ニクソン・ショック以降の変動相場制における各国の貨幣価値は何を拠り所にしているのか?
岩村充先生の『貨幣進化論「成長なき時代」の通貨システム』(2010)を参考にしてみた.
国家が発行した貨幣の担保は何によって行われているのか?
政府と中央銀行のバランスシート的なものを構成してみると,下記のような均衡式を導くことができる.
名目国債残高/今期の物価= 実質財政余剰の現在値
財政余財(= 実質ベースの税収(実質GDPx税率)-政府の経費 )
P=(M+B)/S
読み替えると...
M=PS-B
ベースマネーの価格は,政府収入に物価を乗じて,市中保有国債を差し引いたもの
動画の全編こちら→ 岩村充 「グローバリズムの下に漂流する通貨たち」東大TV
つまり,政府にどれくらいの税収が入るのかが,貨幣価値を担保しているという理論である.
税収は GDP*税率
によって決まる.
では,以降においてGDPはどのように構成されているのか,そしてGDPを増大させるためにはどのようなことを行えばよいのかについて言及する.
ある経済圏で生まれた価値の総和
当然のごとく,その経済圏の人口が多いとGDPは増加する.
GDP(国内総生産)=GDI(国内総所得)=GDE(国内総支出)
貨幣数量説を用いたGDPの計算
MV=PT
貨幣供給量*貨幣流通速度=物価*生産量
GDPの三面等価の法則より,右辺PTはGDPと等しくなる
MV=GDP
貨幣供給量*貨幣流通速度=GDP
ということができる.
国家において人口は生産及び支出の根源となる.
国家において法定通貨は強制通用力を持つ,国民はその国家内で生み出された価値の取引において,法定通貨で決済をすることを拒否できない.
つまり,国家において人口がGDPの根源となるというのは,支出面においてその国家の法定通貨を利用するからである.
法定通貨の強制通用力によって人口が国家のGDPの根源となることがわかった.
では,国家は人口をどのように獲得し,流出しないようにしているのだろうか?
行政サービス
物理的障壁
文化
日本人は日本語を使うので,外国に出ていきづらい.
日本の文化が独自なので,外国で同等の価値を受けづらい.
また上記を対外向けにアピールすることによって新規の人口を獲得することができる.
上記において,行政サービスは同質化していき,物理的障壁は先天的なものである.文化のみが各国の独自性が発揮され,コピーすることのできない積み重ねの価値となるのではないだろうか?
次回以降マクロ経済学の考え方をWeb3サービスの経済圏に応用し,トークノミクスについて考察を行う.