国内初、60歳以上の成人向けRSVワクチン「アレックスビー」の製造販売が承認されました。第III相臨床試験では、RSV関連下気道疾患のワクチン有効性は82.6%と高い効果を示しました。
2023年9月25日、厚生労働省は英製薬大手グラクソ・スミスクラインが開発したRSウイルス感染症のワクチン「アレックスビー」の製造販売を承認しました。
RSウイルス(RSV)感染症を予防する60歳以上の成人向けワクチンは国内初です。
60歳以上の成人のRSV感染症は、先進国では毎年47万人以上の入院と約33,000人の院内死亡、日本では約63,000人の入院と約4,500人の院内死亡が推定されています(Savic, 2023)。
今回の承認は、主要な第III相臨床試験であるAReSVi-006(Adult Respiratory Syncytial Virus)試験から得られたデータ(Papi、2023)に基づいています。
本研究は60歳以上の成人に対して、RSV流行シーズン前にAS01EアジュバントRSVプレフュージョンF蛋白ベースのワクチン(RSVPreF3 OA)を単回接種すると、プラセボ接種に比べて、RSV関連下気道疾患(RT-PCR確定例)は少なくなるのかを検討した、ランダム化比較試験です。
日本を含む17カ国から24,966人(うち、日本人約1,000例)が登録されました。
追跡期間中央値6.7ヵ月間において、RT-PCRで確認されたRSV関連下気道疾患は、ワクチン群では7例(1,000人年当たり1.0例)、プラセボ群では40例(1,000人年当たり5.8例)となり、ワクチン有効性は82.6%(96.95%信頼区間 57.9, 94.1)でした。
重症のRSV関連下気道疾患のワクチン有効性は94.1%(95%信頼区間 62.4, 99.9)、RSV関連急性呼吸器感染症のワクチン有効性は71.7%(95%信頼区間 56.2, 82.3)といずれも高い有効性が示されました。
有害事象のほとんどは一過性で、重篤な有害事象の発生率は、高くなっていませんでした。
さて、この研究結果から試算してみます。
ワクチン単回接種で RSV関連下気道疾患は1000人年あたり5.8から1に減少します。単純計算では、接種必要数(Number needed to vaccinate) NNV=208.3人/年となります。
重症のRSV関連下気道疾患は1000人年あたり2.5から0.1に減少します。単純計算では、NNV=416.7/年となります。
発症数や流行状況、効果の持続時間、費用との兼ね合いで個別に接種判断することとなりそうです。
国内初、60歳以上の成人向けRSVワクチン「アレックスビー」の製造販売が承認されました。第III相臨床試験では、RSV関連下気道疾患のワクチン有効性は82.6%、重症のRSV関連下気道疾患のワクチン有効性は94.1%と高い効果を示しました。発症数や流行状況、効果の持続時間、費用等との兼ね合いで個別に接種判断することとなりそうです。
Savic M, Penders Y, Shi T, Branche A, Pirçon JY. Respiratory syncytial virus disease burden in adults aged 60 years and older in high-income countries: A systematic literature review and meta-analysis. Influenza Other Respir Viruses. 2023 Jan;17(1):e13031. doi: 10.1111/irv.13031. Epub 2022 Nov 11. PMID: 36369772; PMCID: PMC9835463.
Papi A, Ison MG, Langley JM, Lee DG, Leroux-Roels I, Martinon-Torres F, Schwarz TF, van Zyl-Smit RN, Campora L, Dezutter N, de Schrevel N, Fissette L, David MP, Van der Wielen M, Kostanyan L, Hulstrøm V; AReSVi-006 Study Group. Respiratory Syncytial Virus Prefusion F Protein Vaccine in Older Adults. N Engl J Med. 2023 Feb 16;388(7):595-608. doi: 10.1056/NEJMoa2209604. PMID: 36791160.
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