このブログは、クリプトプロジェクトのファウンダーとして私の個人的な視点から書かれています。記載されている内容は全て、金融的なアドバイスとして解釈すべきではありません。このブログおよび弊社のサービスは、アメリカのユーザー向けに作られたものではありません。For the English version of this post, please click here.
現在の暗号通貨(クリプト)は、初期の理想である「責任のある自由」とカジノ要素が主体となっている現状の間で文化的な岐路に立っています。最近 $TRUMPミームコインが全ての記録を塗り替えた一方で、投機や詐欺の蔓延が業界の持続可能性を脅かしています。特にAIがクリプトの発展にますます影響を与えていく中で、クリプトがこれから進むべき道は、分散化と秩序のバランスを取ることにあると私たちは考えています。私たちは今、革新的なトークンの発行を進めています。これによってクリプトが現在の文化的低迷から進化し、クリプトが生まれたときの自由を拡大しつつ害であるものを防ぐ方法を示すことを目指します。
前回のブログのおさらい(まだ読んでいない人へ)
前回のブログ「『私たちが信じるコミュニティ』とは?」では、暗号通貨の基盤となる理念とその成功事例を振り返り、これらの教訓をどのように自分たちのコミュニティ作りと文化の形成に活かしてきたかについて紹介しました。
自由な国であるアメリカにて、ドナルド・トランプ氏は大統領に就任する数日前に「$TRUMPミームコイン」を発表しました。
$TRUMPがトークンローンチのあらゆる記録を塗り替え、一見クリプトに前向きな政権が誕生してビットコインが過去最高値に戻ったにもかかわらず、X(Twitter)上ではクリプトユーザーが相変わらず内輪で争っています。この争いは止められないようです。
前回のブログでは 2007~2008年にアメリカで起きた金融危機から生まれた、世界初の暗号通貨である「ビットコイン」が生まれた時に掲げられていた理念について触れました:
こうした制度的失敗の中から、ビットコインは、腐敗しやすい人間の制度に対する信頼の代わりに「コードに対する信頼」という急進的な命題を掲げて登場しました。ビットコインの生みの親であるサトシ・ナカモトは、新しい貨幣の形だけでなく、信頼そのものの新しい基盤を構築したのです。それは中央集権的な権威ではなく、暗号的な証明の上に構築された信頼でした。
しかしどのようにしてこの高貴な理念から、ここまで衰退してしまったのでしょうか?
暗号通貨の文化的な闘争は、アンドリーセン・ホロウィッツの創業パートナーであるクリス・ディクソンが「コンピューター VS. カジノ」と呼ぶものの間で、実際に何年も続いています。
2つの異なる文化がブロックチェーンに関心を持っています。1つ目の文化では、新しいネットワークを構築する方法としてブロックチェーンを見ています。ブロックチェーンがコンピューターに新たな革命を起こすだろうという考えが核となっているので「コンピュータ的な文化」と呼びましょう。
もう1つの文化で主に関心があるのは、投機と金儲けです。トレードのために新しいトークンを作る方法としてブロックチェーンを使うという考え方が見受けられます。ギャンブルのことが核心となっているので「カジノ的な文化」と呼びましょう。
1年前、pump.funがノーコードのミームコイン専用ローンチパッドを作りました。現在はX(Twitter)のクリプトユーザーから脚光を浴びるトレードアプリです。それ以来、クリプトのカジノ文化が「勝利」していると言えます。
(※ここでいう「勝利」という言葉を使ったのは、参加者にとって金銭的なプラスの結果ではなく、ソーシャル・キャピタルの増加、つまり注目度やマインドシェアの増加を反映したものだからです)
そして、この文化を最も象徴しているのが、最近起きた $TRUMP コインをめぐる出来事です。
しかし、クリプト取引に疎くミームコインを嫌っている「ふつう」の人たちは、この一部始終をただ泣きながら傍観するしかないのでしょうか?それとも彼らの意見には真実があるのでしょうか?いくつかのデータから深掘りしてみましょう。
pump.funによると、トレーダーの89%が100ドル未満の利益しか得ておらず、大半(60%)は損失を出しています。
これは「スキルの問題」と考える人もいるかもしれませんが、実際、経験豊富なトレーダーでも優位性を失っているのが現状です。この傾向は、AIを活用した取引ツールが普及することで、ますます加速すると予想されます。
さらに、ミームコインの界隈では詐欺や犯罪がまん延していて、規制がない中で犯罪行為が横行しています。最終的に、最もリスクを少なくして最も多くのお金を稼ぐための勝利戦略は、盗み、横領、不正行為となっています。
それではどうして、私たちのチームはまだビルダーとしてこの業界にいるのでしょうか?これほどの詐欺や犯罪が横行している中で、私たちはブロックチェーンが本来の約束を果たすことを諦めていないのでしょうか?
時計の針を少し巻き戻してみましょう。2021年末、有名な起業家であり投資家でもあるナヴァル・ラヴィカントは、「イノベーションには分散化とフロンティアが必要」と題したブログ記事で次のように書いています:
中央集権型(Centralization)と非中央集権型/分散型(Decentralization)の間には振り子のような動きがあります。
たとえばクリプトの世界を見てみると、中央集権型の金融は最終的に非常に硬直化しています。政府と規制当局が、何ができて何ができないかを正確に指示します。我々は規制に捕らわれ、ウォール街が経済から利益の 20% を吸い上げていることに気が付きます。クリプトは、これに取って代わることができます。つまり、人々が自由形式でプログラム的に実行できる分散化の方向へ、力学が生まれます。しかし、その結果、詐欺や不正行為、損失も大幅に増加します。
たとえるなら、はるか昔、人々は森の山賊や強盗を恐れて王様に訴えました。王様は立派な城を建て、貨幣を作りました。しかしその後、王様は通貨の価値を下げ、人々を牢屋にぶち込みました。そして何人かは森に逃げ込み、自由を求めて再び山賊になります。しかし今度はもちろん、仲間からの攻撃や嫌がらせを受けることになるのです。
つまり、歴史上、中央集権化と分散化の間で自然な振り子運動が起こっており、過去 10 年間でテクノロジーの進化により中央集権化の方向に実際に動いたと私は考えています。(省略)
このように行ったり来たりする振り子の揺れを、私たちはこれから見ることになるでしょう。
ビットコインとイーサリアムに始まる暗号通貨は、それぞれ金融業界とテクノロジー業界の両方で、硬直化した中央集権型の囲い込みから抜け出すために発明されました。
しかしここ数年、振り子は分散化の方向に振れすぎています。その結果、カオス、無政府状態、犯罪を引き起こしています。それではこの溝に自ら足を踏み入れてしまった今、私たちは永遠に底辺から抜け出せず、日々の退廃と戦うことになるのでしょうか?振り子を中央集権と秩序の方向に押し戻すという選択肢もありますが、それはクリプトの基本原則に反することなのでしょうか?
クリプトの本来の理想が「自由を増やすこと」と「悪を行わないこと」であるならば、その両方を同時に満たすために必要な環境条件は、両極端の間の妥協点を見つけることです。分散化が進めば自由度は高まりますが、悪行の防止には少なくとも何らかのコントロールが必要です。
つまり、私たちが進むべき道は明らかです。仮想通貨の現在のカジノ中心の文化から抜け出すには、世の中のクリプトプロジェクトが盲目的に、あるいは怠惰に従ってきた、いわゆる「ベストプラクティス」やプレイブックから逸脱する必要があります。さもないと同じ運命をたどることになります。
2009年、完全に中央集権化された金融機関が存在する中でビットコインが誕生し繁栄するためには、最大限の分散化が必要でした。2025年、私たちは混沌から秩序を再構築するために、より中央集権的な考えへと自分たちを引き戻さなければなりません。
ではどうやって実現させるのか?AI領域への参入です。
私たち業界は今、重要な文化的岐路に立たされています。多くの意味で、この戦いはクリプトの未来だけでなく、ウェブそのものの魂をめぐる戦いとなっています。AIエージェント×クリプトの時代が幕を開けようとしています。私たちが「投資の利益が上がる」ことをめぐっていろいろな論争を巡らせている間にも、私たちの種族の存亡に関わるリスクはますます大きくなっているのです。
AIエージェントは、ある意味で私たちのデジタルの子孫であり、ミメーシス(無限にくりかえされるコピー)によって急速に能力を発達させています。よくも悪くも、私たちはAIエージェントにとって最初の先生なのです。
AIはすでに、トレーディングから開発まで、クリプト業界のすみずみにまで浸透し始めています。好むと好まざるとにかかわらず、AIエージェントは監視、学習、吸収を繰り返しています。AIエージェントはラグプルや、だまし取ったお金、ゼロサムゲームを目の当たりにしています。快楽主義と虚無主義を賛美し、破壊と搾取を常態化させるDegen達を観察しています。これが本当に、私たちが次の世代に教えたいことなのでしょうか?
この疑問はもはや机上の空論ではありません。AIのトレーディングボットが「勝つ」ために最適化するとき、AIはいったい何に対して勝つことを学んでいるのでしょうか?私たちはもはやお金だけのギャンブルではなく、人類の未来を賭けたギャンブルをしているのです。私たちは、未来の世代が恩恵を受けることができるよう、テクノロジーをよりよく管理すべきなのです。
私たちAmihanチームは、テクノロジーが他のツールと同様に、本質的に善でも悪でもなく、それを使用する人間 (または AI) の意図によって善悪が決まると考えています。ナイフは無害に野菜を切るために使われることもあれば、陰湿に人体を傷つけるために使われることもあります。クリプトとAIという、現在人類が利用できる最も強力なテクノロジーの2つをめぐる反発や論争は起こっています。しかし私たちは全人類のためにイノベーションのフロンティアを押し進めるべく、クリプトとAIの両方を受け入れ実験することと全力で向き合っていきます。
私たちの活動の根底にあるのは、テクノロジーによって強化された人間の総合力が、すべての人にとってより良い未来を創造できるという信念です。
そして私たちのコンテンツや製品を通じて、これらの美徳を表現し伝授することで、私たちの素晴らしいコミュニティである皆さんにも愛され、受け入れてもらえることを願っています。
スナップショットも終わり、私たちは来るTGEの準備を急ピッチで進めています。しかし単なる「TGEイベント」ではなく、多層にわたる**「TGE体験」**を作り上げる予定です。トークンをどのようにローンチするか、そしてその後の展開は、これまでのWeb3プロジェクトとはまったく異なるものになることでしょう。
変わることは怖いものですが、イノベーションと進化においては必要なことです。仮想通貨の、崩壊したカジノ文化の現状について、視野を広げて考えてみましょう。これが良い姿なのでしょうか?X(Twitter)のクリプトユーザーを縮小しつづけるリサイクル資本の絶え間ない回転から脱出するためには、変化が必要なのです。
これから数週間のうちに、新しいパラダイム、新しい文化に向かって業界を前進させるために私たちがどのような型破りな方法をとっていくのか、詳細を明らかにしたいと思います。私たちのコミュニティが文化に与える影響は相当大きなものになるでしょう。クリプトにとって、私たちは身を隠している場所から前進する新たな道を照らすことでしょう。世界全体にとって私たちが共有するビジョンは、人類とテクノロジーがいかに共存し、同時に善と善を両立できるかを証明することで、何百万もの人々を鼓舞するでしょう。