どうも、NFTの流動性を上げたい男、Gussanです。
NFTのRentaFiというNFTのレンタルプロトコルに携わっています。
RentaFiをより面白くするためには、どうしてもNFTの流動性が必要だなあというのがあって、色々勉強不足ながらも、どうすればNFTの流動性が上がるのかを考えてみました。あとシンプルに日本語が下手ですが、ご容赦ください。🙏
RentaFiをベースに考えている点がいくつかありますが、RentaFiの運営とは一旦切り離して読んでいただけると幸いです。
では、始めます。
まず、なぜNFTの流動性をあげたいのかというと、、、
NFTの流動性をあげたいからです。
…というのは冗談です。
まず初めに、なぜ流動性をあげたい男になったかの経緯から。手前味噌にはなりますがRentaFiの話を少しします。
現在、携わっているNFTのレンタルプロトコルRentaFiは、端的にいうとNFTに付帯されるユーティティの分配効率を高めるためのプロトコルです。
正確にいうとRentaFiは、貸し借りを可能にするNFTレンタルプロトコルで、貸し手は、機能不全のNFTを別のユーザーに貸し出すことで受動的な収益を得ることができます。借り手は、NFTの市場価格よりも安価にユーティティを利用することで、流動的に付帯されるユーティリティを体験することができます。
機能不全のNFTにも想定されるものがいくつかあります。
ウォレットの中でただ死んでいるNFT
複数保有していて死んでいるNFT
NFTFiが台頭したことによりコントラクトなどにロックされて死んでいるNFT
の三つが主に想定されます。上記二つはNFTを貸し出すことによるデメリットは、(正確にはありますが、)比較的ありません。特に、重要視しているのは3つ目の想定です。つまり、NFTレンディングなどを中心としたNFTFiで既に運用しているNFTをレンタルという運用に切り替えさせる必要があります。利回りがNFTレンディングの方がよければ、こちら側に移ってくれませんので。
そこでRentaFiでは、貸し手に対してNFTのレンタルを実行しながら外部プロトコルで運用できるoNFT(元のNFTの所有権を示すNFT)とyNFT(期間中に生じたレンタル料を請求するNFT)を発行することで、👆資産効率、爆アゲ👆を目指しました。
コンポーザビリティというやつを意識しています。気持ちいいですね。
これらのoNFTやyNFTの運用スキームを考えたり、NFTFiのサービスを調べていく中で、大体「流動性の低さ」という壁にぶつかりました。この問題は非常に重要で、NFTFiが発展するか、しないかを決める大きな要素だと確信しています。
一応、流動性について説明すると、天下のみずほ証券さんの説明によると、
市場の流動性とは
市場の流動性とは、市場での証券取引のしやすさを表す概念である。具体的には、市場において証券をいつでも、価格への大きな影響なく、大量に取引できる場合、「市場の流動性が高い」という。
一般的に、市場で大量の証券を売買すると、当初想定していた価格や数量で取引ができなくなることがある。市場における証券の取引量が少ない場合や取引相手が十分に存在しない場合には、円滑な取引が実行できない可能性もある。このような状態を、「市場の流動性が低い」という。
つまり、「取引のしやすさ」や「利確のしやすさ」みたいなことかなと理解できます。例えば、100万円の価値がある株式を売ろうと思っても、100万円を支払ってでも買いたいというユーザーがいないと自分は実際の利益にはなりません。流動性の低さはこの買い手と売り手のマッチングがしにくい状態にあります。
流動性の問題を起因としたNFTFiの問題といえば、Peer to Pool方式のNFTレンディングであるbendDAOが複数コレクションで担保割れが起きたのに、全然清算できないみたいなことが多発し、少し話題になりました。
多くのNFTレンディングの価格オラクルがフロアプライスを参照している
bendDAOのオークションの始値が高すぎる
とかも気になるところですが、特に気になる点は、
流動性の低さゆえに起こるNFTの寡占状態
それに伴う1NFTがもたらすフロアプライスへの影響度の肥大化
ということです。そもそも担保とするNFTは、FTと比較して発行量が少ないので、NFTホルダーが持つ担保への影響力は比較的大きいはずです。それに加えて発行数に対するユニークホルダーの割合を見ると…ゾッとします😱 現状のNFTFiではこの辺りがかなり脆弱になっているはずです。
なぜ流動性を必要とするのでしょうか。少し根本的すぎる気もしますが考えてみます。
先述の通り、流動性が低いことの問題は、諸々の取引のしにくさにあります。今後のNFTの市場がどのような方向にマーケットが動くかは分かりませんが、NFTが投資・投機対象として取り扱われるのはNFTの性質上仕方のないことであり、必然の流れだと思っています。さらに言えば、投資家による資本流入はマーケットサイズを広げる必要なピースと捉えると、むしろ迎合すべきだとすら考えています。(このあたりはまた別の議論になりそうなので一旦止めます。)
少し前までNFTの価値は、宙に浮いていて投資商品や投機商品としての色が濃かったと理解しています。多くのユーザーの、NFTに対する行き場のない期待値がバブルに繋がり、市場が崩壊し始める。
そして、バブルを経験した人やそれをみてた人はこれからはユーティリティが求められる!という流れになり、昨今では、NFTにユーティリティを付与することで使用価値を全面に押し出したプロジェクトが多く現れ始めたという流れでしょうか。
これまでの市場の流れを見ると、これからは
NFTを投資対象としてみる買い手
NFTのユーティリティに期待する買い手
という二種類の買い手が現れることは容易に想像がつきます。「投資目的で買うなんてけしからん😠プンプン」みたいな人が現れそうですが、投資対象としたとしてもコミュニティとしては1ホルダーであるのに変わらないので、このパイを逃すのは勿体なさそうですし、後述しますが、使用価値と交換価値の分割を前提とする世界線が来たら、その怒りすらなくなるかもしれません。
とりあえず、より良い市場のためにはNFTの流動性を解決する必要がありそうです。
市場形成において重要なピースに対して必要な環境を整備するのです。
様々なプロトコルが、NFTの流動性を高めることを目指しているのが最近のトレンドのようです。特に、NFTX, NFT20やsudoswapなどNFTAMMの登場は多くのユーザーの注目の的になっています。
個人的には、ERC721をERC20として取り扱うことで流動性は上がる一方、結果的にNFTがNon-Fungibleであるところをトレードオフにしてしまっているのが、「なるほど…🤔」という印象です。そのためにsudoswapでは各ユーザーがプールを作成できるようになっていますが、それはそれで流動性が上がっているのかという部分に疑問を感じました。
NFTAMMでLPすることのインセンティブが如何せん弱いのは、AMMの設計をFTに寄せすぎているのでは?となっております。あと、最近ローンチしたTrader Joeのv2の設計を知り、「これNFTAMMに相性いいんじゃね?」っていう直感があります。
NFT AMMに関してはチームのメンバーが詳しいので彼と色々話して、また別途まとめたいと思います。
直近話していたのはNFTの空売りです。以前ツイートした内容です。
下落相場へのヘッジができないというのは、まさに流動性の問題がダイレクトアタックであり、投資家が参入しずらい要因になりそうです。
ただ、ツイートの中にあるreNFTについてですが、そもそもreNFTはNFTのレンタルプロトコルです。この担保付きのレンタルが下落相場へのヘッジを意識したとしたら、なかなかに先見の明な気もしますが、空売り自体が下落相場に対する期待なので、それをレンタルプロトコルが提供することに少し利益相反な感じもします。ですので、レンタルプロトコルとしての提供より空売りできるプロトコルとして別口で提供した方が良さそうです。
また、NFTを空売りする場合なら、ERC721でやるよりもNFTXやNFT20を介してからの方が、清算リスクは小さいなとも思いました。ここもコンポーザビリティです。
下落相場にヘッジできることの必要性は、市場がアセットを正しい均衡点に導くための道具だと理解しており、市場の過熱を抑えたり、バブルになりにくかったりする効果が得られるのかな〜と思っています。(誰か教えてください)
また、NFTFiのデリバティブ系は、特に流動性を必要とします。色々リサーチする中で、NFTのデリバティブも色々出てきてますが、多くの人が言うのは、流動性とマーケットキャップがまだ足りてないのでは?と言うことです。GBVcapitalのリサーチャーであるMinion氏のNFTエコシステムに関する一連のスレッドの中で
と発言。「面白そうなもの出てきてるけど時期尚早。やっぱり流動性の向上は難しいな」みたいなことを言っています(多分)。今後どうなるか、期待したいところです。
また取引が活発になることでRentaFi上で擬似的な金利スワップをできたりするのでは?とかも考えています。これも今度に記事にしたいです。
NFTFiのプロジェクトのリサーチ内容とかも今後記事にしたいです。
どうやったらNFTの流動性をあげられるのか。ここのところ一番考えている内容です。
実は考えている内容がとても複雑で、Hunter✖︎Hunterでいうとヒソカ対クロロ戦くらい複雑です。
というのは冗談です。以前したツイートがこれです。
ルールから少し変更を加えました。
NFTは常にリストされた状態
NFTの入札があった場合、所有者は入札者に移行
リスト時にNFTの価格とコレクションオーナーへのロイヤリティを設定
コレクションオーナーへのロイヤリティのレートは、次回落札額の収益分配レートになる
というものです。最初は、需要と供給に応じて価格を変動させる必要があるかなと考えていましたが、何を持って需要等を測るかが難しかったので、一旦、別の方法で考えてみました。
例えば、Aさんを起点に考えてみます。Aさんは、Bさんから以下の条件でコレクションXのNFTを購入しました。
購入した価格: 0.1ETH
コレクションオーナーへのロイヤリティレート: 5%
落札時点で、AさんはそのNFTのリストする価格とコレクションオーナーへのロイヤリティを設定します。Aさんは
NFTのリスト価格: 0.2ETH
コレクションオーナーへのロイヤリティレート: 10%
と設定しました。次にAさんの持っているNFTをBさんが落札しました。
Bさんが支払った0.2ETHのうちコレクションオーナーへのロイヤリティ(10%)とその前の落札者であるCさん(5%)に一部分配され、残り分がAさんの手元に入ります。
最後に、Bさんが0.3ETHを落札した場合、0.3ETHのうちの10%である0.03ETHが、Aさんの手元に渡るという流れです。
コレクションオーナーへのロイヤリティと後々自分の手元に戻る収益のレートは同一であるため、高すぎるレートは、落札額に対するロイヤリティを多く支払わなければなりません。逆に、低くしすぎると次回の落札で取得できるインセンティブが小さくなります。
コレクションオーナーへのロイヤリティを高く設定することで次回のロイヤリティを多くもらうこともできますが、自分が落札した時の取得額はその分少なくなり、次回の落札額という不確実性にベットする必要があり、自分の払うリスクが大きくなります。
このように、自分のNFTに対する価値とコレクションへのロイヤリティを正直に自己申告することに相応のインセンティブを与えることで、ラディカルにNFTの市場を形成することができると考えています。
こんなことになったら、自分のNFTがいつ誰かに渡るかわからない!なんてこともありますが、そもそもNFTの所有という概念をどれだけ重視するのかというのかが一つ議論の的にあります。RentaFiでは交換価値と使用価値という個別に分解することでユーティリティの分配効率を高めるということをやろうとしていますが、この考え方は我ながら面白く、今後のモデルになりうると思います。
というのも、NFTのマスアダプションを考えた場合、多くのユーザーが欲するのは使用価値の方に当たります。交換価値は根源的ではあるものの、全てに対価を支払う必要もないと思っています。(もちろん、ある種のブランドとなるようなNFTがそれを許さないかもしれませんが…)なので、NFTの使用価値は、交換価値よりも流動的に動きます。一方の交換価値も価格をラディカルに決定することで一定の流動性を保ちつつ市場が形成できるようになります。
どうすれば実装できるのかは正直全然わからないのですが…チームメンバーに簡単な実装をしてもらって実験してみたいと思っています。できればオンチェーンでやりたい。
ちなみに
需要に応じて価格が変更されるというモデルはVitalikのブログにもあると教えてもらいました。内容は、ヒソカ対クロロ戦くらい難しそうですが。
Twitter: @tomyama0214