がん検診で寿命は伸ばせない

がん検診を受けても長生きしていなかった―そんな研究結果が2023年8月に発表されました。

寿命延長効果をメタ分析で検証

がん検診は寿命を伸ばすことを目的に実施されてきましたが、どの程度寿命延長効果があるのか、はっきりしていませんでした。

そこで、長期間追跡されたランダム化比較試験の結果を統合したメタ分析(Bretthauer, 2023)が実施されています。

がん検診による獲得生存日数を検討

対象となった検診は以下のとおり。

  • マンモグラフィーによる乳がん検診

  • 便潜血・S状結腸鏡・大腸内視鏡による大腸がん検診

  • PSAによる前立腺がん検診

  • 喫煙者/元喫煙者に対するCTによる肺がん検診

  • 子宮頸部細胞診による子宮頸がん検診

これらのがん検診の実施によって得られた生存日数を、がん検診を実施しなかった人と比べて算出し、結果を統合しています。

211万人のデータ

18のランダム化比較試験(2,111,958人)が採択。結果の概要は以下のとおり。

Table by Bretthauer, 結果から作図。PLCO研究(Prostate, Lung, Colorectal, and Ovarian Cancer Screening Trial)とは、米国の前立腺がん・肺がん・大腸がん・卵巣がん検診の有効性を検証したランダム化比較試験(Pinsky, 2019)の結果から引用されています。
Table by Bretthauer, 結果から作図。PLCO研究(Prostate, Lung, Colorectal, and Ovarian Cancer Screening Trial)とは、米国の前立腺がん・肺がん・大腸がん・卵巣がん検診の有効性を検証したランダム化比較試験(Pinsky, 2019)の結果から引用されています。

単独のがん検診で獲得生存日数で有意差が認められたのは、S状結腸鏡検査のみ (獲得生存日数110日、95%信頼区間 0-274日)となりました。

その他のがん検診については、検診なしとほぼ同等という結果でした。

一般的ながん検診によって、寿命・生存日数を伸ばし命を救うという主張には科学的根拠がない、という結論になっています。

まとめ

がん検診は死亡を予防して寿命を伸ばしているのか、過去の研究から211万人のデータを検証したメタ分析が発表されました。この結果では、ほとんどのがん検診ではがん検診なしと比べて差がみられず、S状結腸鏡による大腸がん検診のみが寿命を110日だけ伸ばすことがわかりました。

参考文献

Bretthauer M, Wieszczy P, Løberg M, Kaminski MF, Werner TF, Helsingen LM, Mori Y, Holme Ø, Adami HO, Kalager M. Estimated Lifetime Gained With Cancer Screening Tests: A Meta-Analysis of Randomized Clinical Trials. JAMA Intern Med. 2023 Aug 28:e233798. doi: 10.1001/jamainternmed.2023.3798. Epub ahead of print. PMID: 37639247; PMCID: PMC10463170.

Pinsky PF, Miller EA, Zhu CS, Prorok PC. Overall mortality in men and women in the randomized Prostate, Lung, Colorectal, and Ovarian Cancer Screening Trial. J Med Screen. 2019 Sep;26(3):127-134. doi: 10.1177/0969141319839097. Epub 2019 Apr 3. PMID: 30943843.

※情報収集・文章作成・画像生成にAIを活用しています。

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