打ち上げ花火で終わらせない継続的な体験価値の共創を

人々のクリエイティブなチャレンジを通じて未来の当たり前を創っていきたい、Synamonの武樋です。

前回「メタバースと新プロダクトに懸ける想い」という記事をだしてから早半年が経ち、この度ブランディングやファンマーケティングに特化したプラットフォーム「SYNMN」をリリースすることができました。

 

プロダクトの詳細は別記事にお任せするとして、今回は本事業やプロダクトを通じて何を提供し、成し遂げたいのかについて少しお話させて頂ければと思います。

結論、一言でお伝えさせていただくと「デジタル空間を活用したファンエコノミー、クリエイターエコノミーの拡張、拡大」という話となりまして、少し長い一言だったかとも思いますがその背景について簡単に説明します。

 

ファンエコノミー、クリエイターエコノミーに向けて

そもそもSynamonは「Be creative, Make future」というビジョンを創業時から掲げており、冒頭でも記載している通り、クリエイティブな活動により世界を進化させ、未来の当たり前を作っていくことを追い求め活動している会社です。

そしてクリエイターの持つクリエイティブの源泉とは想いや、熱量、熱狂であるとも考えており、その情熱を持った方々=ファンと呼ばれる方々の特性と近いものであると言えるとも思います。

多少強引であったかもですが、クリエイターもファンも共に強い想いを持った方々という意味で共通性があり、彼らのパワーをSynamonが強みとするデジタル空間上でのコラボレーション=現在のバズワードでいうメタバースでの活動を通じて拡張、拡大させていくことを目指した取り組みを今回主軸として取り組む考えで活動しています。

(ちなみにSynamonでは「3Dデジタル空間✕インターネット」という幅広い概念、領域を「メタバース」と定義してます)

 

既にご存知の方も多いかと思いますが、ファンエコノミーやクリエイターエコノミーについては世界的にも大きな盛り上がりを見せ始めており、取り組みとして無視できない領域となってきています。

この領域の話をする場合特に例として挙げられることが多いコンテンツとして音楽グループのBTSがあり、ARMY(Adorable Representative MC for Youth)と呼ばれる彼らのファンのSNSでの拡散等の活動をベースに人気を広め、数々の世界的記録を作っています。

ちなみにTwitter(@BTS_twt)は4753.9万フォロワー、TikTok(@bts_official_bighit)は5350万フォロワー(10/5時点)という圧倒的数字です、やばいですね。

またこれらのファン活動において重要になっているのがクリエイターエコノミーであり、情報を受け取り消費することがメインのファン活動ではなく、SNSなどを通じてファン自ら情報わかりやすくまとめて拡散したり、歌ってみたや踊ってみた系の動画を投稿したりするなど主体的かつ創作的に活動、発信し、アーティストグループと共に世界観を作り上げていきます。

 

そしてこれら活動において根本に位置し重要になる考えとして、BTSとARMYそれぞれの距離が近く、参加型、共創型の取り組みになっていることも挙げられます。

アーティストが一方的にファンに向けて伝える、もしくは崇拝の対象としてファンから一方的に慕われるのでなく、ときには友達や仲間のように双方で親密さを築き、インタラクティブ性のある活動を行うことでより強固なファンエコノミーを形成していきます。

それはさながら1つの共同体のように機能し活動するようになり、世間的な影響力を持つまでに成長する可能性も秘めている取り組みです。

だからこそ1つネガティブなことが起きれば炎上と呼ばれる事態になるなど影響も大きく、一つ一つの言動や取り組みに注意を払い、活動することにもつながっています。

 

まずはBTSを例にお話しましたが、日本でも盛り上がるVTuberの活動も同様のファンエコノミー、クリエイターエコノミー構造になっていると考えており、好きな方はこちらを例に考えてみてもわかりやすいかもしれませんね。

VTuberの人気も全世界で天井知らずに伸びてますが、そもそも日本は世界的に見てもコンテンツが豊富な国であり、キャラクターメディアミックス総収益の世界ランキングでポケモンが世界1位になるなど(ちなみに2位はハローキティ)、コンテンツ大国、エンタメ大国と言えます。

このような歴史的なバックグラウンドもありつつ、コミックマーケットに代表される2次創作などのファンによるクリエイト文化なども親しみがある国ということで、思想や考え方についても既にインストールされているひとが一定存在する稀有な国にもなっているかと思います。

 

そんな日本では現在、若者を中心にコンテンツに向けたファン活動を「推し活」というワードで語られることが多く、更には従来のファン活動の感覚に近い1つの趣味としての活動という次元を超えて、推しの為に仕事をする、生きている、推しのためにお金はいくらでも出すといった、自分の生活のモチベーションアップや生きる糧として推しを作る方も多く出てきています。

そんな推し活も時代と共に徐々に変化が出てきており、手の届かいないアイドルに向けての尊い方向性の「推し」から、有名YoutuberやVTuberやストリーマーなどの配信者に対しての「推し」の勢いや規模がどんどん伸びて来ており、BTSとARMYの話同様に徐々に双方でコミュニケーションができるなどファンとの距離感が近く、日常が見えるなど親近感がある方向に活動ができる推し活が広がってきています。

ちなみに自分はこの活動を、従来の一方通行の推し活と区別する形で、熱量を持って活動しつつ、その活動によって推しを支援して共に世界観を作り上げるような参加型や共創型の推し活を「推し活 2.0」としてお話してたりします。

 

加えて、上記「推し活2.0」の話と合わせてお話したい推し界隈(特にネット界隈)で聞くネタフレーズとして「実質無料」や「お金を払わせて欲しい」というフレーズがあります。

「実質無料」は実際には支払いが発生しているが満足度やそれ以上であり対価に見合ってないと思ったときになどに使うフレーズであり、「お金を払わせて欲しい」も推しのためにもっとお金を使って貢献や還元をしたいという場合に使うフレーズとされています。

これらの根本にある概念としてこちらも最近注目されているギフトエコノミー(贈与経済)という資本主義の考えから外れて見返りを求めずに他者に与えることを優先する考えがあり、ファンエコノミーや「推し活」にも関連する概念となります。

欧州での「ノブレス・オブリージュ」なども近いと思いますし、日本でも昔から「お布施」という考え方が似た概念と考えてまして、「実質無料」や「お金を払わせて欲しい」はある意味お布施の考え方につながっているとも言えるでしょう。

そしてこのお布施の考え方も時代に合わせ変化していると考えており、ただ単にお金を贈与し満足するという考えではなく、与えたリソースを使ってより良いコンテンツを提供して欲しいしそのメンバーとして支え活動を共にしたいという、参加型、共創型ファンエコノミーの盛り上がりに合わせた変化も起きていると考えています。

こちらも個別でお話するときには「お布施3.0」というフレーズでお話してまして、リアルな寄付や贈与を「お布施1.0」 → オンライン上の投げ銭やスパチャなどを「お布施2.0」 → デジタル活動を伴いながら自らも共同体メンバーとして共創型の付与を行う「お布施3.0」という考えで分けています。

この「お布施3.0」の考えは直近のNFT界隈の状況にも近いと考えてまして、顔の長い動物のアイコンで有名なNFTプロジェクトである「Very Long Animals」のコミュニティのように、NFTを購入するだけではなく、自らコミュニティを盛り上げ貢献することで全体の価値が上がり回り回って自分にも還元されるような、循環型のエコノミーや共同体構造にて運営されるNFTプロジェクトが増えてきている、残っているとも考えていますし、まさに「お布施3.0」的な取り組みであるとも考えてます。

 

 

少し長々とお話してしまいましたが、これらコンテンツ側とファン側が双方向性の活動を行い、それぞれが時にはクリエイターとなり共に作り上げ、時にはその活動が1つの共同体のように動きつつ、緩やかに経済圏をも形成し活動を行い、規模と影響力を持つように成長していく。

そんな「推し活2.0」、「お布施3.0」のような双方向性のある概念や活動などを通じてファンエコノミー、クリエイターエコノミーを広げていき、未来創造を加速させたい、それが今回の事業、プロダクト、サービスで進めていきたい内容になります。

そして実はSynamonの創業期からの軸の一つとしてインタラクティブ、双方向性のある取り組みをするという考えがあり、VR空間上でのマルチプレイの仕組みをもとに初期のプロダクトも作ってまして、この点においても創業時から考えを振らさず活動している企業となってます。

 「ハレとケ」におけるケの領域でも使われるように

さてこれまでファンエコノミーやクリエイターエコノミーにフォーカスして話をしてきましたが、もう一つの要素であるデジタル空間、メタバース側の話も少しお話させていただきます。

メタバース空間はブランドの世界観などを反映させた独自の空間を構築提供や、インタラクティブ性のある体験型の価値提供ができるため、ブランドやIP、エンタメコンテンツなどと相性がよく活用事例も増えてきてます。

世界的にはNikeさんがRoblox上で「NIKELAND」提供していたり、国内においては直近開催された「東京ゲームショウ2022」ではVR会場が用意されるなどの事例もあります。

 

しかしここで合わせてお伝えする必要がある厳しめな内容として、これらメタバース空間を活用した取り組みはサクッと簡単にやろうなどといった甘い考えでできない施策であり、その考えで取り組んでしまうと寧ろマイナスな結果になる可能性も孕んだ取り組みであるというお話です。

Synamonでも過去にXR技術の提供をBtoB向けに取り組んできた中で、XRを技術を用いて何かをやることが手段ではなく、それ自体が「目的」となるような取り組みの話も多くあり、そのような取り組みのほとんどは単発での対応に終わってしまったり、担当者自身も半分やらされている感じで熱量がなく一度やってみた以上の結果にならないことが実際にありました。

Synamon側の実力不足という面もあったかと考えますし、これらのまずやってみようという取り組みすべてを否定するつもりは全然無く、むしろ新しい取り組みへのチャレンジはとても大切であり特に日本ではまだまだ全然チャレンジが足りてないので積極的に行うべきという考えが前提ですが、今回のファンに向けた取り組みとなるとそうも言えない状況となります。

先にお話した通り、自分の人生の一部のように推しに対して活動するファンの方に向けた対応が、想いのこもっていない場当たり的な対応であれば、ファンはその内容を敏感に感じ取り、ファンを離れるだけならまだしも批判者となりコミュニティ全体に影響を与える可能性も考えられるでしょう。

もしまずはやってみようとするのであれば最低限、ファンの方々にも理解を得つつ、共にチャレンジするような進め方の取り組みにするなど企画運用部分をしっかりと考え実施するなどで進めるべきと思います。

ファンに向け提供する側も想いと覚悟を持って対応する必要があるからこそ大変であるが価値がある、ファンエコノミー全体に言えると思いますがそんな活動にしないと意味がない活動になります。

 

合わせてお伝えしたい内容としてファンエコノミーに向けた取り組みとしては、一発の打ち上げ花火的な施策のみでは価値が少ないという点です。

こちらもやることが目的化してしまう事例に多いと思いますが、その取り組みだけの点の対応となってしまっては継続性が重要視されるコミュニティの形成、維持にはなかなか効きづらい対応となります。

メタバースという分野は原状話題性もあるため、「ハレとケ(非日常と日常)」の概念でいうイベントなどのハレの領域で使われる技術として捉えられがちですが、ファンエコノミーに向けてはケの部分までつなげてどのように運用していくかが肝になると考えています。

BtoB向けのXRの取り組みを続けていたときの課題で解決まで進められなかった内容でもあり、今回のプロダクトではケの部分での活用や対応に繋げられるようにサービス全体の設計検討を開発に先立って検討し対応を進めてもいます。

 

ただケという日常的な利用といっても様々な範囲があり、メタバースでは参加・体験型のコンテンツ要素もあります。

なので、毎日いつでも使う・使われているという状態ではなく、まずは定期的に活用され提供者と参加者がいる場にしていくという状態を目指す方針にしています。

こちらも例えで話ている内容ですが、まず目指すのは街なかにあるゲームセンター的な存在になるともお話してまして、ゲーム好きなひとでも毎日行くわけではないが帰り道にあったりしたらふらっと寄ることもあるし、行きたいときに行くこともあるというケの利用シーンと、その活動に加えて週末などにはイベントが開催されている事がありそのハレのタイミングで行ったりもする、そんな存在という考えです。

自分の推しがそんな場をつくろうとしているとしたら是非協力したくなるんじゃないでしょうか、そう思って頂けたのなら狙い通りです。

  

 全体のまとめと今後に向けて

2つのトピックを合わせて結構なボリュームになりましたが、そろそろ話をまとめていくとします。

Synamonでは前半で書いた参加型、共創型のファンエコノミー、クリエイターエコノミーを広げることがより良い未来に向かう1つの進め方だと考え、この動きを加速させたいと考えてますし、後半で書いたメタバース空間の体験型の良さを活かしつつ、ケの領域でも使われる存在にしたいとも考えています。

この想いを現実にするために新しいサービスである「SYNMN」を今回開発しました。

まだまだ開発途中な部分もあり、理想系とはギャップも大きい状況ですが、まず使ってもらいながら改善を進めていくという考えでローンチをしましたので、是非色々とフィードバックもいただきながら改善を進めていければと思うのでお願いします。

 

また、じゃあ早速遍くすべてのクリエイターに向けて空間構築の仕組みやサービス提供を!、としたいところではありますが、Synamonも営利企業ということでしっかりと収益化と継続性の担保をまず進めていく必要があります。

だからこそまずは既にファンを抱えている企業や、クライアントとなる方々へのサービス提供を通じてそのファンの皆様に対する施策を行うところからビジネスとして対応する方針(BtoBtoCのビジネスモデル)としております。

 

このビジネス活動を通じてファンエコノミーの市場とデジタル空間の活用をまず広げつつ、企業の方々がビジネス活動の1つとして取り組まないとならない対応領域へと昇華させていきます。

その後に、クリエイターに向けた技術やサービス提供を行うというステップを考えているので、直近すぐにはクリエイター全体に向けた支援は難しいと思いますがが将来的にしっかり提供できるように準備は進めていく予定です。

そして、この考え方や活動に共感し、興味を持っていただいた方はSynamon自体を推しとして応援していただけると嬉しいです。

採用活動も絶賛進めておりますので中の人として参加頂いての活動も是非検討ください。

 

 

なんだかんだ長々とお話してきましたが、難しく考えず結局は、熱量を持った活動の連鎖から新しい未来を作って行くための活動を支援し、それぞれが楽しくハッピーな世界線をどんどん作り上げていこう、という話だと捉えて頂ければ全体感としては問題ないかと思います。

 

ちょうどこの内容を書いているときに「ファンダムエコノミー入門」という本も読みまして、今回お伝えした考えと同じ方向性の思想を色々な側面から綺麗にまとめて頂いている本だったので興味ある方は是非ご覧いただけるより理解を深めて頂けるかと思います。

 

 

年末年始にかけても色々とリリース出せるかと思いますので引き続きご期待くださいー!

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