今回のポッドキャストでは、過去6ヶ月間Gitcoinで仕事をしてきた研究者で博士候補生のJoel Millerと、GitcoinのプログラムWSのデータサイエンティストであるUmar Khanが、クラスターマッピングの奥深さに迫りました。

出典（2023年10月23日）：

以下、要約です。

クラスターマッピングは、Gitcoin Grants Round 18で実装された、Quadratic Funding (以下、QF) におけるシビル攻撃に対抗するための新しいアプローチです。Joelはこのテーマで論文を執筆しており、洗練されたアルゴリズム手法を使ってQFマッチングプールの参加者間の共謀を減らすことを目指しています。QFは参加者間の独立性を前提としていますが、現実世界では共謀が起こります。クラスターマッピングは、貢献者間の類似性を識別し、それに応じて資金を調整することで、これらの課題に対処します。

クラスターマッピングは、貢献者間の社会的距離を測定することに焦点を当てており、より多様な支援がプロジェクトに対する資金提供の増加につながります。クラスターマッピングの核心は、貢献者間の類似性を特定して資金を調整することで、多様性を促進し、共謀の影響を減少させることです。このアプローチは、システムを攻撃することをより困難でコストのかかるものにすると同時に、本物の多様な貢献者に利益をもたらします。

クラスターマッピングの有効性とコミュニティの受容が鍵となりますが、データによれば、クラスターマッピングはシビル攻撃に効果的に対抗し、本物の貢献者に不利益を与えることもありません。貢献者の大半はユニークであり、このメカニズムが多様性を促進する上で有効であることが検証されています。

ほとんどの寄付者の寄付パターンはユニークであり、潜在的なクラスターと一致します。この仕組みは、類似した寄付パターンを持つ大規模なクラスターは、過度な共謀が行われている可能性が高く、マッチング資金は適切に削減されます。

寄付者の大部分にとって、寄付をすることに変化はありません。ほとんどの寄付者はすでにユニークな存在であるため、行動を変える必要はありません。1つか2つのプロジェクトにしか寄付しない人は、独自性を確保し、その影響を最大化するために、より多くのプロジェクトを支援することを検討するかもしれません。

Joelは様々なクラスターマッピングアルゴリズムの実装とテストを行いました。最も効果的なアルゴリズムは、そのパフォーマンスと期待される結果との整合性に基づいて選択されました。

Gitcoinは、マッチング資金の調達と、シビル攻撃や共謀への対処という2つの大きな課題に直面しています。クラスターマッピングは、攻撃者が共謀を行っていると疑われないように様々な公共財をサポートしなければならないため、攻撃者のコストを引き上げます。言い換えると、このシステムは、攻撃者の努力を利用して不注意にも公共財をサポートするように設計されています。

Web3における研究の実用化への移行の速さは注目に値します。1つの論文がクラスターマッピングの基礎を築き、そのうちの1つはこのポッドキャストを撮った時点ではまだ1年も経っていません。この速いペースでの実装は、コミュニティ内のリーダーたちからの積極的な働きかけによるところもあります。

理論的なモデルから実践的なアプリケーションへの移行は、重要な詳細と課題を浮き彫りにします。現実世界では成功の測定方法が異なるため、新たな洞察や学習が得られます。Gitcoinのプロセスは、QFラウンドの実施、データの観察、理論家の助けによる方向づけ、ガバナンスによる決定の繰り返しです。これは理論家と実践家の間に相乗効果を生み出し、クラスターマッピングのようなメカニズムの有効性を高めています。

将来的には、ラウンド後のプロセスをより透明で自動化し、人間が介在する主観的なアプローチから脱却することを目標にしています。この移行は、ガバナンスの正当性と集団的意思決定を強化することを目的としています。

焦点は、GitcoinのQFとGitcoin Passportを改善し、シビル対策を実現することです。メカニズムの複雑さと見やすさのバランスをとってメカニズムが効果的かつ理解可能であることを示すことが課題になっています。

将来的には、Conviction Voting、Assurance Contract、Ranked Choice Votingなど、QF以外のさまざまなメカニズムを取り入れることを想定しています。

将来的には、ユーザーが自分の好みや価値観に基づいて選択できるようなメカニズムのツールボックスを作るという、メカニズム設計における多元的で民主的なアプローチを目指しています。

非中央集権的でモジュール化されたエコシステムへの移行は、より柔軟で多様な意思決定プロセスを可能にします。透明性、中立性、腐敗のない資金調達の決定が重視され、信頼できる中立的なメカニズムを通じて行われるようにします。アルゴリズムの役割は、意思決定者としてではなく、集団的な意見や価値を資金調達の意思決定に反映させる中立的なルーターであると考えています。