GDPデータを用いたトークン株式倍率の正当性について

Kiyoさんに共有いただいた記事なのですが、全てのクリプトスタートアップ・VCがお互いに理解すべき内容だなと思ったので、翻訳・解説してシェアさせて頂きます。

トークンを発行するクリプトスタートアップに投資する場合、投資家は株式の価格とトークンの価格という2つの価格を考慮します。現在では、「トークンのバリューションは、株式のバリュエーションの3~5倍であるべき」という経験則が使われています。

あるクリプト事業の創業者によれば、**「会社の株式は、将来の企業の配当金に対する先取特権を持つが、トークンは経済圏のGDPの利益に対する先取特権を持ち、経済圏は3~5倍になる傾向があるからだ」**と教えてくれました。

ブルックリンにあるクリプトチームとのミーティングから歩いて帰りながら、同僚のアレックスと私は、このアイデアで色々と思考してみました。

4倍というのは正しい数字なのだろうか?SalesforceのエコシステムとGoogle経済のGDPを計算しようとしたが、推測の域を出ませんでした。どこに、このバリュエーションの差分の証拠となる類似のデータがあるのだろうか?

私が見つけた最も良いデータは、各国の経済です。各国は、GDPの数字をグラフ化し、税率を公表しています。この2つの数字があれば、各国のトークン評価に相当するものを導き出すことができるのです。これは、完璧なアナロジーではないが、思考実験としては十分なものです。

出典:https://tomtunguz.com/crypto-token-multiples/
出典:https://tomtunguz.com/crypto-token-multiples/

この例えをビジュアル化したものがこちらです。Googleは自分自身の周りに経済を作り出します。Googleは、検索ページへの広告掲載料を徴収することでその経済に課税し、その経済圏(GDP)の一部を取り込んでいます。

国(Google)が経済を発展させ、税(広告掲載料)として収益を得るのです。

上記のアナロジーを参考にすると、国のGDP/税収の倍率さえ計算できれば、それがクリプト企業にも当てはまるかどうか、いくつかの観測を行うことができると考えました。

この数値をEconomy/Tax Revenue RatioまたはETRと呼ぶことにしましょう。

ETR = GDP/Revenue

ETR(経済圏に対する税収(企業利益)の割合)= GDP/税収(企業利益)

OECDからデータを引っ張ってきて、すべての国のデータを分析したところ、興味深いことがわかりました。

経済規模と税率には関係がないのです。また、GDPとETR倍率の関係も存在しない

ETR - 四分位数
ETR - 四分位数

ETR倍率の中央値は4.9倍であることがわかる。

経済規模の大きい10カ国であるG10を調べると、ETRの中央値は3.5倍75パーセンタイル(第三四分位数)は5.2倍であることがわかる。

以下のグラフでは、GDPの大きい順に並べています。これらの数値は、冒頭で述べたクリプトスタートアップの経験則、「トークンのバリューションは、株式のバリュエーションの3~5倍であるべき」とほぼ一致しています。

G10のETRは2.4~7.8のタイトな範囲に収まることがわかる
G10のETRは2.4~7.8のタイトな範囲に収まることがわかる

また、以下のグラフを見ると、経済成長率(2019年データ使用)とETRの相関は0.8である。これは驚くべきことで、世界規模でも市場の効率性について何かを語っているのかもしれません。

ETRとG10のGDPの相関関係
ETRとG10のGDPの相関関係

今までの情報を、少し整理してみましょう。

  • ほとんどの国は、税収に対するETRがGDPの3~5倍で運営されている。
  • ETRは成長率と相関がある G10諸国の税率の中央値は、GDPの28.5%。

では、クリプトはどのように扱われるのでしょうか。

「国:経済」を「クリプト企業:経済」の関係性で例えれば、3〜5倍の倍率が互いに酷似していることは、理解できたと思います。

しかし、国とクリプト企業の成長率・税率は、これ以上ないほど異なっています。

大きな違いの一つは、成長率です。クリプト経済は、ほとんどの先進国よりも桁違いに速く成長しています。例えば、イーサリアムは先月(2021年10月)、2020年1年間分と同程度の成長を遂げました。

また、各国のように、経済圏の収益の24%〜28.5%を税金として集めるような、クリプトトークンはありません。

要約すると、クリプト企業の著しく大きな成長率は、意味のある低い税率を相殺すると仮定すれば、株式に対して3〜5倍のバリュエーションがトークンにつくことは、極めて真っ当に思えるかもしれないということです。

以下、僕の個人的なまとめです。

超簡単にまとめると、

クリプト企業の収益 <> トークンでの経済規模
国の税収 <> GDPベースでの経済規模

上記の二つの関係性にアナロジーを見出して、

ETR(経済圏に対する税収(企業収益)の割合)= GDP/税収(企業収益)

をOECDの2019年までのデータをもとに計算すると、

「GDP(経済圏)」は「税収(企業収益)」の3〜5倍になる。

ということがわかる。

株式 =「企業利益の分配権」トークン =「経済(GDP)益の分配権」

と当てはめると、

「トークン(GDP/経済圏)は、株式(税収/企業収益)の3〜5倍になる。

というアナロジーを見出せることが理解できるよね?ということだと思います。

出典↓

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