このブログは、クリプトプロジェクトのファウンダーとして私の個人的な視点から書かれています。記載されている内容は全て、金融的なアドバイスとして解釈すべきではありません。このブログおよび弊社のサービスは、アメリカのユーザー向けに作られたものではありません。For the English version of this post, please click here.
TGE関連のイベントが完了次第、私たちは2025年Q2のLINEでのシーズン2ローンチに向けて、Farm Frensの改善に全力を注ぎます。
それまでの間、Farm FrensのTelegram版は完全にWeb2ゲームへ移行し、当面の間アップデートの提供は行わない予定です。
フレンズの多くはゲーム開発プロセスに馴染みが無いと思われますので、少しでもご理解いただけるように、このブログで以下の重要なトピックについてご説明します。
なぜゲーム開発は難しいのか
大規模な開発のために停止する時間が必要な理由
シーズン1のTelegram版でプレイヤーが感じた主な課題
シーズン2のLINE版でどのように解決するのか
他のメディア形態とは異なり、ゲームはリリースまでに多くの時間とリソースが必要です。
そのことについて、私が見た中で最も分かりやすい説明は、インディーゲームデザイナーとして有名なDaniel Cook氏(彼のスタジオであるSpry FoxはNetflixに買収されました)が投稿した、X(Twitter)のツイートスレッドで共有されていました。
以下に、その全文を日本語訳で記載します。
ジョークとしてよく言われるのが、「熟練したゲームデザイナーは新人の20倍効率的だ。なぜなら、正しい判断を下せる確率が1%ではなく20%だから」というものです。では、なぜゲームデザイナーは80%の確率で間違えるのでしょうか? そのミスは小さいものもあれば、大きなものもあります。計画が甘いのでしょうか? 彼らが無能だからでしょうか? 熟練した画家が80%の確率で作品を台無しにすることはありません。では、なぜゲームデザインはこんなにも難しいのでしょうか?
私が一番の原因だと考えるのは、「制作 → 体験 → 修正」のサイクルに大きなギャップがあることです。絵やイラストのようなメディアは、作者自身がリアルタイムで「セルフプレイテスト」を行うことができます。しかし、ゲームデザインではそれができません。
たとえば、絵を描くときは、常に「描く → 観る → 反応する → 修正する」のリアルタイムな繰り返しが可能です。このプロセスを何千回、場合によっては何万回も繰り返すことで、作品が完成していきます。文章を書く場合も同じで、大きな編集作業は後から入るものの、基本的には「書く → 読む → 修正する」のサイクルを高速で回すことができます。つまり、最初のドラフトは、実際には「セルフプレイテスト」を何千回も繰り返した末のものなのです。
もちろん、文章や絵でも、作者が読者や視聴者の反応を完全に予測することはできません。「作者の死(Death of the Author)」という概念もあります。しかし、経験豊富な作家や画家は、ターゲット層に合った作品を作る感覚をある程度持っています。悲しい場面は悲しく、楽しい絵は楽しく見えるものです。
しかし、ゲームはまったく違います。「制作 → 体験 → 修正」のサイクルがうまく回らない要因がいくつもあります。
反復のスピードが遅い運が良ければ、特定の要素を数分で変更し、すぐにテストできます。しかし、通常はもっと時間がかかります。
システムの完成が遅れると、プレイヤー体験を完全に把握できないすべてのシステムが揃わないと、プレイヤーがどう感じるかを正しく評価できません。私が関わったゲームでは、基本的なフローやバランスをテストできるようになるまで1年半かかりました。これは珍しいことではありません。まるで、目隠しをしたまま絵を描き、1年後になって初めて自分の作品を確認するようなものです。
ゲーム開発者はバイアスのかかったテスターになる多くのゲームにはスキル習得や知識が関わります。開発者はゲームについて深く理解しているため、新規プレイヤーが直面する課題に気づきにくくなります。新規プレイヤーの視点に立つことはできますが、限界があります。
システムの複雑さが予測を困難にするソーシャル要素、予期せぬシナジー、プロシージャル生成、ランダム要素、指数関数的な成長など、ゲームには直感的に理解しにくいシステムが多く含まれます。これらを理論上うまく計画しても、実際にプレイしてみると全く違う体験になることが多々あります。
セルフプレイテストが機能しないゲームデザイナーは、ある程度「頭の中でゲームをプレイする」ことはできますが、それだけでは不十分です。最終的には、実際にプレイテストを行う必要があります。しかし、そのテストには時間がかかるのです。
[…] つまり、文章や絵と違い、ゲームデザインは「できるだけ早く反復しながら、最小限の変更で、最終段階でも大きな調整が可能なプロセスを作る」ことが求められるのです。
ここで注意すべき点として、上記の引用の著者であるDanielは、主にボックス製品(買い切り型ゲーム)のデザインで知られているということです。つまり、彼のスタジオであるSpry Foxがゲームをリリースした後、彼らはそのゲームを継続的に更新し続ける必要はありません。
しかし、Farm Frensのようなライブサービスゲーム(あるいは、私たちAmihanチームがこれまで手掛けてきた『League of Legends』や『MapleStory』のようなタイトル)は、ゲーム本体のリリース後に継続的にコンテンツを配信するゲームモデルとなっており、その継続の難しさはボックス製品とは比較にならないほど高くなります。
このため、ライブサービスゲームの運営と開発は「豪華クルーズ船を建造し、航海すること」に例えられます。
船が港に停泊している間に、より多くの時間と資金を投資してアップグレードすれば、航海中に提供できるアクティビティの種類も増やせます。
もちろん、航海中に新しいイベントを即興で提供することも可能ですが、基本的には出航前の準備によって、船内で提供できるものが決まります。
たとえば、クルーズ船にプールや温泉、ウォータースライダーを提供したい場合、それらのインフラを事前に設計し、配管を整えておく必要があります。
このアナロジー(ある事柄をもとにして他の事柄について推し量ること)は、非常に重要であり、この投稿の中で何度も参照することになります。
2024年5月、私たちのチームはTelegramでのCatizenの早期成功を耳にし、Farm Frensのデザインを開始しました。開発開始からわずか4ヶ月で、私たちはゲームのMVP(minimum viable product = 最小限の実用的な製品)バージョンを発売するため、急いで取り組みました。(比較として、Scopelyは『Monopoly GO!』をリリースするのに7年を費やし、その後、そのゲームはモバイルゲーム史上最速で30億ドルを超える売上を記録しました)これをユーザーにわかりやすく示すために、私たちは最小限でありながら航海に耐えうる船をリリースするために、十分な時間を確保しました。
Farm Frensをリリースした際、私たちはそのゲーム体験に多くの点において課題があることを認識していました。しかし、前節で引用したDanielの言葉通り、ゲーム開発者として私たちは必死にユーザーからのフィードバックと市場での検証を求めていました。このプロジェクトが、私たちのチームが時間とリソースを費やしてさらに広げていく価値があるものか。それとも私たちは、自分たちが作ったゲームに対して偏った見方をしていないか、客観的に評価できているかを知りたかったのです。私たちのゲームという船は浮かぶのか、それとも沈むのか?
初期のフレンズコミュニティからの素晴らしい熱意とサポートを受け、私たちはこのプロジェクトが特別なものであることを確信しました。しかし、ゲームがリリースされ、もはや港に停泊していない今、私たちはユーザーを満足させるために全力を尽くさなければなりませんでした。
初めの頃は、バグや技術的な問題が山積みだったため、新しい機能の開発に着手する余裕すらありませんでした。少人数のチーム(20人ほど)で行うQAと、何千人ものユーザーが一斉にゲームに参加することで発生する問題があり、このような負荷の中でゲームを稼働させるだけでも、最初の1ヶ月は非常に多くの労力を費やしました。バックエンドチームは、プレイヤーの流入に合わせてサーバーを拡張させるために、昼夜問わず作業を続けました。
最終的にシステムやプログラムの構築が安定した状態にでき、新しい機能の設計・開発をスタートしました。
次に、私たちがどのようにしてフレンズを満足させるようなリリースをしたのかについて、振り返ってみましょう。
9月16日: Farm Frens Telegram版リリース
10月14日: Yield Field
10月24日: Hamato来訪
11月6日: 「Chili Weather」イベント
11月13日: Gronk来訪
12月5日: 「Winging It!」イベント
12月21日〜1月5日: 年末年始スタジオ冬季休業
1月29日: マルチプレイヤープランクス
2月3日: シーズン2開発開始
しかし、私たちのゲームはすでにライブサービスとして稼働しており、日々アクティブユーザーがいる状態だったため、ゲームを改善する手段にはかなりの制約がありました。製品のコアエンジンやエコシステムに大規模な変更を加えることは、サービスをクラッシュさせたり沈没させたりする恐れがあったため、私たちは来訪者システムやイベントシステムなど、影響の少ない更新に限らざるを得ませんでした。もちろん、ライブサービス中にユーザーのお問い合わせにも対応し続けなければならず、チームの進捗速度が遅くなっていきました。
時間が経つにつれ、私たちはユーザーから集めたデータやフィードバックを通じて、ユーザーが繰り返し言われてきた共通の問題点が、ほんの少しのアップデートでは解決できないことに気づきました。そのため、Farm Frensの新たな戦略計画を再構築することに決めました。Telegramの荒れた海で水をかき分け続けるのではなく、港に戻り、LINEという新しいブルーオーシャンに向けて、より一層全力で取り組むという方針です。
私たちAmihan社のコアバリューの一つは「ユーザーファースト」です。Riot Gamesのようなユーザー重視のスタジオでの経験を引き継ぎ、私たちのチームは次世代のユーザーに対して、最高のサービスを提供することに全力を注いでいます。そのため、Farm Frensの今後のロードマップは、現在および将来のユーザーが抱える、最も重要な問題を解決することを念頭に置いています。
これまでのフレンズとのすべてのやり取りを通じて、シーズン2に向けて改善すべき主要な問題点をまとめました:
もっと双方向に
もっとユーザーの選択肢を
もっと進歩を
もっとソーシャルに
Farm Frensを初めてプレイする新規ユーザーを見ていると、よくユーザーがファーム内のさまざまなエリア(キャラクター、土地、建物など)をタップしようとするのですが、多くのものと双方向にやり取りできないことにフラストレーションを感じている姿を見かけます。
このデザイン選択は、当初意図的なものでした。なぜなら、Farm FrensをTelegramでリリースした当時、最も成功していたプロジェクトにはNotcoin、Hamster Kombat、Catizenがあり、どれも非常にシンプルなゲーム体験を特徴としていました。私たちは、非ゲーマーやカジュアルゲーマーが多いと思われるTelegramのユーザーが、たくさんの双方向なやり取りの要素を持つゲームを簡単に理解できるかどうか分からなかったため、ゲームのMVPは最小限の要素とすることに決定したのです。
しかしリリース後、多くのユーザーから「ゲームのアートやキャラクターデザインが非常に気に入ったので、もっと自分たちでファーム内のさまざまなことに影響を与えられるようにしてほしい」という声をいただきました。そのため、シーズン2では、ゲーム内の農場シミュレーションや周囲のUIインターフェースにおいて、プレイヤーがもっと楽しく双方向にやり取りできる方法を追加する予定です。
ゲームにより多くの双方向のやり取りを追加することで、ユーザーが自分の農場を改善する方法を選ぶ際に、より多くの選択肢と裁量を持つことができます。シーズン1では、多くのユーザーがゲームのデータを分析して、最適な方法を考えようとする場面が見られました。
もし、シーズン2で特定のキャラクターや作物を農場でカスタマイズする追加機能が実装されたら、ユーザーはさらに進化させることができるでしょうか?このデザイン領域には短期的・長期的に楽しめる多くのアイデアがありますが、次のシーズンで導入予定の新しいシステムの一部をお見せします。
私たちは、課金した熱心なユーザーの多くが、Farm Frensのエンドゲームに早く到達し、その後やることがほとんどなくなってしまったことを認識しています。これは、チームが最も優先的に解決したい問題の一つでした。ですが残念ながら、ゲームマップのプログラムの基盤がしっかり整っておらず、安定性やバランスに大きな影響を与えることなく、簡単に少しずつ変更を加えることができませんでした。
シーズン2以降については、ユーザーがどれだけプレイしたり課金したりしても、新しいコンテンツをアップグレードしたり収集したりできるよう、より深いシステムを追加する計画で進めています。また、最も熱心なユーザーにとっても、エンドゲームを繰り返し楽しめるような新しいシステムも開発中です!
最後になりますが、シーズン2をLINEでリリースする際、Farm Frensが爆発的に広がることを目指しています。シーズン1のほとんどの間、Farm Frensは主にシングルユーザーの体験でした(約1ヶ月前にプランクをリリースするまでは)。にもかかわらず、私たちのゲームは急速に広まり、数ヶ月間にわたりTelegramのミニアプリでトップランクに入りました。
私たちはもっとより良くできると考えており、フレンズが一緒に遊び、笑い、楽しむための方法をさらに見つけていきたいと考えています。東アジアで開催したさまざまなオフラインイベントの中で、個人的にお気に入りのハイライトは以下の瞬間です。
Farm Frensのユーザーたちが、最初は見知らぬ人同士で集まり、後にフレンドリクエストを交換し、ゲーム内およびTelegramでフレンズとなった瞬間
この一瞬が私に深く感動を与え、私たちのチームがこのような魔法をもっと頻繁に起こせるように、もっと多くの機能を作らなければならないと強く感じました。
もしこの投稿から何も得られなくても、少なくともこれだけは覚えておいてください。Farm Frensのシーズン2は、2025年第2四半期にLINEでリリースされます。その内容は…
もっとやることがある
もっと決めることがある
もっとアップグレードや収集できるものがある
もっとシェアすることがある
そして、それはほんの始まりに過ぎません。
Farm Frensのシーズン1をTelegramでリリースした際、私たちのチームは初期のプロトタイプを維持し、フレンズたちが楽しめるよう最善を尽くしました。しかし、荒波の中で港から遠く離れている間にできることには限界がありました。
現在、私たちは港に到着し、ゲームのコアエンジン、経済、機能セットの大規模な改善を行うため、サービスを一時的に停泊させ、既存の延長線上のアップデートは行っておりません。この準備とアップグレードが必要なのは、再びLINEのブルーオーシャンに向けて出航する際に、冒険に出る準備が整った船へ進化させるためです。
その間、私たちは親愛なるフレンズたちに、進捗状況を引き続きお知らせします。
フレンズたちの変わらぬご支援に感謝いたします!