本日は、日本発のパブリックブロックチェーンプロジェクトであるAstar Network上の1st AMMプロジェクトであるArthSwapを紹介したいと思います。
1,Introdution
同プロジェクトはAstarネットワークエコシステムにコミットしたdefiプラットフォームです。将来的には、defiプラットフォームに必要な機能を全て搭載予定です。現在、Uniswap等と同様にswap機能と流動性マイニングを提供しています。流動性プロバイダーはファーミングで約400%APRを獲得できます(※)。流動性マイニングの報酬はガバナンストークンであり、2022年の第2四半期にCEXに上場されて譲渡可能になります。
※$ARSW=$0.175と仮定、LPのスワップフィーを加味した利回り(別に詳細記載)
2,Features
現在のスマートコントラクトとフロントエンドはPancakeSwapv1をフォークしたものです。(パンケーキ自体はsushiswapをフォークしたBSCトップAMMプロジェクトです)
(1)トークンエコノミクスについて
Total supply : 1,000,000,000(デフレトークン/$cakeモデルではなく、$Quickモデル)
Months to emit : 24か月
Liquidity Mining and Airdrop : 35%
Community Growth : 15%
Early Contributor : 10%
Dev Team : 20%
Potential Investors : 20%
循環流通量のイメージは、下記図参照。$cakeと異なり、インフレトークンではないので継続した高利回りでユーザーを引き付けるタイプのモデルではないですが、継続性の観点からは、デフレトークンの方が望ましいと当方は考えます。
具体的な数値:こちら
(2)流動性マイニングの収益について
下記に詳細は記載していますが、総論としてAMM利用料として0.3%を課し、各LPと$ARSWのステーキングに分配する収益モデルになります(他のAMMと同じような仕組みです)。併せて、ガバナンストークンである$ARSWを流動性マイニングすることが可能です。
全てのスワップ取引に対し、0.3%の手数料
収益分配 LP:0.25% eARSWステーキングプール:0.05%(ARSWを買い戻して配布)
※このトークンエコモデルは、QuickSwapのモデルを参考に構築されています。ユーザーは、$ARSWをステーキングすることで$eARSWを獲得でき、$eARSWは時間の経過とともに自動的に増加します。これは、上記スワップフィー0.05%を用いて市場から買い戻した$ARSWを配布していることによるものです。(個人的には、0.01%はステーブルコイン等で基金に蓄え、他プロジェクトの買収資金に充てる等の戦略を取る方がネットワーク効果を高めることができると思ってます・・・)
想定収益計算方法
LP=(過去24時間のボリューム* 0.25%* 365日)/ペア流動性
ステーキング=(過去24時間のボリューム* 0.05%* 365日)/ ARSW供給量*トークンの価格
流動性マイニング=月次排出量* 12 *トークン価格*ペア流動性*乗数/ {SUM (各流動性*各乗数)} /ペア流動性(~2022年2月まで)
流動性マイニング =月間排出量(LM)* 12 *トークン価格*乗数/ SUM(各乗数)/ペア流動性(2022年3月~)
※足元は$ARSWに市場価値が付いていないため、$0.175で想定した利回りになってます。
また、流動性マイニングの計算ロジックが2022年3月から変更されました。
3,Backers
ハンズオン形式で、ASTARのCEOである渡辺氏の紹介で資金調達が完了してます。Astarエコシステムにコミットするプロダクトを全力で支援するといった渡辺CEOの姿勢が表れている良い事例だと思います。ここのポイントは金を出した後にダンプするVCがいない点です。渡辺CEOの伝手で資金調達されており、まともな投資家と判断できます。
1回目シードラウンド調達:Next web Capital、DFG、LongHashVentures
2回目:Hypersphere Ventures、non-fungible returnsから45万ドルを調達
(詳細は下記URLご参照)
4,Schedule(ロードマップ)
足元は、トークンのTGEは完了していません。
2022年 第1四半期
・スマートコントラクトをPancakeSwapv2からフォーク
・フロントエンドの更改
・2月下旬に報酬を配布(送金ロック)、3月に送金可能になります。
2022年 第2四半期
・レンディング機能を追加。$AVAXのトレーダージョーのような仕組みを想定。
・CEXへの上場(Ex.Gate.io等、FDV 1億、TVL2億が上場の必須条件)
・ローンチパッド($ARSWをユーティリティとしたIDO):第1弾 Sarlar($lay)を予定
※$xavaのような仕組みを作れればエコシステムの発展に大きく寄与できそうです。
5,プロジェクトの所感
このプロジェクトの成功は、ASTARエコシステムにかかっています。プロダクト自体は、既にあるAMMのフォークプロジェクトであり、差別化できる要素は今のところありません。しかし、渡辺CEOがバックについていることからも、ASTAR上で最も利用されるAMMになる可能性が高いと想定されます。ちなみに、同プロジェクトにより、各チェーンからcBridge(ASTRへ資産を持ってくるクロスチェーンプロダクト)を通じて、足元ステーブルコイン等多くの資産が流入しています。L1エコシステムの発展には、TVLの増加が不可避です。
<チェーン分析>
参考記事:ArthSwap Wiki