How to Token Economics 設計 2

こんにちは

Token Economicsによって人々の手間を減らし、デジタル空間のUXを向上させ
世界の総価値を上げたいnakataです。

前回の記事にかなり多くの反響を頂き、ありがとうございました。

想定したより3倍以上のいいねが付き
TEへの関心が高まっていることをひしひしと感じました。

今回は前回の内容より、少し踏み込んで、より詳細で具体的な項目について
どういう考え方で決めていけば良いのかを記述していきます。

前回の記事同様、リプやDMでご指摘などいただければ大変うれしく思います。

  • Not Financial Advice
  • 税務/法務面は必ず税理士/弁護士の方にご相談下さい

目次

  • FTとポイント(ゲーム内通貨など)の違いは?
  • FTとNFTの違いは?
  • 有限発行?無限発行?
  • シングルトークン?デュアルトークン?
  • 有限発行の場合の最大供給量は?
  • NFTを売って資金調達することについて
  • ユーティリティトークンを切り捨ててガバナンストークンを生きながらえさせる戦略はあり?

FTとポイント(ゲーム内通貨など)の違いは?

最も大きな違いは取引所で他のFTと交換出来るか、出来ないかです。

他のFTとはBTCやETHを始めとする仮想通貨、またはそれらを介して
FiatやFiatステーブルコイン、他のゲームやプロダクトのトークンです。

クリプトリテラシーのある層からすれば他の資産から変換しやすいので、
参入障壁の低さに繋がりますが、逆に、利確のしやすさにも繋がり
プロジェクトの経済圏から資金が抜けるのも促進します。

x to Earnを押し出すプロジェクトであればFTを採用したほうが
稼ぐという体験を促しやすいです。

また、FTの方が投機的な理由で売買されるので、価値の安定が難しいです。

他のトークン(NFTを含む)で稼ぐ体験が設計出来るのであれば
ポイントの採用も積極的にして下さい。

FTとNFTの違いは?

ファンジブルかノンファンジブルかという定義的なところは当然あるとして
実際にプロジェクトを運営していく中でどういった特性の違いがあるかを記載します。

FTの方が流動性を上げることが容易です。NFTは投資家サイドから見ればFTより利確が難しいです。

FTは付加出来るパラメータが少なく、表現の幅が狭いです。

法律面での扱いも違います。現時点ではFTよりNFTの方が制限が緩く感じますが
いずれFTに追いつくと予想しています。

少し話が逸れますが、ERC-1155はFTになる場合とNFTになる場合があります。
ERC-1155をそのまま実装するとmetadata付きのリッチなFTになります。

MNLTH2は一見NFTに見えますが代替可能(Fundible)なのでFTです。
MNLTH2は一見NFTに見えますが代替可能(Fundible)なのでFTです。

一方Openseaで発行したトークンのようにNFTのようにすることも出来ます。

現時点では扱いが曖昧になりやすいですが、議論が進んでいくと
規格ではなく実態の使われ方でFTかNFTか判断されるようになる認識です。

有限発行?無限発行?

結論としてはプロジェクトによるので、一概にどちらの方がいいとは言えません。

無限発行の方が柔軟性が高く、一見、設計が簡単なように思えますが
実際は無限発行の方が単価の維持が難しく、設計難易度は高いです。

詳細を説明する前に、まず、それぞれのpros/consを整理していきます。

有限発行

pros

  • インフレの最大値が明らかであり、Investorを含めたHolderが中長期でHOLDしやすい
  • 無限発行と比較して中央集権性が低く、信頼度が高い

cons

  • 誤ってBurnした場合、取り返しがつかない

無限発行

pros

  • アクティブユーザー数、流入資金などに応じて柔軟にMint / Burn出来る

cons

  • Investorから見た時に無限に希薄化出来るので中長期でHOLDしにくい
  • ユーザーの新規流入が止まったときなど、Mint / Burn比率が崩れると単価が急激に下がる
  • Burnした結果生み出されたトークンがインフレしないように、またはそれが連鎖しないように設計する必要がある

上記のことから
有限発行は株や価値保存に向いており
無限発行は通貨など流動するアセットに向いています。

プロダクトにどちらがフィットするかで判断して下さい。
どちらも必要であれば次項で考察するデュアルトークンモデルも検討してください。

シングルトークン?デュアルトークン?

こちらもどちらがより良いというのはなく
プロジェクトや目的次第でどちらを採用するか、決定する必要があります。

シングル/デュアルだけだとかなり大雑把な区切りになるので
まずどんなモデルが考えられるか整理していきましょう。

シングルトークン

(1) 有限発行シングル
(2) 無限発行シングル

デュアルトークン

(3) 有限発行 x 無限発行デュアル
(4) 有限発行 x 有限発行デュアル
(5) 無限発行 x 無限発行デュアル

下記にそれぞれ詳細を記載していきます。

シングルトークン

(1) 有限発行シングル

Bitcoin / Uniswap / Sandbox / LooksRare など…

FTが有限発行トークンのみで別でNFTを発行するモデルもここに含めます。

アプリケーションレイヤではベースとなるモデル、ここからまず検討して下さい。

無限発行トークンを含まず、プロジェクトの価値を1つのFTに集約できるので、
シンプルになり、設計/管理コストも低くかつ前項の有限発行トークンのprosやブロックチェーン技術の価値を享受できます。

(2) 無限発行シングル

Ethereum / PancakeSwap など…

下記に当てはまる、もしくは明確な理由がある場合採用を検討して下さい。
ただし、裏付け資産があるなど特殊な場合は下記への該当は必須ではありません。

  • トークンで資金調達をしない
  • 基本機能の利用にトークンのBurnを組み込める

前項の無限発行のconsでも記載したとおり、基本的に無限発行トークンは考えるべきことが多く、有限発行と比較して価格維持の難易度が高いです。

余談ですがPancakeSwapはLP トークンを無限に発行するので
厳密には無限発行 x 無限発行のマルチトークンですが
プロジェクトのトークンとは性質が違うので、ここでは無限発行シングルとして扱います。

デュアルトークン

(3) 有限発行 x 無限発行デュアル

Axie Infinity / Stepn など…

資金調達をするto Earn系プロジェクトに採用率が高いモデルです。
有限発行トークンで資金調達をして、無限発行トークンをEarnに使用し
NFTに変換させることで無限発行トークンをBurnします。

他にはプラットフォーム系のプロジェクトでも採用が考えられます。
プラットフォームのトークンを有限発行にして
各プロダクトのトークンを無限発行にするというパターンです。

このパターンはプロダクトが増えるにつれてマルチトークンになる可能性大です。

次項にも繋がる内容ですが、デュアルトークンを採用する場合
ほとんどのパターンでこのモデルになります。

(4)(5)は複雑になるにも関わらず
デュアルトークンの恩恵をあまり受けられないので、かなり特殊な例になります。

(4) 有限発行 x 有限発行デュアル

特殊なパターンです。
プラットフォームとプロダクトでそれぞれ有限発行トークンを発行する場合などが考えられます。

(5) 無限発行 x 無限発行デュアル

かなり特殊なパターンです。
資金調達しないGameFiで複数のアイテムをFTで表現する場合などが考えられます。

有限発行の場合の最大供給量は?

枚数は表現方法であり、エコノミクス的に重要ではありません。
最大供給量が大きければ桁が増えるだけです。

エコノミクスとして重要なのは 最大供給量をベースとして
xx% 供給 / xx%Burn といった比率です。

その前提でどのくらいの枚数がユーザーにとって心地よいかを考えます。

平均的な1ユーザーが持つ量を想定して、
適切な量(読みやすい桁で、心理的に少なく感じない枚数)を設計してください。

GameFiであればある程度のジャラジャラ感を演出することも考えて下さい。
最大供給を1000枚にして、シーズンランキングのTop Playerに0.1枚しか渡せない
とかになると心理的に萎えてしまいそうです。

x00,000,000枚くらいが適切になるパターンが多いです。

NFTを売って資金調達することについて

プロダクトローンチ前にNFTをPublicに売って資金調達することについて
私は基本的には否定派です。

ローンチされていないプロダクトの場合
NFTの購入層のほとんどがリターン目的の投資家であり
FUDをうまないために彼らにリターンを返す必要があります。

そう考えるとTEにとっては後に返済しないといけない借金です。
大きな金額を売り上げれば売り上げるほど、後の大きな売り圧なると考えてください。

また、信頼関係が無い中で資金調達が行われるのでラグが発生しやすいです。
FTのICOと同じ問題が発生します。

ただし、下記パターンは肯定します。

  • トークンセールによってTEが抱える負債より、セールによる経済圏参加者の増加やマーケティング効果によるメリットが高い場合
  • プロダクトローンチ直前やブランド力がある場合など、ラグが発生しない。

ユーティリティトークンを切り捨ててガバナンストークンを生きながらえさせる戦略はあり?

デュアルトークン以上のTEの場合、TEが破綻へと向かう時にユーティリティトークンを殺してガバナンストークンの価値を維持する戦略が考えられます。
この戦略はありの場合となしの場合、両方が考えられます。

ありの場合

  • ユーティリティトークンの発行プロジェクトが別の場合

プラットフォームがガバナンストークンを発行し
各プロジェクトによってユーティリティトークンを発行する場合です。

例えば、Gala Gamesというブロックチェーンゲームのプラットフォームがあります。

Gala Gamesでは複数のゲームプロジェクトがあり、それぞれでユーティリティトークン(FT/NFT)を発行しています。

https://app.gala.games/games
https://app.gala.games/games

これらのゲームプロジェクトのうち、例えばバトルスター・ギャラクティカの人気が無くなり、ユーティリティトークンの価格が暴落したとしましょう。

その暴落をプラットフォームやガバナンストークンの価値を削って救済しようとすると
プラットフォーム全体に悪影響が出て、プラットフォームや 最悪、他のゲームプロジェクトの価値まで下がってしまうパターンが考えられます。

そうなると他の健全な発展を遂げているプロジェクトのユーザーは
プラットフォーム内の他のプロジェクトの状況まで気にしなければならず、
結果としてそれを嫌ったユーザーが離れていき、未来を失うことに繋がります。

プラットフォームでは特に経済の結合度について考慮する必要があり、
プロジェクト間は疎結合であるべきだと考えています。

ただし、もちろんそもそも各ユーティリティトークンの価格を維持できる方が良いです。
最悪のパターンで切り捨てる選択もあるくらいのイメージです。

なしの場合

  • ユーティリティトークンの発行プロダクトが同じ場合

この場合は発行体に対して大きな不信感が産まれ、次のトークンの価格維持が難しくなり
回数を重ねる毎にユーティリティトークンの価格下落までのサイクルが早くなります。

よって、死亡する直前の延命処置としては使えるかもしれませんが、長期的に有効な戦略ではありません。

たとえ、プラットフォームと別の発行体であったとしても
高頻度でユーティリティトークンの価値が大きく下落することは
プラットフォーム自体の信頼感の低下に繋がります。

おわりに

第2弾の記事も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

日本国内のTEのディスカッションをもっと促進していきたいと考えております。
是非、反対意見やご指摘があればリプやDMでご連絡下さい。

法整備がまだまだ進んでいないものの、多くのIPや優秀な人財を抱える日本が
Web3で勝者となることを願っています。

次回の記事では下記を記載しようと考えております。

  • ロックアップ期間はどのくらいが適切?
  • 考えられるTEの延命措置について
  • GameFi x ソフトペグトークンの未来

次回はこういった内容を取り上げてほしいなどあれば
そちらもリプなど頂けると嬉しいです。

より多くの人々に記事を目にして頂きディスカッションの輪を広げたいと考えております。

前回と同様、少しでも記事がお役に立てたのであれば
いいね、リツイート、フォローをよろしくお願いします。

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