2023年に発表されたコホート研究によると、基礎疾患としてCOPDを有する急性脳卒中患者において、経皮吸収型ツロブテロールの使用は入院中の死亡率や主要な短期的アウトカムの改善には寄与しませんでした。
2010年7月から2021年3月までの間に日本の全国入院データベースで登録された、急性脳卒中と基礎疾患としてCOPDを有する患者1,878名。
入院から2日以内に経皮吸収型ツロブテロールを使用した患者群(189名)。
入院期間中に経皮吸収型ツロブテロールを使用しなかった患者群(1,689名)。
主なアウトカム:入院中の死亡率
二次アウトカム:COPD悪化、肺炎、心血管系合併症
日本の全国入院データベースを用いた後ろ向きコホート研究。
死亡率:ツロブテロール群18.3% vs 対照群16.1%(オッズ比[OR] 1.17, 95%信頼区間[CI] 0.72–1.90, p=0.526)。
COPD悪化:ツロブテロール群7.5% vs 対照群5.4%(OR 1.39, 95% CI 0.72–2.67, p=0.321)。
肺炎:ツロブテロール群2.2% vs 対照群1.5%(OR 1.46, 95% CI 0.44–4.90, p=0.539)。
心血管系合併症:ツロブテロール群22.3% vs 対照群21.8%(OR 1.03, 95% CI 0.67–1.59, p=0.894)。
Matsuo Y, Jo T, Makito K, Matsui H, Fushimi K, Yasunaga H. Association between use of transdermal tulobuterol and short-term outcomes in patients with stroke and underlying chronic obstructive pulmonary disease: A retrospective cohort study. Medicine (Baltimore). 2023;102(38):e35032. doi:10.1097/MD.0000000000035032.
脳卒中とCOPDの関連性
脳卒中とCOPDは共通のリスク因子(高齢、喫煙)を持つ。
COPD患者は脳卒中のリスクが高く、脳卒中時の入院合併症や死亡率も高い。
COPDの標準治療
主流の治療は吸入薬(LABA、LAMA、ICSなど)であり、症状改善や急性増悪予防に効果的。
吸入薬の使用には適切な吸入技術が必要だが、脳卒中患者は認知機能や運動機能の低下により効果的な吸入が困難な場合がある。
経皮吸収型ツロブテロールの可能性
経皮吸収型LABAは吸入技術を必要とせず、COPD治療の代替選択肢として注目される。
過去の研究では、COPD安定期における症状改善や生活の質向上が報告されているが、脳卒中患者を対象としたデータは限られている。
研究の目的
年齢、性別、BMI、喫煙歴
入院前の機能スコア(Modified Rankin Scale、Barthel Index)
入院経路や病院の年間患者数
脳卒中の種類(虚血性、出血性)
過去1年間のCOPDや喘息の悪化歴
合併症(糖尿病、高血圧、心疾患、がんなど)
入院中の併用療法(吸入薬、ステロイド、テオフィリンなど)
COPDの重症度(GOLDステージ)
呼吸症状のベースライン
患者の社会的支援や介護環境
脳卒中後のリハビリテーションの質や頻度
未測定の交絡因子
アウトカムの定義
データの限界
短期間の評価
質的アウトカムの欠如
※情報収集・要約記事作成に生成AIを活用しています。