こんにちは
DeFi/GameFi/SocialFiのTEの解析と設計、アドバイザーをしているnakata です。
この記事では、複数のプロジェクトでTEの設計をして得た知見/経験をベースに
Web3プロジェクトを開始するときに必要だと感じたTE設計の基礎知識を記載します。
人類の誰も正解を知らないTEについて
設計、議論をする上での叩き台になれば非常に嬉しく思います。
いまやTEはWeb3プロジェクトにとって「プロダクト」「マーケティング」と並ぶ重要要素だと考えています。
TEは経営やプロダクト設計に密接に関係するものであり、TEの専門家、設計者でなかったとしてもWeb3プロジェクトのFounderはある程度の理解が必要です。
一度設計すれば完了するわけではなく、プロジェクトのライフサイクルに沿って
終焉を迎えるまでずっとメンテナンスをする必要があります。
この記事ではプロジェクトのライフサイクルを分かりやすく起承転結と区切ったときに
「起」の部分に必要かつ、初級的な内容を記載します。
mint/burn比率のような破綻しないための数字の正しさももちろん重要ですが
が重要視されます。
良いTEはプロジェクトのスケールをスムーズにし、良くないTEはプロジェクトの価値を下げ、最悪TEが原因でプロジェクトが破綻することまで考えられます。
あなたのプロジェクトにフィットするTEを設計する必要があり
テンプレに沿って作れば完成するような単純なものではありません
まずはざっくり、どのような内容を設計していくのかを下記に記載します。
■有限発行Token (BTC/UNI/AXS/GMT など、発行数量の上限があるもの)
■無限発行Token (ETH/CAKE/SLP/GST など、発行数量の上限がないもの)
以下に各項目の具体的な内容を記載します。
そのTokenは何を表し、何に使えるのかを定義します。
UNIのような用途が無いTokenが大きな価値をもつのは特殊な例で
有限発行のガバナンストークンであったとしても
「何に使えるのか」を定義した方がいいです。
どういう需要があって、どういう形で単価が上がっていくのか
が想起できる内容が含まれているとより良いです。
【例】
... などなど
Stakingは将来的な売り圧を高める借金のようなものなので
用途としては基本的に非推奨です。
もちろん、IEO直後で急激に市場にTokenが供給される時点の売り圧分散など、
局所的に採用することや他の理由と紐付けることでメリットがある場面もあります。
各アロケーションの考え方と決め方については
(少し古いですが)既に素晴らしい記事があるので、こちらをご覧ください。
補足すべきことがあるとすれば、称賛されるアロケーション、非難されるアロケーションは
時代、時期によって変化します。
例えば、Core Teamのアロケーション。
2013年には5%だったものが2021年には20%ほどになっています。
これはプロジェクトに関わる人々の考え方が
より多く貢献した人により多くインセンティブを与えるべきだ
という方向に変わっていった結果だと考えます。
しかし、今後、想像もつかない問題で20%のCore Teamのアロケーションによって
プロジェクトが存続できないような問題が発生し、大きなニュースになったとしましょう。
その場合は、やはりCore Teamのアロケーションを減らすべきだという論調が強まり
結果として、Core Teamのアロケーションは減少していくと考えられます。
逆もまた然りです。
成熟していない項目なので常に市場の情報をキャッチアップし
より市場にもフィットしたアロケーションにすべきです。
ただし、投資家Aさんと投資家Bさんの理想とするアロケーションが違うことは往々にしてあります。
どういう思想で、どうしたか、というのをはっきり説明できるようにしておくと
考え方が違う人からも支持を得られる確率が高くなると思います。
アロケーションと重なる部分もありますが
「いつ、どのように」市場に供給していくかを計画しておきます。
計画から変わらないもの(セール販売分)と
変わる可能性があるものがあるので区別して計画します。
変わる可能性があるものはWPなどに明示しておくと尚良いです。
また、月単位のような時間軸で供給量を決定するのではなく
なにかしらのKPIの達成度に応じて供給していく方法も考えられます。
その場合はどのKPIがどのレベルまで達成されれば
どれくらい供給されるかを計画していおくと良いでしょう。
などなど、色々な方法が考えられます。
アロケーションと準備する資金に影響するので初期の段階で決めておきましょう。
どういう理由でTokenがMintされ、コミュニティに配分されるのか
コミュニティに対してのインセンティブ設計にもなります。
例えば、GameFiを例に上げるとPlayに対する報酬がメインストリームですが
貢献度に応じて配分することを意識して下さい。
ネットワークを広げる/新たな価値を経済圏に産み出すなど、
プロジェクト/コミュニティに対して貢献したひとに
Tokenを渡すことで より大きな価値を産み出すことが出来ます。
フリーライダーに対して少量のTokenを配分することもネットワークを広げる意味では重要です。
その場合であったとしてもただ配分するのではなく
ストーリーを明確にし、受領体験の価値がより高くなるように設計しましょう。
無限発行Tokenが何に使えるのか。最も重要な設計ポイントです。
有限発行Tokenの用途とも被るようにも思いますが
無限発行では用途 = Burn(焼却)であることに注意して下さい。
無限発行TokenをHODL(保持)することにインセンティブを持たせると
長期的に価格の低下を招きます。 消費するように設計して下さい。
具体的にどういった用途であればユーザーはTokenをBurnしてくれるのか
GameFiの火付け役となったAxie Infinityを例に考えてみましょう。
Axie Infinityの無限発行TokenはSLP(Smooth Love Potion)です。
その名前のとおり、スムースにラブを育むためのポーション(ようするにロー○ョン)なのでAxieとAxieのブリード(交配)に使用できます。
2匹の親AxieがSLPを消費してブリードすることで新たなAxieが産まれます。
ユーザーは新たなAxieを自分で使ってもいいですし
セカンダリマーケットで売却して収益を得てもいいです。
Axie Infinityのプロジェクトとしての成長期に
遺伝情報などブリードに必要な知識を持っていれば
積極的にブリードしてSLPをバーンすれば大きく収益を上げることが出来ました。
また、より強いAxieを産み出し、自分のパーティに加えることで
ゲームを有利に進めることも出来ます。
つまり、この例ではブリードでSLPをBurnすることで
という、SLPのHODLや売却よりポジティブな効果を得られました。
このBurnすることで、よりポジティブな効果が得られるという設計する必要があります。
注意すべき点は「経済的インセンティブがある」だけにしてしまうと
持続性が無いポンジスキームになってしまいがちです。
必ず
など「経済的インセンティブがある」以外の用途を1つ以上設計しましょう。
エコノミクスが発展してく中でMintとBurnの比率が重要になります。
極端な例ですが、Mint : Burn = 2 : 1 の比率で行われていると
希薄化され価格はどんどん下がります。
逆にMint : Burn = 1 : 2 のようになると流動が枯渇します。
成長期にはほんの少し大きくMintし、安定期には1:1、減退期には多くBurnしましょう。
MAUなど計画をしていればそれとTokenの供給
流動計画を結びつけて矛盾がないかチェックしましょう。
MAU計画値が少ないにもかかわらずTokenの供給、流動が高い場合危険信号です。
プロダクトのバリューとは関係ない部分でToken単価の低下が予想できます。
Tokenの供給量を減らして矛盾の無いように調整しましょう。
予想値なので本質的には必要ないですが
ベンチマークを元に作成しておくとInvestorを含めた各関係者の理解を早めます。
またチームの指針となり、目指すべきところが明確になります。
ベンチマークがない場合、説得力のある理由が必要です。
いかがでしょうか?
稚拙な文章でしたが、最後まで読んでいただけて嬉しいです。
記事の公開には知見の共有の他に、私の考えていることをOpenにすることで、
指摘や別方向からの意見を頂き、より私の知識を深めたいという意図もあります。
少しでも気になったところなどあれば
コメント、DMなどでご連絡いただければ非常に嬉しく思います。
エアリプとか引用リツイートでの批判は怖いのでやめて下さい。笑
繰り返しになりますが、本文は2022年7月時点の私の知見に過ぎません。
より良いとされるTEは毎月のように変化します。
常に最新の情報をキャッチアップし、理解し、反映していきましょう。
反響が高ければ、第二弾として次回は下記内容を書いていこうと思います。
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