0.Web3バブルを超えて
新年あけましておめでとうございます。Oasysの松原です。
(カバー写真は地元長崎の出島付近から帰省時とりました。)
振り返ると、2020年のDeFi、2021年のNFT、2022年のX to Earnによる3年の熱狂から、Terra/LUNA事件、FTXショックと3歩進んで2歩下がった年でした。
しかしながら、2008年に中央集権型の現代金融システムへのアンチテーゼとして誕生したブロックチェーンに、2020年DeFiと呼ばれる分散型金融市場が形成され、NFTとGamificationによるデジタル経済圏を誕生させたこの3年の熱狂が残した”1歩”はコロナを経て形成されたリアル経済への閉塞感を打ち破る希望の火として、テクノロジーの未来を信じる人たちの中で未だ燃え続けています。
1.ゲームの持つ意味、役割、影響の変化
一方、世界経済の中長期的なトレンドをみると、日本では少子高齢化のため真逆ですが、世界人口は増加を続け2025年にはα世代(2010年以降生まれ)が、まだ購買力を持ちませんが、最大の人口ボリューム層となります。
彼らはコロナ禍により家で過ごすことが多く、友達とフォートナイト、Robloxなどの3Dバーチャル空間で集まって遊んだりコミュニケーションをとって過ごすことが当たり前のメタバースネイティブ世代です。
すぐにマスコミで、ゲーム空間でばかり遊んでいるが大丈夫なのか?という問題が騒がれると思います。「ファミコンばかりやって勉強しなさい」と言われた大人は多いと思いますが、ファミリーコンピューターの文字通りお茶の間でやるゲームとは、ゲームの持つ意味、役割が従来と完全に変わってきております。
DAUは6000万人のRobloxでは友達と協力してRoblox上にフィールドを作り、他のユーザーに提供しゲーム内通貨Robuxを得て、別のユーザーが作った服を買ったりして楽しんだりしており、巨大な経済圏ができつつあります。
MAU8000万人と言われる、フォートナイトでは有名アーティストのライブが行われたりと新しいメディアチャネルとしての側面も持ちます。
DAU、MAUと言ってもピンとこないかたもいらっしゃるので、わかりやすく書くと、2023年1月初頭にフォートナイトにアクセスしてみましたが同時接続300万人以上だったので、300万人が常にそこに同時にいて、6000万人、8000万人が日や月ベースで訪問する巨大都市です。
2.目指すもの
そうしたゲームも成熟期を迎えはじめると、ソーシャルゲームが成熟期を迎えたのと同じように、多くのサービス終了を迎えることになります。
サービスは終わりあるものであっても仕方ないですが、ユーザーのお金と時間と情熱の結晶のプレイ資産を奪うことはあるべきでないと考えています。しかし現状はサーバーが閉じられると全ては消失します。
愛したキャラクターや、苦労して手に入れたアイテム、情熱の証の戦歴や人との繋がりを、そのゲームを引退したあとの人生を後押しする財産に変えていく、そんな世界を実現したいと思いプロジェクトを進めています。
コインチェック事件の余波残る2018年11月という真冬の時代に、「ゲームにかけた時間もお金も情熱も、あなたの資産となる世界」を掲げて、My Crypto Heroesというブロックチェーンゲームを弊社の源流の一つであるdoublejump.tokyoからリリースし、売上、DAU、ユーザー数全てで1年半、世界1を保持しOpenseaの取引の殆どを占めていました。(OpenseaのNFTの設定がゲーム寄りの細かい設定ができるのはその名残です。)
その後、2020年のDeFi、2021年のNFT、2022年のX to Earnによる3年の熱狂からFTXショックで、また冬が来た今、2023年の展望を5Wでシェアさせていただきます。
3.2023年の展望
When
今年、ブロックチェーンゲームの成功モデルが複数出てくると思います。
Who
1.世界的大手Publisher、2.モバイルゲーム中心の会社、3.ゲーム開発実績のあるチームによるWeb 3 ゲームスタジオ、全員集合でそれぞれが考えたモデルを出してくるからです。
Where
Web3バブル崩壊の影響を唯一受けておらず、ゲーム事業者も多く、ゲームGDPも世界トップクラスの日本から始まりますが、少子高齢化のため本当のボリュームゾーンに届く前に海外中心になると思います。
Why
なぜ全員ブロックチェーンゲームに取り組んでいるのでしょう。
Web2時代、全員スマホを持つことになり全人口ゲーマー化し、市場が大幅拡大しました。
Web3で新たなフロンティアが開拓できるのではないかと模索しているからです。
Web 2ではガチャというマネタイズモデルの発明と、ソーシャルといった新たな体験価値は別でありながら両輪であったように、Web3でも同じ事が起きるでしょう。
これからブロックチェーンゲームが取り込んでいく層を2種類想定しています。あくまで想定ですが、ゲームによってどちらを選ぶというより、両方をターゲットとするものもあれば片方だけの場合もあるでしょう。
1.既存ゲーム層
成長率も非常に高く、10年スパンの長期では徐々に前述のα世代の購買力がついてくることもあり最も大きくなるセグメントですが、既存のやり方では競争も激しく近年の制作費の高騰からコスト対レベニュー効果が薄くなっており、低コストでブロックチェーンを使った体験を差別化要因として提供してユーザー獲得が行われることから、多くの新たな体験価値の創出はここに向けたゲームから生まれる可能性が高いと想定しています。
この層に対して過去ヒットした例はMy Crypto Heroesが例で、良質なコミュニティを形成しARPUが非常に高いです。
同じエンジンにWeb2でヒットしたゲームIP(Brave Frontier)を載せてリリースして再現性も検証済です。
4年前できなかった、OASYSの活用によりUX(高い、遅い、使いづらい)改善をしながら、トークンの活用により下記層も取り込むことでユーザーボリュームは数百万に達し、いよいよ Web2のヒットゲームと変わらないところかそれ以上になるはずです。
2.新たな”Investment Gamer”層
Axie Infinity ,STEPN といった代表作の登場により新しいモデルの方向性が見えてきましたが、モデルはまだ完成していません。
こちらを意識しながらマネタイズモデルが早期に発明されていくと想定しています。
a: Axie Infinityモデル(ターゲット:ポイ活、Play to Earn層)
Earnの原資が新規ユーザーのNFT購入費用であり、ポンジ”的”スキームのためすぐ崩壊してしまいましたが、Axie Infinityがピーク時DAU200万人を記録し、トップのソーシャルゲームと同等のユーザー数を黎明期で記録しました。
中心地であったフィリピンの平均月給3〜5万円で、これまでゲーム産業がターゲットではなかったユーザーが大量に獲得した事は新たな可能性を示しています。
時給数百円と言われるポイ活は1日2,3時間やるとするとフィリピンの平均月給と同じくらいの収入になりますので、他の持続可能なモデルをアナロジーとしながら模索することで世界のボリュームゾーン(インド、アフリカなど人口激増地域)へリーチできます。
b.STEPNモデル(ターゲット:個人投資家層)
(道が舗装されていていないと流行らないので)主に先進国で流行したSTEPNもAxieと同様にEarnの原資が新規ユーザーのNFT購入費用であり、ポンジ”的”スキームのため数ヶ月で崩壊してしまいましたがピーク時DAU100万人近くを記録しました。
こちらは新しいものに敏感で、株式投資や、FXなどを行なっている層が投資として東京でプレイしているのを見かけました。
ポンジ”的”スキームに重ねて、急激に靴(NFT)の値段が高騰し、1日数十万稼げる状態になり加熱しすぎたことで崩壊したので、ゲームの面白さやNFTそのものの価値(IPなど)のファンダメンタルを加えて、価格と需給のバランス調整をうまく行うことで持続可能なモデルを模索できそうです。
What
ブロックチェーンゲームならではの新しい体験とは何か
1.”経済”を生み出すこと
トークンにより貨幣を生み出せるようになったこと、NFTによりデジタルアイテムに流動性与えたことは、ゲームを根本から変えるほどの大革命です。
二宮金次郎が”道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である”と言いましたが、一歩間違えば犯罪になりかねないくらいの影響を与えてしまいます。
FTX事件をみれば明らかですが、ゲームの影響力がゲームだからいいでは済まない世界に突入します。
2.分散型だからできる体験
a.NFTのインタオペラビリティ
ユーザー側で従来の体験と違うことは、ゲームAのキャラクターや武器のデータはゲームの中に閉じているため、ゲームBでも使えたりすることはなかったですが、今後のブロックチェーンゲームでは自分のアバターや持ち物がさまざまな世界(マルチバース)で利用できるようになります。
現状はお互いのゲーム同士の許諾が都度必要であり、実現できるようにするにはNFTのメタデータ規格の整備が必要です。
b.UGC(User Generated Contents)の可能性
ゲーム制作側も変わります。ユーザーが保有するNFTやトークン、戦歴データなどを横串として、ゲームタイトルAを中心にユーザーが派生版として様々なゲームA´を作っていき巨大テーマパークを構成する可能性があります。
昨今のAIの進化と、Web2でもRPGツクールなどのモデルが存在することを考えると想像しやすいです。
しかしながらこれまでUGCはコミケなどを中心として非営利で広がっていました。こちらも事業として広まるには許諾の問題が絡むためこちらもNFTのメタデータ規格の整備が必要です。
3.他の新テクノロジーとの組み合わせ
ブロックチェーン単体でユースケースを考えるのではなく、AIやXR等の新テクノロジーを組み合わせることにより、新しい体験が生まれます。
直近のChat GPTなどのAIと組み合わせたりすることによる新しい体験は容易に想像がつきます。
4.2023年、OASYSの取り組み
キラーコンテンツが、ほぼ確実に出てくると今年予想される中、OASYSとしての取り組みを共有します。
1.日本上場
OASYSエコシステムの基軸通貨たるOASへ日本の方がアクセスしにくい状況で、日本発で日本の方に愛ししたしまれてきたコンテンツをお届けするわけにはいきません。
2.Governance Council本格稼働
3年後のDAO化に向け、OASYS Governanceを稼働させます。
一般的なトークンのガバナンスに加えて、ゲームの未来のための議論を行なっていきます。
具体的にはまず、NFTのインタオペラビリティのためのMeta Dataの規格標準化等を推進していきます。
実は、NFTの事を誰も知らなかった頃に取りまとめて発表しましたが、今回はゲーム界のオールスターのようなメンバーと進めることができそうなため、一般化が可能だと信じています。
3.キラーコンテンツ創出のための様々な施策
昨今のマーケット状況において、優れたプロジェクトでも運営資金のサポートを必要としている場合が散見されており、近日中に第一弾の取り組みを発表させていただきます。
Strategic Roundにも参加いただいた、ゲーム領域で世界最大級のVC、Galaxy Interactiveなどのパートナーとも協力し、米国を中心としたWeb3 スタートアップエコシステムへの巻き込み、First Round投資家陣(ローンチパッド、取引所、マーケットメイカー)とも協力し、厳しいマーケット環境下においての上場支援など様々な支援を行います。
加えて、ステージとしては、まだまだMVP(Minimum Valuable Product)を出し、これからPMFですので、Oasys Hub、Oasys Explorer、Oasys Governance含めたプロダクト磨きを高速で行なっていきます。
5.結びに
シンガポールというWeb3出島にいますが、今年はとにかく日本が最重要マーケットです。
自分自身へのメッセージとしても「世界に出て日本を使え」という言葉で締めさせていただきます。
※詳細は本日(2023年1月10日)、のNews Picksの番組、The Updateの新年初放送をチェック下さい!!