世界初のDAO運営型店舗 DeStoreをローンチするまで

こんにちは、だっつ(dattsu_)です。

前回のブログから約1年が経ちました。

昨年4月
昨年4月

当時、デモどころか事業アイデアすらない状態の自分に出資を決めてくださったメルカリ Tommyさん、Teatis 高頭さん、FV 両角さん、EV 金子さんには感謝であふれております。

同時に、**「ピボットを繰り返してでも成功するまで向こう30年はプロダクトをつくり続け、ゆえに十分な数の球を打てるとすると、確率的に必ずリターンを出せる」**というお約束をしたので、これを責務として全うします。

現在、DeStoreというNFTベースのコミュニティが所有/運営するあたらしい形のDAO運営型店舗をつくっており、DeStoreで次のショッピングをグローバルでつくりあげます。

DeStoreのビジョンに共感してくださった投資家さんをお迎えして、追加の資金調達も行いました。

今回は、Y Combinator 卒業生限定の投資DAOであるOrange DAO(Orange Fund)や、YC出身のエンジェルNext Web Capitalさんなどにもご参画いただいたグローバルなラウンドとなりまして、少しでも早く大きな結果が出せるよう尽力していきます。

それに伴い、グローバルであたらしいショッピングをつくりあげていく仲間を探しており、特にエンジニアの方の採用に注力しております。

こちらのブログも含め、我々の挑戦に興味を持ってくださった方はぜひお気軽に私のTwitterにご連絡ください!

事業選定

昨年4月、事業アイデア0の状態で資金調達をしました。

以前は、自分が欲しいと思い込み切ったプロダクト(ファッションウィッグのD2Cブランド)をつくり、その思い込みが間違っていたことで全ての仮説がひっくり返ってってしまい、失敗に終わりました。

よって、まず自分がどのように事業を選定するべきか決めるところからスタートしました。

グローバルで大きな事業を作るためには...

  1. 諦めないこと:創業者が金銭的リターンを除いても情熱を持てること
  2. タイミング:消費者行動に大きな変化の起きているタイミングであること
  3. マーケット:経済的に十分大きな規模のあるテーマであること

の3つの条件が大事と考えました。

私は元々日本最初のファッションYouTuberとして活動していたこともあり、ファッション〜ショッピングが1の条件(諦めないこと)に当てはまります。

ファッションだと、私の場合は自分の趣味嗜好がニッチに反映されてしまい、3の条件(マーケット)を満たしにくくなると思い、テーマをより広げた観点でショッピングと決めました。

そして、ちょうどコロナ真っ只中で、人々がものを買うプロセスにも大きな変化が出始めていたタイミングでした。2の条件(タイミング)を満たすべく、中でも多くの既存のプレイヤーが存続不可能になり、しかし需要が少し先の未来で再燃していっていた実店舗に舵を切りました。

よって、**「2030年に向けて、次のショッピングをつくること」**こそが自分の取り組むべきテーマと決めました。

次のショッピングをつくるための最初のプロダクト:2weeks

”ECとパンデミックが小売業を一変させ、2020年には過去最高の12,200店舗が閉鎖された。”
”ECとパンデミックが小売業を一変させ、2020年には過去最高の12,200店舗が閉鎖された。”

2020年、12,000以上の実店舗が閉店しました。

しかし、広告費の急騰により、ブランドのオンラインでの顧客獲得コストが高くなっているという問題が同時におこっていました。

そして、2021年には、5083の店舗が開店したのに対して5079店舗が閉店、過去5年間で初めて開店数が閉店数を上回るなど、実店舗への需要が今まで以上に再燃していることが見受けられました。

よって、「誰でも簡単に実店舗に出品できる」というワンライナーのもと、2weeksというプロダクトのローンチに動き始めました。

2週間ごとにブランドが入れ替わり、お客さんは2週間に1回戻ってくるたびにあたらしいブランドを体験することができる、というコンセプトのショップです。

ブランドは**「2weeks に一定額を払うと、世界中で顧客層の合ったエリアにある店舗に最低2週間から出店できる」**といった形で、高騰したオンラインオンリーでの顧客獲得コストより低く効率的に顧客を獲得できます。

Always, The Most Updated Store in the world. というコピーがお気に入りでした
Always, The Most Updated Store in the world. というコピーがお気に入りでした

ちょうど不動産が凹んでいたタイミングだったので、交渉力の強いうちに一等地を抑えること、その交渉中に同時並行でブランド側の需要を確かめることを決めました。

不動産勝負

サンフランシスコ中の物件を全て調べ、一定サイズ以下の物件に片っ端から電話をしました。 めぼしい物件はその目の前で1日中通行人の動きを観察したりして、街を歩き続けました。

物件を借りたことのない自分は、当初お金を払えば誰でもなんでも貸してくれると思っていました。しかし、どうやらそうということではなく、一等地であればあるほど大家側に交渉力があり、信用のあるテナントしか通常賃貸ができないということを学びました。

よって、少しでも気に入ってもらえるよう、時には、知人のやっているタピオカ屋さんでドリンクを買ってきて大家さんに差し入れをする等、あの手この手で話を進めていきました。

この物件は安かったのですが、状態が悪かったです
この物件は安かったのですが、状態が悪かったです

しかし、我々は特にあたらしいコンセプトで、かつ1年間の賃貸で収めたかったので(通常は3ー5年間)、多くの大家さんからはお断りをされました。

一等地であれば、トラブルの少ない信用されたブランドからの需要がたくさんあるので、わざわざ我々のような怪しいテナントを受け入れるメリットが皆無です。

このままでは物件すら借りれず終わってしまうと焦りを覚えました。
コロナ真っ只中で、不動産が安かったがゆえに業界のプレーヤーの動きも異様に早く、世界のスピードに取り残されている感覚でした。
(1週間前に空いていると聞いていた物件がもう埋まってしまった、というようなスピード感でした)

不動産ゲームであれば、ここで負けると今後も負け続けることになります。

よって、より強い交渉カードを切ることを考え、「1年間の家賃一括払い」という条件を提示することとしました。

ヘイズ・バレーはサンフランシスコの青山のような場所です
ヘイズ・バレーはサンフランシスコの青山のような場所です

結果、サンフランシスコの一等地であるヘイズ・バレーに店舗を借りることができ、立地の観点では無事第一線を張れました

ちなみに同物件は、目の前には最近上場したD2CブランドであるWarby Parkerがあり、また同時期にLeapというゴーストリテーラーで有名な競合スタートアップが実は1ブロック先に店舗を新規オープンしていた、というような最高の立地です。

同エリアに店舗を構えているブランドの例
同エリアに店舗を構えているブランドの例

しかし、年一括払いという手を打ったこともあり、目先ではキャッシュが約1000万円以上消え、心の中では言葉にできない不安が募ってきました。

ちなみに、一等地を抑えようと思った理由は以下2つの条件を満たすからです:

  • 撤退の際、最速で動けること
  • 消費者が多く集まる立地であること

キャピタルインテンシブではありますが、依然実験ではあるので、撤退のスピードと保証の優先順位を高くおきました。

例えば月に10万円程度の安い物件だとしても、撤退を決めた時にサブリースを開始するまでに10ヶ月かかるような需要の低い物件であれば、100万円の損失ですし、10ヶ月の時間コストもかかります。

また、悪い物件を選び、10万円を月に失いながら、ブランドもお金を払わない、お客さんも来ないといったようなプロダクトができてしまっては結果大損になります。

逆に、月50万円の高い物件であっても、撤退を決めた際に1ヶ月ですぐに借りてが見つかるような人気物件であれば、損失は限りなく0に近く、時間もかかりません。

今回は後者を選択しました。

現に交渉開始時には同エリアに8件もの空き物件があったものの、それからたった2ヶ月後には空き物件が0になっていました。

今、同エリアで物件を借りようとしても、そもそも空き物件がないというほどの競争の激しいエリアで、食いっぱぐれることはないだろうと判断しています。

ブランド獲得

いい物件を抑えたところで、プロダクトの需要がなければただの箱です。

物件は借りたけど、全く需要がありませんでしたとなると限られたリソースを大きく無駄にしたことになります。

そんな最悪のケースを避けるため、物件賃貸のリサーチ〜交渉の期間中に同時並行でブランド側の需要を抑えられるよう動き、物件契約までには需要を一定確認してGoを決断できるようにしました。

特にコネクションもなかったので、大手D2Cブランド〜地元の小さなブランドまで1000件以上のブランドをリストアップし、メールを送り、セールスをつづけました。

とあるLA拠点のブランドさんとのコール
とあるLA拠点のブランドさんとのコール

多くのブランドから前向きな返答をいただき、

  1. コールドメール
  2. 1st コール
  3. フォローアップコール/メール
  4. 内見
  5. クロージング

のファネルで顧客獲得に動きました。

セールスについては、Sequoiaやa16zと共に仕事をしているデザインスタジオ Zypsyの創業者Kazsa Tamaiさんに細かく教えをこいました。

Kazsaさんから教えてもらった名著 The Mom Test は非常に勉強になりました。
Kazsaさんから教えてもらった名著 The Mom Test は非常に勉強になりました。

4(内見)より先は実際の店舗がないと進めないプロセスだったので、物件なしの信用のない状態で4に至るまでの顧客が一定数見つかれば実験の価値ありと判断し、賃貸の意思決定をすることとしました。

賃貸の交渉も同時並行でやっていたため、リソースを考えて不動産のプロもプロジェクトベースでチームに参加してもらい、タイムラインを丁寧に見つつ進めていきました。

家主側から、契約に時間をかけすぎて「あなたたちよりいいテナントが見つかった」と言われれば、一瞬で我々が店舗を借りることができなくなりますし、かといって急ぎすぎて十分に判断材料が揃っていない状態で賃貸を決定するのは非常に危険です。

気持ちの良いアクションではないですが、交渉のギリギリまで進めつつも、需要の観点でGoの意思決定ができない場合は、たとえサイン1秒前だとしても契約の話を全てひっくり返す心づもりもありました。

結果、十分な数のブランドのリクエストをいただき、インタビューの最中でも仮説を裏付けるようなインサイトをいくつか得ることができたので、嫌な意思決定をする必要はありませんでした。

が、起業家である以上、会社を優先して、今後このような嫌な意思決定をしなければいけない場面は多々出て来るのだろうと、身が引き締まりました。

2weeks のローンチ、ピボット、進化

後々応用の聞くデザインにしつつ、インテリアも完成し、無事ローンチすることができました。

2weeksの看板
2weeksの看板
Kiyoさん達がきてくださいました。
Kiyoさん達がきてくださいました。

開店直後、全くお客さんが来ませんでした。

好立地に構えればお客さんは勝手に増えるものと思っていたのですが、現実はそこまで甘くありませんでした。

店頭に一人ぼっちで、お客さんが全く入って来ず、ただそわそわするだけの日々が続きました。

たまに物珍しさでお客さんが入って来ても、第二言語である英語かつ接客経験0の自分の怪しい接客を前にたくさんのお客さんがすぐに退店していきました

商品の配置、ストアフロントの設計、接客の方法など、私のような素人の経験値では対処しきれない改善すべきことが山積みでした。

最初は自分の頭で考えて、地道に改善を繰り返しましたが、明らかにROIが低いことが見て取れました。

Kiyoさんをはじめとした先輩陣にご相談したところ、**「常にその道の専門家を探して、話を聞くことを基本姿勢としたほうがいい」**とアドバイスをいただき、小売のプロをアドバイザーとして探すことにしました。

Linkedin(米国で主流のビジネスSNS)で、有名D2Cブランドの初期メンバーや、元Sequioa出資先の小売スタートアップの創業者、大手百貨店のベテランなど幅広くメッセージを送り、たくさんの方からお話を伺いました。

元 Levi’s のカントリーマネージャーの方が無償でいつでも相談に乗ってくれると申し出をしてくださったこともありました。

その甲斐もあり、細かな改善を重ね、開店から約2ヶ月、お客さんも増え、順調なスタートを切れていました。

1000人を超えるお客さんが来店し、たくさんの学びを得ることができ、改善のサイクルも日に日に早くなっていました。

中々盛り上がっていました
中々盛り上がっていました

そんな中、ある程度の需要はある良いビジネスではあるのだけれど、**「次のショッピングをつくるには頭打ちである」**と心の中で少し感じ始めていました。

というのも、新しいテクノロジーが介在しない限り、どこまでいっても不動産をどう切り売りするかという議論に収束します。

時間をフレキシブルにするか、区画をフレキシブルにするか、どのみち**「なぜ今までそれが存在しなかったのか」という問いに対して強烈な答えを出すことが非常に難しい**と感じていました。

また、この「ブランドがお金を払って出店するモデル」は、b8ta、Neighbourhood Goods、等いくつか競合も存在するホットなモデルではあるのですが、一定の矛盾を孕んでいるものでもありました。

  • ブランドがお金を払いたいということと、お客さんが見たい商品は必ずしも一致しないこと。
  • ブランドの認知を向上することに注力しているが、購買につながらない認知には結局価値があまりないこと。

(後日、Offtopicの宮武さんとお話しした際にも宮武さんもほぼ同じ意見を持っていらっしゃいました)

よって、今まで存在しなかった最高の製品をつくりあげるためには「正しい文脈に対して、新たにマスアダプションが始まっているテクノロジーを使うこと」も必要な要素の1つと考え、現場で得たインサイトを元に、2weeksからコンセプトを進化させることにしました。

残高2ドル。強盗未遂。万引き。

銀行の残高
銀行の残高

不動産勝負にまず勝ちきることにアクセルを踏み切り、そして想定外の出費などがあり、**一時は会社の残高が2ドル(約200円)まで凹みました。**その後色々騙し騙しで乗り切りましたが、流石に当時は笑う事しかできませんでした。

銀行アカウントにログインしては、「お金が増えていないか」とありもしない希望を持って画面を眺めるという日々を繰り返しました。そして、だいたいお金は増えるどころか、唐突な請求などで減っていく一方で、希望を持ってアカウントをチェックしては逆にショックを受けるということが多かったです。

ギリギリ耐えきり、強盗が入ることはできなかったようです
ギリギリ耐えきり、強盗が入ることはできなかったようです

また、サンフランシスコは治安が悪いことで有名です。

現場で生のお客さんの動きを見て感じるため、店舗には僕が立って全ての営業をやっていました。

あるときは、誰かが侵入しようとして、鍵を壊されたことがありました。

また、詐欺のような手口でいくつか商品を万引きされたこともありました。

お店の目の前で誰かが永遠に叫び暴れ続け、身の危険を感じ怯えていたこともありました。

弊社の店舗があった場所は、周りにAllbirds、Warby Parker、Away、A.P.C.、Aesopなどがあるサンフランシスコの中でも安全で綺麗なエリアです。

それでも、同エリアにあるb8taには何度も銃を持った強盗が入り、b8taが一時閉店に追い込まれたこともありました。

弊社店舗から1ブロック先にあるb8taで実際に起きた強盗
弊社店舗から1ブロック先にあるb8taで実際に起きた強盗

もちろん、普通にしていれば大きな問題はないですし、現にエリアではトラブルは多くも誰も命を落とすところまでは言っていません。

ただ、当時ファイナンスがどん底の状態の自分には一つ一つのトラブルに対して、冷静な状態ではいられませんでした。

真剣に防弾ジャケットの購入を万が一に備えて検討したりもしました。

Web3の波

テックハウスというシェアハウスを去年4月からKohei NagataとShun Kakinokiという当時からSFにいた友人2人と始め、その甲斐もあってか今では6人もの同世代の日本人起業家が衣食住を共にして各々事業をつくっています。

当時から、僕以外の人間が全員「Web3だ!」と言っていて、いつもお世話になっているKiyoさんも昨年よりWeb3についてよく話されていました。

気がついたら和組というWeb3のコミュニティが立ち上がっており、3000人を超える盛り上がりとなっているのを横で眺めていました。

和組リーダーの柿木はなぜかよく一人でプロレスを始めます
和組リーダーの柿木はなぜかよく一人でプロレスを始めます

そんな状況のおかげで、Web3の概要はざっくり理解はしており、何か可能性がありそうだと感じていました。

2017年、私が高校二年生のころにブロックチェーンが流行り、ほんの少しだけかじろうとしたことがありました。

当時は、コードも書けない自分には全く意味はわからないし、一体何の価値があるのかも理解できず、学ぶことを断念しました。(形から入ろうと、Mastering Bitcoinを買って、ほぼ何もわからず積読になった記憶があります)

そんな当時とは打って変わり、今では、私のような非技術者でも消費者の観点から価値が理解できるようなわかりやすいリソースが世の中に大量に出回っているほどWeb3が普及しました。

そんな世の中の進化の早さを目の当たりにして、どのようなテクノロジーもいつかは必ず来ること、そしてテクノロジーの重要性を感じました。

ETH Denver で出会った、Web3のYCとも言われているSeed Club の創業者 Jess
ETH Denver で出会った、Web3のYCとも言われているSeed Club の創業者 Jess

そんな中、ショッピングの観点から特に目を引いたものが、NFT/Tokenに端を発するDAOでした。

クリプトには色々な価値が色々な側面で存在し、ゆえに次のインターネットと言われているものだと理解しています。

私は、NFT/Tokenの持つ、コミュニティを次の次元に押し上げることができるオーナーシップ分配の体験に感動しました。

中でも、リアルなアセットを用いたDAOであるPhysical DAOの領域は、私の心を強く掴みました。

2022年1月、あるDAOが話題をかっさらいました。

LinksDAOはゴルフクラブを買うDAOです。

2つの階級に分けたNFTメンバーシップを用意し、NFT保有者はLinksDAOの買ったゴルフクラブの会員権を取得する権利が与えられます。

ゴルフクラブのオーナーシップのあり方を変えようとしたこのDAOは、NFTの公開販売からわずか48時間で約10億円を調達しました。

また、Flyfish ClubというNFT会員制のレストランがNYCにローンチ予告をしたり、Ethereum創設者VitalikもNFT保有者として参加しているCityDAOはワイオミング州に実際の土地をDAOとして購入することに成功しました。

(CityDAOを含むPhysical DAOのユースケースについては、Ethereum 創設者 Vitalikも自身のブログで強く提唱しています。)

DAOで所有、運営する店舗

これらの流れを見て、Token/NFTを用いた新しいレベルのコミュニティドリブンな店づくりこそに次のショッピングの鍵があると考えました。

というのも、2weeksの実験や、小売の専門家たちとのディスカッションで学んだこととして、コミュニティが小売の鍵であるということがありました。

これは、SNSなどの普及により消費者がブランドに対してより影響力をもってきていることが大きな要因で、過去には約2000億円の評価額となったコスメブランド Glossierが主要顧客をSlackチャンネルに招待して顧客と共にブランドをつくりあげていったことなどは象徴的な事例かと思います。

「より強固なコミュニティをつくり、より多くの顧客がその立場を超えてエヴァンジェリストとなり、真の口コミを連鎖させていく」

これを達成するプロダクトこそがショッピングの未来であると感じました。

コミュニティの力を最大に活かす方法は、コミュニティがそのモノを所有してしまうことです。

そして、DAOによって所有/運営される店舗、DeStoreのローンチを決めました。

DeStoreは、DAOに参加するために店舗ごとにガバナンス権を付与したNFTメンバーシップを発行します。

DeStore NFTメンバーシップ
DeStore NFTメンバーシップ

それには、

  • 店で売る商品を決める権利
  • 店の名前を決める権利
  • NFT保有者専用のコミュニティに入る権利

...etc.

を付与します。

コミュニティの参加者が各々共同オーナーとなり、共通のインセンティブを持って店舗に関わっていく、次の次元のコミュニティ主導型の店舗です。

店舗ごとにDAOが存在し、世界中に小さな店舗を運営するDAOが多数存在していくという未来を見ています。

世界初のDAO運営型店舗、DeStoreローンチ

2022年2月に最初のアナウンスメントを出しました。

アナウンスツイート
アナウンスツイート

たくさんの人がシェアをしてくれ、多数の米国の投資家からもご連絡をいただきました。

今回出資には至りませんでしたが、Lightspeedや、Electric Capital(最近 1000億円の調達を行なったクリプトファンド)など米国トップティアVCへのピッチの機会もいただき、ようやく世界トップでの戦いに突入できてきたと感慨深かったです。

紹介に紹介が重なっていき、Magic FundというVCのパートナーをやっているThomas Chenと、YC卒のDraftbitの創業者 Peter Piekarczyk と出会いました。

お互いちょうどETH Denverに参加しており、急遽会おうということになりました。
お互いちょうどETH Denverに参加しており、急遽会おうということになりました。

10分ほどピッチをしてすぐに「いいね!我々は、DeStoreに必要な人たちとのコネクションを持っているから、残りの調達額は任せてくれ。正しい人を巻き込んで、散らばったピースを揃えよう。」と言ってくださり、すぐに出資を決めてくれました。

そして、Thomasの紹介で、Orange DAO (Orange Fund) という、1000人以上のYC卒業生が参加しているYC卒業生限定の投資DAOから出資を受けることができました。

無論、ピッチできたとか、誰々と繋がっているだとか、誰から出資を受けているかなどは全ておままごとのようなものです。

本質的には**「素晴らしいプロダクトをつくり」、「より多くの人に届ける」**ことのみが重要で、出資を含む他の物事は全て1手段でしかありません。

それでも、世界を夢見て渡米してきた無名の1起業家であった自分には大きな一歩であり、そしてそのような一歩を少しずつ、折れず、積み上げていくことで今後10年20年30年と、死ぬまでには大きな何かを遺すことができると思っています。

"ボイスチャットはもうある?私はDeStoreのファンなんだけど。"
"ボイスチャットはもうある?私はDeStoreのファンなんだけど。"
”DeStoreの開店が待ち遠しい”
”DeStoreの開店が待ち遠しい”
"特に、中小企業と小売業の間に大きな隔たりがある国々では、DeStoreは重要な意味を持つと思う。We're going to create a DREAM store"
"特に、中小企業と小売業の間に大きな隔たりがある国々では、DeStoreは重要な意味を持つと思う。We're going to create a DREAM store"

DeStoreがつくる未来

次のショッピングを作ること、これがDeStoreのミッションです。

NFT/トークンはコミュニティを既存の10倍以上強固にする体験を備えています。

小売の鍵はコミュニティです。

よって、Tokenised retail(トークン化された小売)が次のショッピングになります。

私は、Benchmarkの元パートナー、現AdobeのCPOであるScott Belskyさんが書いたステークホルダー・エコノミーという記事が好きです。

消費者 vs オーナー の構図であったものが、消費者がWeb3によってオーナー化していくことで包括したステークホルダーとなり、その概念は地元の小さな実店舗などに大きく適用される、といった内容の記事です。

「オンラインマーケットプレイス、出版物、地元のアイスクリームショップ、お気に入りの飲料会社など、私たちが楽しむすべてのものの一部を所有する機会を得ることで、マーケティング、販売、流通といったビジネスの主要なレバーは、私たちが常に内に秘めている自然な傾向や好みによって変化していくでしょう。自分が純粋に好きなもの、所有しているものを売る手助けをすることほど、本物で効果的なことはないでしょう。」

「As we all have the opportunity to own a part of everything we enjoy — from an online marketplace, a publication, a local ice cream shop or your favorite beverage company — the key levers of business like marketing, sales, and distribution will be transformed by the natural tendencies and preferences we’ve always had within us. There’s nothing more authentic and effective than helping sell something you genuinely love and own.」

同じく、我々もこの未来は確実に来るものであり、そしてDeStoreはその文脈に対して世界で一番早く深いところに潜っていっています。

コミュニティが先に存在し、そのコミュニティで店を所有して運営する。

そんなコミュ二ティドリブンなお店が今後数千と増えていき、それらの一番ベースに来るプラットフォームになることで、次のショッピングを定義する大きなプロダクトをつくりあげます。

我々は、次のショッピングをつくります。

今後について

冒頭でも述べた通り、OrangeDAO (Orange Fund)や、YC出身のエンジェル投資家、話題のNext Web Capitalさんなどを含む日米の投資家さんから資金調達を実施しました。

チーム拡大に向けて特にエンジニアの方の採用に注力しております。

私一人では何も成し遂げることはできません。

共に次の時代をつくっていける方と出会うことができれば、DeStoreの持つビジョンを何100倍もの規模とスピードで達成することができると思っています。

お気軽にご連絡をいただけると幸いです。

左:聡さん 中央:私(だっつ) 右:Kiyoさん
左:聡さん 中央:私(だっつ) 右:Kiyoさん

Knot Kiyoさん、Anyplace 聡さん、Zypsy Kazsaさんには昨年より日報をお送りさせていただき毎日フィードバックをいただいており、その優しさには頭が上がりません。

何もなかった私に出資を決めてくださった、メルカリ Tommyさん、Teatis 高頭さん、EV 金子さん、FV 両角さん達のおかげで今の起業家としての私がいます。

テックハウスで一緒に住みながら切磋琢磨している、Light 柿木、Compy 永田、AcademiaDAO えいちゃん、Kaguya かじもなさん、Phi 辻、同オフィスでいつも一緒にご飯を食べているGlasp Kazukiさん、Keisukeさん からはいつも学ばせてもらっています。

そして、最後になりますが、ここには書ききれませんが今に至るまで私を支えてくださった全ての方へ心から感謝を申し上げたいと思います。

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