感度94%―便潜血より優れた大腸がんスクリーニング検査に?

2023年10月、大腸がんスクリーニングを目的としたmt-sRNA検査において、大腸がんに対する感度は94% という驚異的な研究結果が発表されました。便潜血検査より感度に優れ、実用化を期待したい検査です。

より効果的な大腸がん健診を

大腸癌は一般的には50歳以上の人に発症しますが、約12%は50歳未満にも発症します。

大腸がん検診は死亡を減らすことがわかっていますが、特に50歳未満での大腸内視鏡検査は侵襲が大きく敷居が高い検査です。簡便な検査でスクリーニングができれば、陽性者に大腸内視鏡検査を促すことができ、より効果的な検診が可能となるでしょう。

Multitarget Stool RNA Test(mt-sRNA検査)は、便中のRNAバイオマーカーを標的に大腸がんおよび進行腺腫を検出することを目的とした非侵襲的な検査です。

mt-sRNAの感度・特異度を検討した横断研究

45歳以上、8920人を対象に

この研究では、大腸内視鏡検査を受ける45歳以上の人に対して、mt-sRNA検査(ColoSense)・免疫便潜血検査(FIT)を実施すると、大腸内視鏡検査の結果と比べて、大腸がん・進行腺腫の感度・特異度はどれほどか、を検討した前向き横断研究です。

参加者はソーシャルメディアプラットフォームで募集され、2021年6月から2022年6月にかけて分散型ナースコールセンターを用いて登録されました。

対象者は8,920人、平均年齢は55歳(45~90歳)。36人(0.40%)に大腸がん、606人(6.8%)に進行腺腫が見つかりました。

感度・特異度

mt-sRNA検査の大腸がんに対する感度は94.4%(95%信頼区間 81, 99)、進行腺腫に対する感度は45.9%(95%信頼区間 42, 50)。大腸内視鏡検査で所見なしの特異度は86.9%(95%信頼区間 86, 88)。

FITでは大腸がんに対する感度は77.8%(95%信頼区間 61, 90)、進行腺腫に対する感度28.9%(95%信頼区間 25, 33)。大腸内視鏡検査で所見なしの特異度は95.4%(95%信頼区間 95, 96)。

便潜血検査の比較

mt-sRNA検査はFITに比べて、大腸がん・進行腺腫に対する感度は高くなり、特異度は低くなることがわかりました。

これを図にしてみました。

数字は%
数字は%

感度が高くなるということは、大腸がんの見逃し(偽陰性)が少なくなるということです。
特異度が低くなるということは、大腸がんの誤検出(偽陽性)が多くなるということです。

大腸がんという病気の性質上、誤検出が多少増えたとしても、見逃しが少なくなるほうが良さそうに思えますが、いかがでしょうか。

あとはスクリーニングに適した検査費用かどうか、という点が問題かもしれません。

まとめ

大腸がんスクリーニングを目的としたmt-sRNA検査の大腸がんに対する感度は94%、大腸内視鏡検査で所見なしの特異度は87%。従来の便潜血検査より感度に優れており、今後の活用が期待されます。

参考文献

Barnell EK, Wurtzler EM, La Rocca J, Fitzgerald T, Petrone J, Hao Y, Kang Y, Holmes FL, Lieberman DA. Multitarget Stool RNA Test for Colorectal Cancer Screening. JAMA. 2023 Oct 23:e2322231. doi: 10.1001/jama.2023.22231. Epub ahead of print. PMID: 37870871; PMCID: PMC10594178.

※情報収集・文章作成・画像生成にAIを活用しています。

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