こんにちは、shumonです。日本の医療ブロックチェーン会社で働きつつ、ミライの医療をつくるMedicalDAOを運営したりしています。総数500人、医療者300人くらいです。
このブログでは、web3領域で日々実験して得た1次情報を発信していきます。最近は講演会も呼ばれることが多くなってきました😌
××DAOに入ったり、NFTを買ってみたり‥今日もweb3は面白いですね。最近は「DAOでやる必要ないよね?」と質問を受けることが多くなりました。さらには、「多くのNFTプロジェクトがDAOの名前で活動しているけど、それは真のDAOではない‥」こんな声も聞きます。この記事は、MedicalDAOのFounderが考えるDAO設計図を公開しつつ、DAOの核心に迫っていきます。
今回は、DAOとは何か、今後どうなっていくのかをざっくり説明できることをゴールとします。web3は流れが異常に早いので、僕の記事ではなるべく本質を押さえることにしています。この記事ではDAOを詳しく解説しますが、以下にも応用できるかもです😌
長期的に生き残るDAOを見極めること
DAOを新たにつくる
まず、DAOの定義や日本の現在地から解説しつつ、web2的なDAOはコミュニティです。これをweb3のDAO(自律分散型組織)に移行する方法を考えます。そこからwhy DAO?(DAOでなくても良いじゃん)への1つの答えを探っていきます。
現存するMedicalDAOを例に解説します。IPやビジョンを掲げ、数人が方向性を決める中央集権的なコミュニティです。ここまでは日本のDAOと同じです。他のDAOを批判しているわけではありません。DAOと名乗るには、非中央集権的で自律分散させたい😌
僕の結論は以下です。
DAO:目標達成のための組織で、意思決定はブロックチェーン上で行う
元CoinbaseのLinda Xie氏が簡潔でした。
>>A decentralized autonomous organization (DAO) is a group organized around a mission that coordinates through a shared set of rules enforced on a blockchain.
>>DAO [自律分散型組織] とは、特定の目標ありきで形成されます。そして目標に向けたルールの調整は、全てブロックチェーンの上で実行されます。
これでは意味不明と思うので、DAOという言葉を分解してみます。詳しくはVitalik Buterin氏の記事をどうぞ。
D:Decentralized(分散型)
A:Autonomous(自律している)
O:Organization(組織)
①DA(自律して分散している)
wikipediaをイメージしてください。サービスが自律して分散しています。つまり、世界中に「知識を共有し書く人」と「知識を閲覧する人」がいます。
では、これはDAOと何が違うのか? 結論は「内部資本」です。DAOは「自分の財布&貯金」を持っています。しかしwikipediaは寄付集めてますね。貯金など持っていないので、ここがDAOとの違いです。
②DO(分散している組織)
DOはたくさんあります。「ゲーマーのコミュニティ」をイメージしてください。共通の目的(=趣味を楽しむ)があり、世界中から人が集まります。
では、DAOとの違いは何か? 結論は「人間が意思決定している」という点です。DAOの場合は、すべての意思決定は「ブロックチェーンの上」で実行されます。DOの場合は、人間が「ブロックチェーンの外」で意思決定します。ここが「DAO」と「DO」の違いです。
③DAO(自律して分散している組織)
上記を引き算的に考えると以下になります。
D:Decentralized (分散型)→共通の目的を持つ個人
A:Autonomous (自律している)→人間が意思決定しない
O:Organization (組織)→内部資産を持つ
そして意思決定はブロックチェーン上で行うのです。
補足:DAC(Decentralized Autonomous Company)
ここまで来ると地獄です😌自律分散型の会社ですね。DAOとの違いは「配当の有無」です。MedicalDAOはこの方向かもです。
簡単に図にしてみました。以下です。
①左上:中央、周囲ともに機械
2022年現在は存在しません。SFです。
②右上:中央が機械、周囲が人
こちらがDAOになります
③右下:中央、周囲が人
これが現在のスタンダードな組織ですね。カリスマモデルです。Vitalik氏は「つまらない古い組織」と言ってますね😌
④左下:中央が人、周囲が機械
これはExcellent Companyですね。トヨタのような、生産ラインがイメージしやすい。
補足 : Vitalik Buterin氏の記事では「内部資本の有無」でもクワドラント化しています。以下です。DAOについてもっと知りたい方はLevel Up Your Knowledge of DAOsをどうぞ。
現在の日本のDAOは以下ですね。意思決定は「ブロックチェーンの外」です。
◎D:Decentralized (分散型)→共通の目的を持つ個人
✖︎A:Autonomous (自律している)→人間が意思決定しない
△O:Organization (組織)→内部資産を持つ
クワドラント的には、中央:IP(知的財産),ビジョンやカリスマ的存在,周囲:人ですね。つまりVitalik氏的には「つまらない古い組織」です。
日本のDAOを「DAO(自律分散型組織)」にするためには「A(人間が意思決定しない)」仕組みを「ブロックチェーン上」でつくることがマストになりそうです。クワドラント的には以下のように移動することでDAO化を達成します。
まず、MedicalDAOは「中央が解散する」これが目標です。つまり、中央が完全に機械の形を目指します。Vitalik氏が提唱するDAOを目指してます。以下のような構造になります。
①プロジェクトをつくる,参加する:医療の課題を解決するPJをつくる/参加する
②DAOを応援する:Discord入る、NFT買う
③出資の意思決定(未):プール資金の使い道を決定する
④資金の移動(未):プロジェクトへの出資、プロジェクトからDAOへの還元(寄付NFT)
この構造で、「ミライの医療をつくる」ことにチャレンジしています😌③以外は日本のDAOも似た構造ですね。ここからはMedicalDAOを例に見ていきます。
web2→web3に向かいますが、ビジョンやブランドを中央に残します。変えるのは仕組みです。「意思決定」と「価値の移転」の仕組みをブロックチェーン上につくります。順番に解説します。
やりたいのは以下です。
③出資の意思決定:プール資金の使い道を決定する
そのために初手はカリスマモデルからの脱却をします。中央の意思決定権をDAO参加者に委ねていきます。ここは、ブロックチェーン上で行うことができます(後述)。そして、人間を機械に置き換えていくイメージです。
しかし、これではDAOの「A(人間が意思決定しない)」を達成できませんね。機械による意思決定の具体策はありません。すみません。これが現状の最適解かなと思います。
また、意思決定の重みづけをどうするかのは課題になりそうです。ここは別記事で。
補足 : 「機械による意思決定」ですが、人工知能に可能性がありそうです。人間の無意識部分の集合知から意思決定できるのかなと考えています。そうなると中央、周囲ともに機械で構成される「聖杯」にたどり着けるかもです。
価値の移転もweb3の革命ですね。スマートコントラクトで表現します。ブロックチェーン上に書かれた嘘のつけない契約書と考えてください。
やりたいのは以下です。
④資金の移動:プロジェクトへの出資、プロジェクトからDAOへの還元
MedicalDAOは、医療の課題を解決するプロジェクトをつくり出すインフラを目指しています。そのために、出資やリターンの設計をあらかじめスマートコントラクトで決めておきます。ざっくりの具体的な設定を図で示しつつ、解説します。
<出資:DAO→プロジェクト>
投資金額の大小で必要票が変わる仕組みも考えられます。例えば、プール資金の10%を出資する場合は全員の賛成、5%なら過半数の賛成でOKなどです。
しかし、どの程度のプロジェクト(貢献)ならいくら出資が受けれるのかをスマートコントラクトで表現することは難しいかもです。プロジェクトは多く、必要額が異なるためです。
<還元:プロジェクト→DAO>
立ち上がったプロジェクトの事業体によってコントラクトが変わりそうです。株式会社からのリターンなら株の配当を××%、個人なら出資金のみ返済,その他事業体なら寄付で返す..というように契約書が変わってきそうです。
つまり、プロジェクトがどのくらい成功したらどの程度中央にリターンするかをあらかじめ決めておくのです。
補足 : こちらは新しいDeFiと考えても良いですね。ちなみにDeFiは完全なDAOと言われていますね。
参考 : 一応、スマートコントラクトの説明もVitalik氏の説明を載せておきます。
>>One example of a smart contract would be an employment agreement: A wants to pay $500 to B to build a website. The contract would work as follows: A puts $500 into the contract, and the funds are locked up. When B finishes the website, B can send a message to the contract asking to unlock the funds. If A agrees, the funds are released. If B decides not to finish the website, B can quit by sending a message to relinquish the funds. If B claims that he finished the website, but A does not agree, then after a 7-day waiting period it’s up to judge J to provide a verdict in A or B’s favor.
>>スマートコントラクトの一例としては、雇用契約が挙げられる。AはBに500ドルを支払い、ウェブサイトを構築してもらいたい。この場合、契約は次のように機能する。Aは500ドルを契約に投入し、資金はロックされる。Bがウェブサイトを完成させると、Bは契約に対して資金のロックを解除するよう求めるメッセージを送ることができる。Aが同意すれば、資金が解放される。Bがウェブサイトを完成させないと決めた場合、Bは資金を放棄するメッセージを送ってやめることができる。Bがウェブサイトを完成させたと主張してもAが同意しない場合、7日間の待機期間の後、裁判官JがAまたはBに有利な評決を出すことになる
ここからは参考です。MedicalDAOは2パターン考えています。
⑴Nouns Protocol
②DAOを応援する(NFT買ってお金出す)③出資の意思決定,④資金の移動が同時にブロックチェーン上でできます。①プロジェクトをつくる提案も連携してできます。ボトムアップ型組織との相性や意思決定の人数を絞れる点も素晴らしいです。詳しくは別記事に書いてみます。
補足 : Nounsを5分でつくるツールもありました。以下です。
⑵DAOツール
AragonもNounsに似ますが、②DAOを応援する(NFT買ってお金出す)の機能はありません。そのため、③出資の意思決定をDAOメンバーのウォレットに割り当てることができます。この辺りは、MedicalDAOの「Aragon部屋」で研究しています。
現在、こちらのNFTホルダーに出資の意思決定を割り当てることが有力です。
補足 : ボーダレスジャパンという株式会社はDAOに近いかもです。組織構造の参考にしています。
ここまでDAOの定義や設計図を見てきました。それらから考えるDAOのメリットは以下です。
✔️結論 : プレイヤーの参加ハードルを下げる設計になっていること
参加ハードルが下がれば、参加者が増えます。参加者が増えるほどDAOは成長するので嬉しいですね😌それでは、詳しく解説します。
「つくる,参加する」、「応援する」、「意思決定する」これらは全てやってもいいし、1つを少しやるだけでもいいですね。ゲームみたいに、プレイヤー(個人)が自分で遊び方を選べるルーズさは特徴です。
さらに、ルールは誰でも見ることのできるスマートコントラクトで保証されます。そのため、透明性を持つ組織といえるでしょう。それゆえ言語に縛られず、1日目からグローバルです。
DAOはボトムアップ組織です。そして誰にでもオープンです。それゆえにフラットな関係性を作りやすく、プロジェクト(PJ)間の横の繋がりをつくりやすい😌
イメージとしては大企業のようなスケールメリットと中小企業のフットワークの軽さのいいとこ取りです。
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②ミライの医療をつくるMedicalDAOに入る
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追記 : 音声メディア「Voicy」に推薦お願いします。こんな感じのweb3の一歩先や医療ブロックチェーンを通して、みなさんとweb3リテラシーを上げていきたい😌
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