サルコペニアにはレジスタンス運動が有効かもしれない―こんな研究結果が2023年7月に発表されました。
最近骨格筋の筋肉量や筋力が低下し、身体機能が低下するサルコペニア。これまでの研究では、サルコペニアがある人は死亡リスクが高まることがわかっています。
しかし、サルコペニアに対して栄養と運動などの介入をしても、あまり効果がみられていませんでした。
2023年7月、サルコペニアの中高年に対していろいろな治療を行うと身体機能が改善するのかを検討したネットワークメタ分析(Geng, 2023)が発表されました。
この研究では、①レジスタンス運動、②有酸素運動、③混合運動、④栄養、⑤レジスタンス運動と栄養の併用、⑥混合運動と栄養の併用、⑦電気刺激と栄養の併用、の7つの治療法について検討したランダム化比較試験を対象に系統的レビューし、30研究(対象2,485人)が採択されています。
抽出されたアウトカム指標は、appendicular skeletal muscle mass (ASMM)、the fat-free mass (FFM)、握力、歩行速度という筋肉量・筋力の評価と、5-chair stand test (5回立ち上がりテスト)、timed up & go (TUG) テストという身体機能が評価されています。
ここでは身体機能の結果のみについて取り上げます。
5回立ち上がりテストは、椅子から5回立ち上がる時間を測定することで、下肢の筋力を調べる検査です。下肢の筋肉量、筋力、機能的パフォーマンスを評価するための簡便かつ正確な検査であるとされています。
9研究で評価され、レジスタンス運動 (平均差=-2.26、95%信頼区間 -4.40, -0.42)、レジスタンスと栄養の併用 (平均差=-2.37、95%信頼区間 -4.73, -0.33)で統計学的に有意な改善がみられました。
TUGテストは、椅子に座った状態から立ち上がって歩き出し、3m先の目印で折り返してスタート前の座った姿勢に戻るまでの時間を計測します。簡便で結果の信頼性も高く、身体活動性を評価する有用な方法とされています。転倒リスクを予測する指標としても利用されています。
6研究で評価され、レジスタンス運動 (平均差=-1.69、95%信頼区間 -3.10, -0.38)、混合運動 (平均差=-2.12、95%信頼区間 -3.59, -0.77)、レジスタンス運動と栄養の併用 (平均差=-2.31、95%信頼区間 -4.26, -0.38)では統計学的に有意な改善がみられました。
このように、レジスタンス運動は身体機能についてよい傾向がみられています。同様に筋肉量・筋力の改善もみられています。
サルコペニアに対する治療として、レジスタンス運動はやや有望ということかもしれません。
レジスタンス運動とは、どんな運動でしょうか。
厚生労働省のウェブサイトから引用します。
スクワットや腕立て伏せ・ダンベル体操などの標的とする筋肉に抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返し行う運動をレジスタンス運動と言います。 10-15回程度の回数を反復し、それを1-3セット無理のない範囲で行うことが勧められます。
サルコペニアの中高年は、レジスタンス運動を行うと身体機能が改善する傾向がみられることがわかりました。サルコペニアに対する治療として、レジスタンス運動はやや有望ということかもしれません。
Geng Q, Zhai H, Wang L, Wei H, Hou S. The efficacy of different interventions in the treatment of sarcopenia in middle-aged and elderly people: A network meta-analysis. Medicine (Baltimore). 2023 Jul 7;102(27):e34254. doi: 10.1097/MD.0000000000034254. PMID: 37417618; PMCID: PMC10328700.
レジスタンス運動|e-ヘルスネットhttps://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-058.html
※情報収集・文章作成・画像生成にAIを活用しています。