Taka Perry インタビュー 〜 音楽NFT、DAO、そして音楽の未来

ParadeAll鈴木貴歩(以下、鈴木)

私はThe fin.のYutoさんと一緒に、FRIENDSHIP.DAOという、”アーティストと音楽をサポートする全ての人”がダイレクトにアクセスすることができる、音楽のエコシステムを共に作り上げていく、ブロックチェーンを使ったコラボレーションツール”を構築しています。

Taka Perryは音楽業界の大物が支援する音楽DAOであるMODA DAOと協力してシングル「DON'T」を音楽NFTをとしてリリースする等、両者がWeb3を活用しているということで、この対談をセットしました。

Taka ParryがWeb3やNFTに向けて何を考えているのかをインタビューしてみたいと思います。

English version is here

Q. 自己紹介をお願いします。

Taka Perry

Taka Perryです。オーストラリア人の日本人音楽プロデューサー、ソングライター、アーティストで、自分の音楽のリリース、プロモーション、ツアーに時間を費やしています。また、他のアーティストのプロデュースや作曲も行っており、ここオーストラリアだけでなく、日本や海外でも活動しています。

Taka Perry
Taka Perry

Yuto Uchino(The fin. 以下Yuto)

僕も同じような感じですね。僕はThe Fin.というバンドをやっています。楽曲をリリースして海外でもツアーを行っています。僕も音楽をプロデュースしているし、シンガーソングライターでもあります。またミックスエンジニアもやっています。

Yuto (The fin.)
Yuto (The fin.)

Q. アーティストとしてのキャリアはどのようにスタートしたのですか?

Taka Perry

小学生の頃からオーケストラでクラリネットを吹いていて、高校まではロックバンドで演奏していました。そして、楽器を演奏することがとにかく好きで、ひとつの楽器を演奏して、更に別の楽器を演奏していくのが好きだったんです。 13歳か14歳のときにワンマンバンドを結成したことがきっかけで、音楽制作やレコーディングをするようになり、その情熱が止まらなくなりました。

それから10年、11年......小さなステップを積み重ねて今に至ります。でも、最初に始めたときは、楽器とロックミュージックがすべてでした。

Q. あなたが影響を受けたアーティストは誰ですか?

Taka Perry

多くのアーティストからインスピレーションを受けています。最初の頃は、ピンク・フロイドやジェネシスといったオールドスクールなロックバンドから影響を受けてました。

オールドスクールのプログレ、それからボード・オブ・カナダ、エイフェックス・ツイン、J・ディラなど、初期のサンプルチョッピング・プロデューサーたちからも。あまりジャンルを意識したことはなく、自分が好きかどうかだけです。だから、長年にわたって様々な音楽的影響を受けてきました。

Q. 音楽ビジネスや音楽業界にはいつ、どのようにして入りましたか?

Taka Perry

学生時代からずっと、これを仕事にしたいと思っていたのですが、どうすればいいのか分かりませんでした。12年生(日本で言う高校3年生)のとき、学校の一環で作曲プログラムに参加しました。オーストラリアには、APRAという演奏権団体があります。日本のJASRACに相当する組織だと思うんですが、業界の音楽プロデューサーを何人か連れてきて、高校生に曲作りやプロダクションについて教えるというキャンプをやっていたんです。そのうちの一人が、僕のキャリアを指導してくれて、オーストラリアの音楽業界に足を踏み入れる手助けをしてくれました。

そこから長い間、人脈作りに励み、様々なマネージャーやアーティスト、レーベルと繋がりを持つことができました。様々なアーティストとコラボレーションを行い、少しずつですが、私の活動を支えるものに成長することができました。

鈴木

そのコライティング・キャンプはいつ頃行われたのですか?

Taka Perry

2015年だったかな。だから7年前というと、僕が12年生の時ですね。

鈴木

それは日本の音楽業界のエコシステムから見ると、とても先進的ですね。

Yutoさんは、どのような経緯でアーティストとしての活動を始め、音楽業界やビジネスに足を踏み入れたんでしょうか?

Yuto

13歳か14歳の時にギターを始めました。レッド・ツェッペリンやザ・ビートルズなど、60年代のロックが好きでした。

僕らの世代はYouTubeがあったから、昔の音楽にも簡単にアクセスできました。それでギターを弾くようになりました。本当はジョン・フルシアンテのようなギタリストになりたかったのですが、なかなかなれず、突然作曲を始めました。

そして、2010年頃にバンドを結成し、SoundCloudを通じて楽曲をリリースしたところ、アメリカ、ヨーロッパ、日本の音楽ブロガーが楽曲をとりあげてくれて、そこからヒップランドミュージックに出会いました。

Q. Web3との関わり方と内容を教えてください。

Taka Perry

Web3やNFTとの関わりはかなり最近のことです。3週間ほど前に**DON'T**というシングルをリリースしたのですが、この時初めて、Web3やNFTをシングルのリリースキャンペーンに組み込みました。

常々、興味がある事には事前にリサーチするよりも、深く入り込んで、やりながら考えていくほうがいいという結論に達していたので、まだ学んでいる途中ですが、とても面白い世界なのでどんどんのめり込んでいます。

鈴木

Yutoさんは、どのようにWeb3に取り組んでいますか?

Yuto

僕も最近で、今までNFTをリリースするという試みはしていなかったのですが、FRIENDSHIP. DAOにアーティストとして参加し、アーティストにとっての明るい未来とは何かということを話しています。

鈴木

Web3のどんな所に期待をしていますか?

Taka Perry

個人的にWeb3で一番期待しているのは、クリエイターの手に多くのパワーが戻ることです。多くのメジャーレーベルのレコーディングアーティストのビジネスモデルは、メジャーとレコード契約を結び、多くの資金を集め、収益の大部分と著作権を他の誰かに渡すというものです。NFTとWeb3が主流になれば、多くのアーティストのビジネスの在り方に大きな変化が起こると思います。NFTとして音楽をリリースしたり、シングルのリリースにNFTを付けたり、アーティストが活動資金を確保する方法も変わってくるはずです。著作権は音楽を作っている人たちの手に戻ってくるのです。

鈴木

Yutoさんは、Web3をどう見ていて、何を期待していますか?

Yuto

もちろん、僕はWeb2出身のアーティストなので、Web2のプラットフォームやエコシステムを通っています。 今のエコシステムは、アーティストから全てのパワーを奪ってしまっている所があるので、アーティスト、ミュージシャン、プロデューサー、エンジニア、全ての人間で、より良いバランスを取り戻す必要があると思います。それがWeb3の可能性だと思います。

鈴木

Yutoさんは、NFTで音楽をリリースする可能性はありますか?

Yuto

音楽NFTの可能性については勉強中です。

鈴木

Taka Perry、Yutoに何かアドバイスはありますか?

Taka Perry

私はまだアドバイスを受ける側ですが、個人的な経験から言うと、音楽NFTを作って、FRIENDSHIP. DAOでもMODA DAOでもいいから、一緒にリリースしてみることだと思います。MODA DAOと一緒に取り組む事で、物事の仕組みを理解しようとするよりもずっと多くを理解できました。Web3のコンセプトが万人に理解されていないのは当然で、少し時間がかかると思います。音楽産業がパッケージ販売から、インターネットが登場してNapsterやLimewireのようなP2Pサービスが出てきた時位、大きな破壊力を持つことになると思います。ですから、NFTを活用するための教育を受けるには、時間がかかると思います。多くの人は、まだ「なるほど、NFTは面白そうだけど、どうやって買うの?ブロックチェーンって何?」というような段階だと思うので、この壁がなくなれば、一気に浸透すると思います。

鈴木

DON'TのリリースではMODA DAOとコラボレーションされていますね。MODA DAOがどのように機能し、キャリアを向上させるサポートをしたのか教えてください。

Taka Perry

MODA DAOからは、まずWeb3の仕組みの基本を学びました。そしてNFTコレクションやNFTを使ったシングルをどのようにマーケティングし、世に送り出すかを教えてくれました。

彼らと一緒に仕事をするのは本当に素晴らしいことで、次のEPや他のプロジェクトに向けて色々と考えているところです。NFTの領域で俊敏なチームを持ち、注意すべきことを指導してくれる彼らがサポートしてくれるのはとてもありがたいです。

Q. NFTによるDON'Tのリリースについて、その手ごたえと今後の展開について教えてください。

Taka Perry

DON'TはNFTとしてリリースした最初のシングルで、MODA DAOや**Mint SongsEmanate**と一緒に取り組みました。NFTを通じてどのようにオーディエンスを構築できるのかのテストになりました。

6月頃にリリースされる次のシングルでは、じっくりとNFTを活用しようと考えています。更にWeb2プラットフォーム、所謂DSPでの楽曲リリースもやっていきます。そして未来に向けてどのように音楽をリリースして、マーケティングするべきかを考えていきたいと思います。僕は音楽を作るだけでなく、3Dアートや3Dアニメーション作りにも取り組んでいきます。音楽のビジュアライゼーションを通じて、Web3のオーディオビジュアル体験を作っていきたいです。

鈴木

NFTの販売サイトが「KAKOMIRAI.io」(過去未来)であることに感銘を受けました。

Taka Perry

私が立ち上げたサイトがKAKOMIRAIで、それはEPの名前でもあります。音楽的に、古い音楽や、未来のハイパーポップから影響を受けたり、様々な要素を取り入れています。KAKO(過去)とMIRAI(未来)を音楽的に融合させることは、ミュージシャンとしての私のアイデンティティーを表現しています。それはどんなアーティストでいたいか、どのように作品をリリースしていくかということにも繋がっています。Web3は今回のEPのリリースにおける”MIRAI”の要素です。

鈴木

素晴らしいですね。
YutoからTaka Perryさんに何か質問はありますか?

Yuto

音楽NFTのリリースについて質問したいです。音楽NFTはどう受け止められていますか?音楽をストリーミングでリリースする場合、全てのオーディエンスが聴くことができますが、音楽NFTは聴ける人が限定されています。それについてどう感じていますか?

Taka Perry

NFTの活用方法は沢山あります。一点物のNFTを販売することもできますし、限定50個のNFTを通じて楽曲権利を分配することも、多数のNFTからなるコレクションを販売することもでき、人々が喜んで支払う金額とトークンの希少性のバランスを取ることもできます。

例えば、DON'Tの場合、50個のNFTをミントしましたが、売れ行きには最初全く期待していませんでした。しかし最初の数個が売れ始めたとき、「そうかマーケットがあるんだ」と思いました。NFTの販売がきっかけでTwitterやDiscordで人々と繋がり、積極的に交流するようになりました。NFTを販売するということは、Web3を通じて世界中の人々とネットワークを作り会話をして、今どんなことが起きているのかを見ることなんです。

Yuto

アジア、中国などでは、音楽NFTがどのように受け止められているのか、よく分かりませんが、日本では、NFTに対しては懐疑的だったり、中には詐欺だと考える人もいます。もし、NFTをリリースしたら一部のファンは私がお金を必要としていると思うかもしれません。それがちょっと怖いんです。オーストラリアや欧米ではどうでしょうか?

Taka Perry

同じです。NFTという言葉はみんな知っているけど、マーケットでNFTを買う程、その意味を理解しているわけではないという点では似ていますね。

ただ自分ではまだ取り組んでいませんが、NFTを持っていると無料チケットがもらえたり先行販売に参加できたり、また楽曲をリリース前に試聴できたり、色んなパターンが考えられます。

NFTには必ずしも所有権や著作権というベネフィットがマストではないと思うんです。まだ”こうでなくてはいけない”というルールは無いので、ファンやオーディエンスがNFTに何を求めているかが重要なんです。 アートや音楽を評価して買ってくれる人もいれば、後で売って利益を得ようと思って買ってくれる人もいるでしょう。NFTはとても興味深い領域であり、アーティストやクリエイターであることと、それがどのように交差するのか、私たちは考えたりトライしている段階だと感じます。

Q. 今後の予定について教えてください。

Taka Perry

6月にリリースされるEPに加えて、2022年の後半は、ロンドン、ヨーロッパ、東京、北米を旅して、様々なアーティストや様々な業界の人と仕事をする予定です。特にここ数年のコロナ禍では、インターネット以外で人に会うことができなかったので、オーストラリアから出て、異なる文化の人たちと仕事をする経験をしたいと思っています。それが主な計画です。

Subscribe to FRIENDSHIP.DAO
Receive the latest updates directly to your inbox.
Verification
This entry has been permanently stored onchain and signed by its creator.