を持っているのです。

スマートコントラクトとスマートコントラクトの土台であるブロックチェーンは、気候変動、生物多様性の崩壊、社会的不公平といったシステム的な問題に対処するために必要な調整ツールなのです。

Web3テクノロジーは、ミッション駆動型のコミュニティが、共有する価値観を伝え、地球にポジティブな目標を定義し、再生的な復興を引き起こすために大量の資本を調整するための基盤を提供します。

私たちは、ReFiスペースで実験している莫大な数のプロジェクトに、あるパターンが現れていると見ています。

  1. 気候の安定化:主に炭素市場を通じて温室効果ガスの排出を削減・除去によってもたらされる。
  2. 生態系の回復:生物多様性を育むことによってもたらされます。その生物多様性の価値は炭素市場のインフラと交換される可能性が高いです。
  3. 社会正義の確立:地域社会に根ざした地域経済の再生によってもたらされます。

この3つの柱は、ReFiのムーブメントの可能性を最大限に引き出すための指針となるフレームワークを提供するものです。これらの野心を追求することは多くのリスクを伴いますが、私たちの意図は、うまくいかないことの全容を説明することではなく、むしろWeb3コミュニティがお金を再設計し、地球を癒す可能性を強調することにあります。

この記事の残りの部分は、主に第1の柱に焦点を当て、第2と第3の柱については簡単に概要を説明します。

1. 第1の柱:気候の安定化

要約

  • クリプトと気候変動対策は両立します。よりエネルギーを消費する「Proof of Work」(Bitcoin)とは対照的に、新興の低炭素ブロックチェーンは、「Proof of Stake」(Celo)を使用してネットワークを保護します。
  • ボランタリー炭素市場は、急速に高まる需要に直面していますが、ブロックチェーン技術が解決できる多くの課題に直面しています。
  • カーボンクレジットのトークン化は、この分野のゲームチェンジャーであり、担保資産としての炭素のユースケースを創出するものです。
  • また、透明性と説明責任についても、二重計算やグリーンウォッシュの可能性を防止するために取り組んでいます。
  • ToucanとKlima DAOは、ReFiが伝統的な市場にどのくらい影響を与えることができるのかを実証しています。
    • 14年10月以降、ボランタリー炭素市場のクレジットの5%以上が、Toucanを通じてトークン化されました。
    • Klima DAOによる需要喚起の結果、炭素の「フロアプライス」は2〜3倍に上昇しました。
  • オンチェーンカーボンに対する需要の高まりは、二酸化炭素除去技術の拡大とスケーラブルなMRV(measurement;測定、reporting;報告、verification;検証)システムの開発のための資本を刺激します。

1.1 Bitcoinのエネルギー使用の先にあるもの

クリプトは機能するために大量のエネルギーを必要とし、気候変動の原因となる大量の排出を伴うというのが、クリプトに対する根強い認識です。このような見方は、その膨大な炭素の使用で注目を浴び続けるBitcoinに大きく起因しています。

BitcoinのProof of Workは、ネットワーク上の有効な取引に関するコンセンサスを確保するためのメカニズムで、実績はあるものの、非常に多くのエネルギーを必要とします。

Proof of Stakeメカニズムに基づいて構築されたブロックチェーンは数多くあり、それらはよりエネルギー効率が高く95〜99.95%であり、現在も規模を拡大して証明されつつあるところです。

Bitcoinのエネルギー消費が激しいのは、マイニングとして知られているチェーンに新しいブロックを追加するための「Proof of Work」アプローチです。コンピュータは、次のブロックを採掘するために、ますます難しくなるパズルを解くために世界的に競争しており、この処理能力には多くのエネルギーが必要とされます。

しかし、他の多くのブロックチェーンは、ブロックチェーンにブロックを追加するために「Proof of Stake」アプローチを用いています。コンピュータがパズルを最初に解くのを競う代わりに、1台のコンピュータがランダムに選ばれて次のブロックを検証するのです。

Proof of Stake

最近の研究では、「Proof of Stake」が使用するエネルギーは、Bitcoinの「Proof of Work」の0.001%であることが実証されました。Polygonはそのような「Proof of Stake」ブロックチェーンの1つで、ToucanやKlima DAOなど複数の低炭素プロジェクトで人気を集めています。Polygonネットワークは年間0.00079TWhを消費し、1トランザクションあたりのCO2排出量はビットコインの945kgに対してわずか0.0003kgに過ぎません。

PolygonはEthereum(Proof of Work)のサイドチェーンであるため、ブリッジや決済は、ネイティブなProof of Stakeのブロックチェーンよりもまだ炭素消費が激しいです。

👀気候危機に対処するためには、世界をはっきりと見る必要があるので、今後数十年の間に気候危機の解決策をスケールアップする際には、ブロックチェーンの変革の可能性を見落とさないようにしましょう。

そのため、エネルギー使用量が多いという前提でクリプトソリューションを否定しないことが重要なポイントになります。最近の残念な例としては、一握りの声高な批判者が引き金となり、WWF UKが絶滅危惧種の動物を支援するためにNFTの販売を停止したことが挙げられます。このプロジェクトはPolygonの「Proof of Stake」ネットワークを利用しているにもかかわらず、エネルギー使用量が多いという懸念から反感が生じたのです。

この事件は、社会が二酸化炭素排出量の計算の複雑さや、生物多様性の崩壊や社会的不公正などの他の問題と並んで、温室効果ガスの負の外部性をどう評価するかということに取り組んでいる中で、根本的な価値観の相違を物語っているのです。

Proof of Workと再生可能エネルギー

また、Bitcoinが再生可能エネルギーの導入やスマートグリッドのインフラ革新の主要な推進役となることに関する新たなトレンドが生まれつつあります。Squareの「Bitcoinは豊富でクリーンなエネルギーの未来にとって重要です」という発言は、この仮説のアイデアのいくつかを強調しており、注目に値します。Max Webster氏はこのムーブメントを牽引している1人であり、フォローする価値があります。

現在、ReFiのムーブメントに参加しているビットコイナーは今のところ多くはありませんが、地球を癒すためにお金を再設計するための必要な複雑なシステム変化を理解するには、私たち全員が見出しの主張の表面下を掘り下げることは重要です。

ReFiの重要な仮説は、「競争より協調」です。気候変動は協調の問題であり、私たちは部族主義的な傾向を払拭し、明るい未来への道を切り開くために協力する必要があるのです。

炭素市場は数十億ドルのボリュームを持ち、急速に指数関数的に成長しているReFiムーブメントの最前線です。

1.2 効果的でない炭素市場

パリ協定の目的を達成するためには、CO2削減・除去を加速するためのソリューションがどうしても必要です。2021年12月に合意されたパリ協定の第6条は、この変革を推進する上で、世界の炭素市場の役割をより明確にすることを求めています。

しかし、これらの市場は断片的で不透明なままであり、複数の問題が現在の有効性を妨げています。

そのため、ReFiムーブメントでは、ボランタリー炭素市場(Voluntary carbon Market:VCM)を変革し、重い説明責任と透明性をもって規模を拡大できるようにすることに主眼を置いてきました。組織が化石燃料に関連する排出量の削減や相殺を求める傾向が強まる中、ボランタリー炭素市場は2030年までに15倍、2050年までに最大100倍に成長すると予測されています。

この緊急かつ拡大する需要に対応するための主な課題は以下の通りです。

  • 意図的に、あるいは市場の整合性や標準化の欠如として起こりうる二重計上などの問題につながる不適切な会計処理
  • 非効率:ブローカーやトレーダーがプロジェクトオーナーから受け取る総価値の最大50%を取っていたり、異なる時期の炭素を正確に評価するための効果的な価格発見を可能にする市場メカニズムが欠如しています
  • 流動性の欠如:ブローカーは需要と供給を一致させるために必要な設備を提供し、質の高いオフセットを調達するための中央市場が存在しません
  • 高いコンプライアンスコストと参入障壁により、市場へのクレジットの投入から、小規模または遠隔地のプロジェクトを排除している
    監視、報告、検証の問題:コストがかかる実施のためプロジェクトが要求している分のもしくは永久に炭素をオフセットしない可能性があります
  • 財務的な付加価値の確保:ボランタリー炭素市場からの金銭的インセンティブがなければ、そのプロジェクトは発生しないだろうということです
  • 特に発展途上国や土着の人々でのプロジェクトにおけるステークホルダーの取り込みと公平性

VCMが直面しているもう一つの問題は、カーボンクレジットの急激な需要増に対応するため、将来の炭素削減・除去ソリューションの規模拡大のペースです。

将来のクレジットは、主に以下の4つの要素から得られると思われる。

  1. 森林破壊を含む自然破壊の回避
  2. 森林再生など保護された自然
  3. 埋立地からのメタンなど排出物の回避・削減
  4. 大気中からの二酸化炭素の除去する技術

炭素のスケーリング

自然ベースの解決策では、現在のプロジェクトは少数の国に集中しており、必要な速度で成長するためには、さらに大幅な土地の取得が必要となります。技術ベースの除去の場合、これらの多くはまだ技術革新の初期段階にあり、大規模な商業的成長には、実証と展開に何年もかかります。

これらの問題により、2030年までに年間8〜12ギガトンから1〜5ギガトンまでの炭素クレジットの潜在的な供給が制限されています。

ReFiは、1.5℃目標を維持するために必要なペースで炭素市場を前進させるために、ミッション主導型のコミュニティとブロックチェーンを用いることで、これらの課題を解決するための重要なソリューションを提供します。

1.3 炭素のトークン化

1.3.1 クリプトと気候変動対策は主流になる

Klima DAOと提携したToucanが実現した流動性の高いトークン化した炭素市場の出現は、ブロックチェーン技術を現実世界の問題に適用する上で、これまでで最も目に見える成功例となりました。WSJWiredCarbon Pulseで報道され、Klima DAOとTaucanのペアはReFiを主流にするために前進しています。

物理的な資産をトークン化するには、ブロックチェーン上で表現され、プログラム、監視、交換が可能なデジタル資産を作成する必要があります。より多くのカーボンクレジットがトークン化され、ブロックチェーン上に移行するにつれて、以下のような無数の複合的な利点が生まれます。

  1. プロジェクトのオーナーは、地球を救う努力に対してより多くの収入を得ることができる
  2. 価格発見の迅速化
  3. 透明性と説明責任の向上
  4. 地球環境に配慮したプロジェクトが経済的に存続できる

1.3.2 商品資産としてトークン化された炭素

ToucanとKlima DAOが立ち上がるまで、トークン化された炭素の試みは大きな牽引力を持つのに苦労していました。Toucanのブリッジとカーボンプールの設計は、流動性の高い炭素市場の創出を可能にします。担保として振る舞う商品資産を形成するために、トークン化されたカーボンクレジットはカーボンプールに預けられ、市場の投機と価格発見を可能にします。

つまり、インターネットに接続できる環境であれば、誰でも炭素を2つの主要なユースケースで利用できるようになったのです。

  1. 完全な透明性のあるパブリックオフセット
  2. 担保(投機、投資、遅延オフセット)

様々な品質のトークン化されたカーボンクレジットを保有することで、企業は炭素価格上昇の影響をヘッジすることができます。これにより、需要が増加し、価格上昇の圧力がかかり続けることになります。

価格圧力が高まれば、企業にとってより深い気候変動対策に投資するインセンティブが高まります。例えば、カーボンクレジットの価格が上昇すればするほど、事業やサプライチェーンの脱炭素化に向けた投資の費用対効果が高くなる可能性があります。

この価格圧力は、初期段階の二酸化炭素除去技術に対する財政支援も後押しすることができます。危機の緊急性と深刻さにもかかわらず、この技術は現在の炭素価格の低さのために拡張に必要な資本が不足しています。

1.3.3 資本形成のための投機の注意点

しかし、資本市場形成における投機の役割には、ReFiムーブメントが成功するために、慎重に対処する必要のある多くの課題があることに留意する必要があります。

もし、ReFi が現場で最も優れた気候変動対策に資金を提供できなければ、この運動は失敗となります。

もしReFiが、年間数十ギガトンの二酸化炭素排出の緩和と隔離に直接つながらなければ、この運動は失敗となります。

Klimaの時価総額が2週間足らずで10億ドルに達したのは目を見張るものがありましたが、これまでにKlimaのトレジャリーに1600万トンが保管されていますが、現場のプロジェクトオーナーに融資されたのは3000万ドル〜5000万ドルに過ぎないように思えます。このことから、登記所やブローカーから手数料を差し引いた後、オーナーが1トン当たり平均1.88ドル〜3.13ドルを受け取ったと推測されます。これらのクレジットの多くが古いものであることを考えると、プロジェクトに融資された実質的な数はさらに少なくなる可能性があります。

Klima DAOは気候変動対策に向けた全体の動きを活性化させる素晴らしい仕事をしたが、現在、トレジャリーは逆ボンディングを開始しようとしており、Klimaの「炭素のブラックホール」が今にも反対の動きをしようとしており、プロトコルを存続させるために、低品質のクレジットを市場に投棄します。

これは、ReFiムーブメントが気候変動対策を拡大しようとするために「担保資産としての炭素」のユースケースを活用しようとする際に直面する課題を浮き彫りにします。

また、個人的な富を蓄積することを第一の目的とするミッション駆動型コミュニティの限界も浮き彫りにしています。

1.3.4 透明性・説明責任の向上

カーボンクレジットのトークン化は、不十分な説明責任、透明性、スケーラビリティの問題にも対処するものです。しかし、緊急に解決しなければならない他の多くの炭素市場や気候変動資金調達の問題には対応できていません。

カーボンクレジットをブロックチェーンに乗せることで、透明で一般に公開されたレジストリの一部となり、インターネットに接続できる人なら誰でもそれを使ってオフセットの要求を検証することができるようになります。つまり、カーボンクレジットに関連するすべてのデータ(使用された方法論、場所、年代など)が、常にオンラインで確認できるのです。

🪙Toucanが複数のレジストリのカーボンクレジットをブリッジすることで、VCM全体を網羅する「メタ・レジストリ」が作成され、統一された透明性のある炭素市場が提供されます。

現在、企業のネット・ゼロ・コミットメントの妥当性を理解するためには、誰かが大きなPDFの株主報告書を読み込まなければなりません。Toucanのメタ・レジストリのビジョンが実現すれば、企業は、誰もがネットゼロの主張の完全性を検証できる単一のダッシュボードを持つことができるようになります。

(余談ですがノルウェーの企業DuckyはChainlinkと提携し、炭素排出量データを主要なブロックチェーン上に乗せています。これにより、ネットゼロの排出量側が、Toucanによってトークン化されたオフセットとともにオンチェーンで検証されることになります。排出量とオフセットの両方のデータをオンチェーンに載せることで、説明責任と透明性の決定的な向上が期待できます。)

1.3.5 MRVを促進し、価格発見を可能にする

Toucanのトークン化された炭素クレジットは、測定、報告、検証(MRV)に関する重要なデータも保持しています。つまり、このデータは、すべてのレジストリや検証機関で標準化されアクセス可能になるだけでなく、より効果的な価格発見を可能にすることができるのです。

現在、価格を決定する主なファクターはクレジットの年数であり、クレジットが古ければ古いほど、(一般的に)価格は低くなります。年数というのは品質の代用にはなりません。

発行されている様々な種類の炭素クレジットと、それらが惑星や社会に与える正味の影響を正確に評価するためには、より効果的な品質の尺度が必要です。

幸いなことに、トークン化された炭素とオンチェーン市場のインセンティブは、Regen Network、Open Forest Protocol、その他のプロジェクトを通じて、デジタルで分散化されたMRVの進化を促し、これによって、より効果的な価格発見が気候に対して前向きな行動を促進して、新しい市場を開拓します。

1.4 トークン化されたカーボンの話

数年間、あらゆる取り組みでカーボンオフセットのトークン化の実験を行っています。RegenNoriMossの3つの素晴らしいプロジェクトは、この分野の困難で画期的な調査を行い、トークン化されたクレジットが炭素市場の革新を促進する最初の事例を提供しました。

RegenとMossの両社は、この炭素市場の進化を続けるために、KlimaDAOToucan Protocolと相乗効果を発揮することを選択しました。2021年10月以来、このパートナーシップは専門知識を提供し、流動性を高め、これまでにない方法でトークン化された炭素市場の規模を拡大することに貢献してきました。

Regenの台帳は生態系資産に特化して設計されており、バリデーターの大規模なコミュニティ(その中には現場の先住民の土地管理人もいます)があり、それらはネットワークの安全確保を支援し、Toucan Protocolのための流動性とその結果としてKlima DAOなどを通じてオンチェーンの需要を提供しています。

同様に、Mossのアマゾンでの深いインパクトは、ReFiムーブメントに高品質の自然由来クレジットを大量に供給していることです。Mossのリーダーシップは、自然由来の炭素ソリューションを拡大するために、オンチェーンカーボンに関する単一の統一規格が極めて重要であることを認識しています。

MCO2をToucanのTCO2規格に変更するというMossの決定は、よく設計された統一規格の価値を反映しています。また、ReFiムーブメントの協調的な性質が最もよく表れています。これは、Web2.0の競争的な性質とは全く対照的なものです。

1.4.1 富の創出と気候変動対策

KlimaDAOとToucan の成功は、2つの広範な動機を利用する巨大な機会を表しています。

  1. 富の創出と保全
  2. 意義ある気候変動対策の実現

ここで行われているダイナミクスはもっと深く掘り下げる必要があるということを理解してください。KlimaDAO側のストーリーの詳細を是非ご覧ください。

1.4.2 最高のプロジェクトへの資金提供

ToucanはKlima DAOと共同で最初のプール(BCT)をキュレーションし、後に企業によって使用される低品質のカーボンクレジットのグリーンウォッシュを防ぐために「床を掃除する」ことを目的としていることを明言しました。BCTはスタート地点に過ぎませんでした。長期的な目標は常に、最良の気候変動ソリューションに対する資金調達に役立つインフラを構築することです。

Taucanが、現場で最も再生産的な取り組みに融資することに注目していることは、Klima DAOの意図とは対照的に、市場の生産性を最大化するためにはDeFiで非常に競争的な市場を構築することに注目をしているということが最近明らかになったということを強調するのに重要です。

最も地球に優しいプロジェクトに資金を提供するというこの旅の大きなマイルストーンとして、Toucanは最近、自然由来クレジット(NCT)のみを対象とした2つ目のカーボンプールを立ち上げました。これは、オンチェーンでの説明責任と透明性という独自の利点を備えた高品質のクレジットを求めるオフセット業者や投資家からの高まる需要に応えるものです。

トークン化された炭素が話題になるにつれて、他のReFiプロジェクトは、より持続的な気候危機のソリューションを拡大させるために、将来のカーボンクレジットの価格上昇の勢いを利用しようと模索しています。

Solid World DAOEden DAOは、自然と技術に基づく炭素の将来の供給を制限する気候対策の資金問題のいくつかに対処しようとしている、ローンチ前の2つの例です。これらのプロジェクトの両方がToucanのインフラを活用する意向を表明しているという事実は、近い将来、統一されたオンチェーン炭素市場が出現する可能性が高まっていることを示しています。

これらは、手遅れになる前に気候危機の解決に資金を提供するために、当面の重要な投資をもたらす可能性を秘めた2つの輝かしい例に過ぎません。気候変動対策とWeb3の交差点には、120を超えるプロジェクトのReFi指導者が多くいて、その多くが軸として炭素市場を模索している。

CeloのClimate Collectiveにいる我々の友人であるNirvaanは、120にも及ぶReFiの実証実験間の関係を示したディレクトリのネットワークマップを作成しました...

CeloのReFiのClimate Collective Map(WIP)
CeloのReFiのClimate Collective Map(WIP)

1.5 オンチェーンカーボンを拡大させるための障害

1.5.1 dMRV

分散型MRVが次のフロンティアとなり、炭素市場を深く着実に拡大するために必要なもう一つの重要なボトルネックを解き放つと思われます。現在、少数の登録機関 (VerraGold StandardClimate Action ReservePlan Vivoなど) があり、少数のスタッフが世界中を回り、炭素クレジットを検証し、発行しています。この方法では、意味のある形で気候変動に対処するために必要なレベルまでスケールアップすることはできません。

現在のシステムは、レガシー市場において炭素クレジットを受け取るプロジェクトになるために必要な規模や資本の面で、大きな参入障壁があるのです。Airbnbが個人宅のホストがホテルチェーンと競争できるようにしたのと同様に、規模を拡大するためには、炭素クレジットの測定、報告、検証のプロセスを分散化する必要があるのです。

オンチェーンでの発行を伴ったweb3ネイティブの分散型MRVプラットフォームにより、様々な方法論とその有効性に関する根本的な疑問にも対処することができます。

1.5.2 競合規格と断片化した流動性

炭素をブロックチェーンに乗せることでもたらされる機会を利用しようと、Toucanの類似プロジェクトが続々と登場しているため、最近、カーボン規格が急増しています。Toucanがオンチェーンカーボンの85%以上の市場シェアを持っていることを考えると、これらの新しい規格は、流動性と透明性、そして潜在的な説明責任に影響を及ぼす断片化を引き起こすリスクがあります。

Flow Carbon

Flow Carbonは、Toucanのブリッジに代わる「カストディアル」サービスを提供する新しいベンチャー企業で、特に秘密鍵の複雑な管理(Web3には不可欠だが、技術的な部分)を行いたくない人向けに作られています。Flowのカストディアル・モデルは、「双方向」ブリッジを可能にし、トークン化されたクレジットを「アンラップ」してオフチェーンの世界に戻すことができます。

このカストディアル・モデルは、特定の状態にある中央集権的なエンティティの信頼に依存しており、市場の完全性を保証するために伝統的な会計機能を実行します。これは、Web3が成熟していく一方で、Web2企業をオンチェーン炭素市場に参入させるために重要な機能を提供するものと思われます。しかし、デメリットがないわけではありません。

Web3の熱狂的なファンは、中央集権的なカストディアルモデルは検閲、規制、腐敗に対して脆弱であることを歴史が示しているため、懸念を表明しています。

Flowは、ただブリッジを作っているわけではありません。彼らは、プロジェクトファイナンス、企業向けカーボンブローカーサービス、トレーディングアーム、そして深い流動性を持つカーボンプールなどの垂直統合されたカーボンビジネスを作っています。また、プロトコルを管理し、流動性を高めるために、DAOとトークンを立ち上げる予定です。

噂されている資金調達、戦略、初期の牽引力から、Flowは気候変動ソリューションの拡大において重要な役割を果たす可能性を秘めています。

C3:Klima DAOの腕の見せ所

Klima DAOの分派である疑似匿名のC3「AIベース」のLikvidiは、競合するオンチェーンカーボン規格の例となるもので、整合性、透明性、正当性に疑問を投げかけます。C3は、トークンのインセンティブと(カーボントレーダーAitherVerraGold StandardへのAPIアクセスによって提供される)自動ブリッジングを備えたToucanフォークであると公言しています。

競争はどのような市場でも歓迎されるべきものですが、ReFiコミュニティは誤った表現に注意する必要があります。また、(DeFi 1.0におけるイールドファーミングのように)裁定取引や非常に投機的な取引を助長するような短期的で持続不可能な流動性インセンティブにも懐疑的であるべきです。

短期的なインセンティブによる多額の資金によって、多くのDeFiトレーダーやカーボンブローカーが大金持ちになることは必至ですが、この資金のうちどのくらいが現場で気候変動と戦っているプロジェクトオーナーに流れるのでしょうか?

また、偽名に隠れた関係者にも注意が必要です。暴力的なソーシャルメディアへの投稿やその他の攻撃的なコミュニケーションに見られるように、よく証明されており、時には有害なオンラインの抑制効果は、多くの疑似匿名の関係者によって表させる自制心の欠如を説明します。

完全性の問題

DeFiに見られる疑似匿名主義(チームが自分たちのために漫画のアバターや偽名を使うことを決める)の傾向は、従来の炭素市場や企業のオフセット業者をWeb3の時代に導くために必要な信頼構築のプロセスに対する脅威となります。

中心的な関係者が、物事がうまくいかないと自分のアイデンティティを捨てることができ、またそれを厭わないのであれば、どうやって深い完全性を持ったオンチェーン炭素市場を作ることができるでしょうか?

!?Fortune500社は、偽名や漫画のキャラクターと交流して、公的なネットゼロを果たせるのでしょうか?

1.5.3 実際の気候変動への影響に注目する

発足したばかりのReFiムーブメントが直面している課題は明確です。

急速に進化する Web3 の世界に関わるリスクを回避しながら、意味のある気候変動への影響を生み出すにはどうすればよいのでしょうか?

最近、Web3でお金を稼ぐのはとても簡単なようですが...

世界経済を脱炭素化し、海や大気から炭素を取り除くのは、非常に大変です。

私たちは、世界のサプライチェーンから化石燃料を取り除き、大気中の二酸化炭素を除去することに、痛切なまでに注力する必要があります。

また、炭素市場を政治的なプロセスまでに視野を広げる必要があります。どうすれば民主主義から化石燃料の利権の支配を取り除くことができるのでしょうか?どうすれば、人々が自治体に影響を与え、気候変動に配慮した政策を実施する力を与えることができるでしょうか?

これらは、Web3の力を使って気候を安定させるための最良の方法を探る上で、ReFiムーブメントが取り組むべき多くの価値ある問いのほんの一部に過ぎないのです。

第2の柱:生態系の回復

世界の生物多様性のホットスポットの多くは、強力な炭素吸収源でもあり、自然の喪失を回避し、自然に基づく除去が自然システムの保護と拡大に役立っているのです。さらに、自然ベースの炭素ソリューションの主な「コベネフィット」の1つは、生物多様性への影響についてです。

したがって、炭素クレジットのトークン化は、生物多様性クレジットをキーとする、より大規模で広範な自然資本資産市場の基礎を築くことは明らかであると思われます。

2.1 自然資本のトークン化

トークン化された炭素とトークン化された自然資本との対比は、以下のことを強調することが重要です。

😮私たちは今、物理的な物や生き物を、透明で、プログラム可能なデジタルな表現で作ることができます。私たちは今、地球に優しいお金を作ることができます。

🧐コミュニティ、リモートセンサー、衛星技術を活用したdMRVの進化に伴い、生態系の保全と大規模な回復を促す暗号通貨を作成するために、個々の樹木や生物の健康状態を監視することが間もなく可能になります。

このような現象が持つ力を無視することはできません。この流れは、気候を安定させ、生態系を回復させ、社会的正義と公平の新しい時代を築く可能性を秘めているのです。

炭素はまだ始まりに過ぎません。ReFiはこの機会を利用して、草原、森林、サンゴ礁、その他すべての不可欠な生息地などの自然資本を保護し、回復させる必要があるのです。

現在、自然資本資産と、隔離・緩和された炭素のコベネフィットをトークン化することに取り組んでいる先駆的な組織がいくつかあります。各プロジェクトは問題の特定の部分に特化しており、より大きなインパクトを与えるために資源や情報を調整しています。

これらのパイオニアには、以下のようなものがあります。

もし私たちが土地管理人と協力して、大きな流動性を持ったトークン化された自然資本市場を作り、展開することができれば、数十ギガトンの炭素を除去し、数百万ヘクタールの生態系を回復させ、数十億人の社会的公正を育むことができる数兆ドルの市場を作ることができる可能性があるのです。

一見、高邁で野心的な目標に見えるかもしれませんが、これこそが私たちの時代における挑戦なのです。80億〜90億の人々と、私たちが依存している地球上の膨大な生命を大切にしながら、化石燃料を急速に取り除くために、私たちはどのように世界経済を再設計すればよいのでしょうか?

生物多様性は惑星の健全性を測る一つの核となる指標ですが、それ以外にも多くの指標があります。私たちは、炭素という近視眼的な視点にとらわれず、人間も含めた地球上の全ての生命の多様性を守り癒すために、どのようにお金をデザインし直せるかを模索すべきなのです。

3. 第3の柱:正義の確立

ReFiムーブメントの第3の柱は、私たちが知っているけれども、文明を苦しめている膨大な不平等や制度的偏見に対処するために、人間が公正な社会を設計する必要性に取り組むことです。経済的な意味では、配慮をしているコミュニティに根ざした活力ある地域経済が出現することです。人と地球をつなぐこれらのシステムは、気候を安定させたり、自然の生態系を回復させたりするだけでなく、人間関係と信頼という形で社会資本を回復させるお金の生態系を生み出すでしょう。

この領域で最も有望なミッション駆動型ブロックチェーンの一つがCeloです。Charles Eisenstein氏の研究に触発された再生経済学に根ざしたCeloの使命は、地球を含むすべての人の繁栄のための環境を作り出す金融システムを可能にすることです。

celo.orgの公開時の画面
celo.orgの公開時の画面

2021年8月に、1億ドルのDeFi for the Peopleという取り組みを始め、世界60億人の携帯電話ユーザーがDeFiを利用できるようにすることを目指しています。また、送金市場の変革にも注力しており、金融仲介業者からの高額な手数料や国家からの制約を受けることなく、世界中の大切な人にシンプルかつ安価に価値を送金できるようにすることを目指しています。

また、CeloはProof of Stakeブロックチェーンで、カーボン・ネガティブを謳っており、運用の際に発生する排出量よりも多い量をオフセットします。

世界最大のユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)という実験はImpact Marketと呼ばれ、現在、この組織のテーゼは現在Celo上で実行されています。Impact Marketは、「分散型貧困削減プロトコル」と自称し、弱者であるコミュニティーのメンバーに、Celoブロックチェーンを通じて世界中の人々からクラウドソーシングされたベーシックインカムを提供するもので、すべてスマートフォンの簡単なインターフェースで利用できます。

Flori VenturesTomer Bariach氏がReFi Podcastのインタビューで語ったように、人々が基本的なニーズを満たすことができれば、お金と引き換えに自然環境を破壊する可能性は低くなるという仮説があります。直感的には、これは理にかなっています。

もし我々が、人々に基本的なニーズを提供したり、深い人間関係を支える活気ある地域経済を育成したりすることができれば、人々が木を切り倒したり、広大な生態系を破壊したりするそもそもの原因を解決することができるのではないでしょうか。

もし、私たちが公正で公平な多様である包括的なシステムを作ることができれば、私たちが行う決定が、少数ではなく多くの人々、つまり地球と人類に利益をもたらすことに気づくかもしれません。

ReFiの準備が整いました。あなたはどうですか?

お金をデザインし直す時が来ました。
気候危機に対処する時が来ました。
私たちは必要なツールをすべて持っています。

あなたは何を待っていますか?

結論と行動の呼びかけ

「ReFiとは何か?」シリーズ第1弾をお読みいただき、ありがとうございます!これは、私の友人であるAnna Watson博士の助けなしでは、紆余曲折の末に、これを読むのに値する状態にもっていくことはできなかったと思います。

私の心に火をつけてくれたKlima DAO、そしてローンチ後にサポートするという私の申し出に応えてくれたTaucanのRob氏がいなければ、私はここにいなかったでしょう。

このムーブメントはあなたのためにある

ここまでくれば、あなたも気候変動に意義を持って取り組むために人生を捧げようとする意欲的な人たちの一人である可能性が高いです。私は、あなたがこのムーブメントに参加する手助けをしたいと思います!🙏🏼

TwitterのDM(@climateXcrypto)かLinkedINのメッセージ(John Ellison)に、短い来歴とあなたが求めているものを書いて送ってください。この素晴らしいコミュニティーの人々とあなたをつなぐことで、お役に立てるよう最善を尽くします。

Web3の学習の一環として、私はこの記事をNFTとしてミントすることを決め、NCTと関連するすべての排出量を相殺することにします。私が受け取った収益は、ReFiの物語を伝え、より多くの人々に参加してもらうために直接使用されます。

この度はありがとうございました

気候変動対策とWeb3の交差点で働きながら学んだことを共有できることを光栄に思います。気候変動に対して意義のある行動をする機会を与えてくれたKlima DAOとToucanのコミュニティにとても感謝しています。

他の多くの新興の取り組みとともにReFi DAOの本拠地となったReFi SpringReFi Podcastの火付け役となったすべての人々に感謝します。

この記事は、私という一つの視点から見たReFiの表面をさらったに過ぎません。

私たちは皆、偏見と盲点を持っています。あなたの目、そして私の目を通して世界を見る手助けをしていただければ幸いです。

愛をこめて。

J
@climateXcrypto

Subscribe to Fracton Research
Receive the latest updates directly to your inbox.
Verification
This entry has been permanently stored onchain and signed by its creator.
More from Fracton Research

Skeleton

Skeleton

Skeleton